日本蚕糸学雑誌
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21 巻, 1 号
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  • 長谷川 金作
    1952 年 21 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1952/07/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    1) 越年卵を産むように催青された蚕の雄または不越年卵を産む多化蚕の雄に卵巣を移植して, 被植蚕の雄蛾体内に発育した卵の越年, 不越年性をEHRLICHの Diazo 反応によつて調査した結果, 移植された卵巣からはそれぞれ越年性卵または不越年性卵が生産された。したがつて雄も雌と同樣に化性を決定する能力があることを実証した。
    2) 前胸腺の前枝を含んだ前胸腺幹部の上半部も, 後枝を含んだ前胸腺幹部の下半部もともに羽化ホルモンを産出する。蛹体前部を除去した遊離腹部内に移植されている前胸腺の作用だけで発育した卵は, 受精すれば発生できる完全卵である。したがつて遊離腹部内で移植された前胸腺及び種々の器官の作用をうけて発育した卵の越年, 不越年性をEHRLICHの Diazo 反応によつて調査しても差支えないことが判つた。
    3) 不越年卵を産む蚕を前蛹期に断頭すれば, 化性変化が起り越年卵が産下される場合がある。第2報の越年卵を産む蛹を化蛹直後に断頭すれば化性変化が起ることと相俟つて, 化性を支配する器官は頭部あるいはその附近に存在することがさらに明らかになつた。
    4) 催青條件の如何にかかわらず抑制質または不活性な化性決定素, あるいはその前駆体ともいうべきものが蚕体内に生産されていると推論した。
    5) 遊離腹部を用いて化性決定器官を調べた結果, 前胸腺, 脳, 咽喉側腺, 唾腺, 食道下腺は化性決定には与らない。越年卵を産む蛹の遊離腹部を用いた場合には越年性傾向のある卵が発現する場合がある。これは卵の越年性を決定する物質が化蛹の始めから分泌されるのでないかと思われる。
    6) 越年卵を産む蚕の喉下神経球, 第1胸節神経球及び前胸腺とを移植すると, 多くの遊離腹部内に発育した卵は越年性傾向となるが, 前胸腺に分布する神経纎維をなるべくつけて前胸腺を移植しても, あるいはまた喉下神経球を除いて第1胸節神経球と前胸腺とを移植しても化性変化は認められなかつた。したがつて遊離腹部内で発育する卵の越年性決定には喉下神経球. が決定的な作用をもつている。
    7) 越年卵を産む蚕の喉下神経球, 第1胸節神経球及び前胸腺を不越年卵を産む蚕に移植してそのまま放置して産卵させた結果, 多くの個性に化性変化が起つて多数の越年卵が産下された。
  • 吉武 成美, 有賀 久雄
    1952 年 21 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 1952/07/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    各種の幼虫斑紋であるp+, ps, pM, Ze, U, bd及び lem, od, ch, I-a並びにこれらの種々の組合わせ個体を供試して, それらの皮膚及び血液中の尿酸含量をFOLINの直接法によつて調査した。
    1) 4令末期から熟蚕に到る間, 血液の尿酸量は熱蚕期を除いてはodは常にpより多い。皮膚ではodは非常に少く全期間を通じてあまり変化がないが, pは令の初期に少く末期に多い傾向がある。
    2) psホモ, psヘテロ及びpの分離区をつくり, その皮膚及び血液中の尿酸を比較した結果, 皮膚ではp>psテヘロ>psホモの関係があり, 血液ではこれと逆の関係があることがわかつた。psの他pM, U, L, bd等の皮膚に於てもそれらの斑紋をもつ個体では, 夫々の区に分離した正常蚕に比べると尿酸量が少く, しかもメラニン色素の色の濃いもの程このような現象は顕著である。また1個体中に於けるメラニン色素存在部位の眞皮細胞中の尿酸量は色素の存在しない部位よりも少い。
    3) 種々の斑紋系にI-aを組合わせると, メラニン色素量は減少し, 尿酸量は増加する。
    4) p+, lem, ps及びodの各種組合わせをつくり, 皮膚及び血液中の尿酸含量を比較すると皮膚に於てはp+>lem>ps>lem ps>od>lem od>psod>pslem odの関係があり, 血液では大体これと逆の関係があることがわかつた。
  • 岩成 義才
    1952 年 21 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 1952/07/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    WARBURGの manometer を用いて正常蚕, 絶食蚕及び気門閉鎖蚕の酸素消費量を測定しつぎのような結果を得た。
    1) 正常蚕については現在までに発表された成績と大体一致したが, さらに化蛹直後未着色の時に一時酸素消費量が増加する事実を明かにした。
    2) 眠中の前半は眠前に比べて僅かに減少する程度 (単位生体重当り酸素消費量で85%くらい) であるが, 後半は著しく少くなる (60%)。
    3) 絶食蚕の酸素消費量は漸次減少してゆくが, その程度は未餉食のまま絶食させたものよりも1回給桑後絶食したものに於いて著しい。また4令3日目に絶食させたものは一時消費量は減少したが, その後次第に回復してそのまま眠に入つた。
    4) 気門閉鎖蚕に於いては, 第1気門閉鎖は常に差がみられ, 第2~4気門閉鎖は当日は明瞭な差を示すが, 第2~4日の間は差は不明瞭である。また第5, 6気門閉鎖はその当日においても影響は認められない。しかるに第4~5日目ころになると第5~6気門片側閉鎖蚕を除いて体重増加量の減少に伴つてふたたび酸素消費量の減少を示す。第5~6気門片側閉鎖蚕では第7日目に至つて始めてその影響が現われる。
  • 伊藤 智夫, 田中 元三, 柳田 光明
    1952 年 21 巻 1 号 p. 21-22
    発行日: 1952/07/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    The refractive index of the body fluid in Bombyx mori was measured during the third and the fourth moulting periods. The refractive index rises gradually after the commencement of each moulting and reaches the highest value at about middle time of moulting period. Then the value decreases rather rapidly and even after ecdysis.
  • 向山 文雄
    1952 年 21 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 1952/07/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    第5令の蚕の唾腺分泌部を摘出して桑葉各成分の食下, 消化を調べたところ, つぎのような結果を得た。
    1) 唾腺分泌部を摘出すれば体重の増加は劣る。
    2) これは桑葉の各成分の消化量が一般に少いためと考えられるが, とくに可溶無窒素物の消化が少いことに起因するらしい。
    3) 可溶無窒素物のうち炭水化物についてみれば, 水溶性糖類では正常蚕と同樣に殆んど消化されるが, 多糖類の消化は著しく減じて殆んど消化されていない。
  • 大場 治男
    1952 年 21 巻 1 号 p. 28
    発行日: 1952/07/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
  • (I) 基質による差
    入戸野 康彦
    1952 年 21 巻 1 号 p. 29-32
    発行日: 1952/07/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    1) 一般にチロシナーゼの基質として用いられる brenzcatechin, dopa, p-cresol, tyrosine を基質として, 蚕の血液の酸素消費量をWARBURGの検圧計を用いて測定し, 基質により5令起蚕から蛾までの時期的消長及び絶食による影響に差異があるかどうかを検討した。
    2) 5令起蚕から蛾までの血液の酸素消費量の消長は, brenzcatechin, dopa, tyrosine を基質とした場合には全く同一の傾向を示し, 5令5~6日目ころから8~9日目ころまで減少し, 化蛹するに及び急激に増加するが, p-cresol を基質とした場合にはこの減少も増加も見られない。また蛹から蛾への変化は, 前3者を基質とした場合は後者を基質とした場合よりも急激である。
    3) 4令餉食42~45時間目から絶食させた蚕の血液の酸素消費量は, brenzcatechin を基質にした場合には絶食開始当日から絶食8日目まで殆んど変化がないが, p-cresol を基質とした場合には絶食2, 3, 4日目と漸次増加し, 5日目に至り急減し以後同一の値を示す。
  • (II) 塩基性, 酸性並びに二, 三のカルボニル化合物に就いて
    渡辺 忠雄, 田阪 由正
    1952 年 21 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 1952/07/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    Volatile components in the mulberry leaves were investigated; n-Butylamine in the basic fraction, acetic, propionic and isobutyric acid in the acidic fraction, and Methylethylacetaldehyde, Acetone and α, β-Hexenal in the carbonyl compounds were isolated.
  • 清水 滋, 堀内 彬明
    1952 年 21 巻 1 号 p. 37-38
    発行日: 1952/07/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
  • 後藤 四男, 黒川 正隆
    1952 年 21 巻 1 号 p. 39-42
    発行日: 1952/07/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
  • 岩淵 早雄
    1952 年 21 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 1952/07/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
  • 1952 年 21 巻 1 号 p. 49-59
    発行日: 1952/07/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
  • 1952 年 21 巻 1 号 p. 60
    発行日: 1952/07/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
  • 1952 年 21 巻 1 号 p. e1a
    発行日: 1952年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1952 年 21 巻 1 号 p. e1b
    発行日: 1952年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1952 年 21 巻 1 号 p. e1c
    発行日: 1952年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
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