日本蚕糸学雑誌
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26 巻, 5 号
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  • 清水 滋, 斎尾 乾二郎, 橋口 寿夫
    1957 年 26 巻 5 号 p. 311-316
    発行日: 1957/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    生糸の繊度偏差をひき起す1つの要因である繭糸の粒間繊度偏差が繭形のばらつきとどのように関係するかを知るため, 繭長, 繭巾, 繭の長巾率および繭体積の各々と繭糸繊度との相関を, 1955年蚕糸試験場で行つた交雑種比較試験のうち日野桑園で春蚕期および晩秋蚕期に飼育した各6交雑種の繭各200粒宛につき, 各品種別に, 雌雄別々におよび雌雄混合したものについて求めた。またそれに附随して遺伝相関, 性相関, 環境相関を求めてみた。この結果雌雄混合した材料については繭長, 繭巾および繭体積ともに繭糸繊度と大体+0.3前後の相関があるが, 雌雄別々にした場合には相関は小さいことを知つた。繭の長巾率と繭糸繊度との間には相関は非常に小さいが負の相関がある。
    ここに出た遺伝相関の数字は春蚕と晩秋蚕で異つている。遺伝相関というものの性質上この数字は同じであるべきであるから, ここに出た数字が余り当になる数字ではないということがいえる。
    性相関は総べての場合非常に大きく, これが雌雄別々の場合よりも雌雄混合すると相関が大きくなる原因を作つている。
    環境相関は余り大きくはない。このことは春蚕期と晩秋蚕期というような大きな環境の差に対してもいえる。
    結局, 雌雄混合した場合には, 繭形のばらつきによつて繭糸繊度のばらつき具合を類推することは或る程度意味がある。
  • (II) 繭糸量, 繭糸長および繭糸繊度における Heritability
    土屋 精三, 倉島 秀雄
    1957 年 26 巻 5 号 p. 317-322
    発行日: 1957/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1) 繭糸量の Heritability は供試した支那種では54.3%, 日本種では54.4%であり系統による差は殆んどない。
    2) 繭糸量の Heritability は両系統とも雌蛾における場合が雄蛾の場合より大きい。
    3) 繭糸長の Heritability は供試した支那種では65%, 日本種では51%であつた。
    4) 繭糸長の Heritability は両系統とも雌蛾における場合が雄蛾の場合より大きい。
    5) 繭糸繊度の Heritability は供試した支那種, 日本種ともに60%であり系統的な相違が見られない。
    6) 繭糸繊度の Heritability は両系統とも雌蛾における場合が雄蛾の場合より大きいが, 雌雄蛾による開差は比較的小さい。
  • (III) 家蚕の多角体病蚕の組織学的研究
    岩下 嘉光, 有賀 久雄
    1957 年 26 巻 5 号 p. 323-328
    発行日: 1957/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    家蚕幼虫の2種多角体病の組織学的研究, 特に多角体形成過程と核酸との関係について組織化学的研究を行い, 次の事実を明らかにした。
    1. 体腔型多角体病蚕では, すでに報告されている組織細胞以外に, 幼虫のエノサイト, 筋肉, 中腸基底膜及び中腸細胞等の核もウイルスに侵され, 多角体が形成される場合がある。
    2. 中腸型多角体は初め円筒細胞の核周辺細胞質及び先端側細胞質内の一局部に球状の初期多角体の集塊となつて現われ, 細胞質の fibril pattern に沿う如く線状に列び, 先端側細胞質より漸次基底側へと増殖発達するが, 稀に基底側細胞質より形成されることもある。
    3. 中腸型多角体は稀に盃状細胞の細胞質にも形成される。
    4. 再生細胞から新に発達した中腸の円筒細胞の細胞質に多角体の初期形成が認められた。
    5. 1令幼虫の中腸皮膜細胞で核型と細胞質型との混合感染の状態を見た。
    6. 中腸型ウイルスの感染により, 中腸の円筒細胞は一時異常な活性を呈し, 初期には核に病変が見られず, 細胞質中に多角体が見られるようになる時期でも, 核はかなりの活性を示す。しかしウイルス感染により本来の中腸機能は漸次失われてゆくと考えられる。
    7. 体腔型多角体はフォイルゲン陽性であり, 中腸型多角体は陰性である。
    8. 多角体の染色法についてオレンジG-アニリン青染色法を考案し, 中腸型多角体と体腔型多角体の染色性の差異を明らかにした。
  • 西村 国男
    1957 年 26 巻 5 号 p. 329-333
    発行日: 1957/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    家蚕および柞蚕の翅の展開におよぼす神経節摘出または神経索切断の影響を調査し次の結果を得た。
    1) 家蚕および柞蚕において蛹期中に第1か第2神経節を摘出し, または食道連合を切断しあるいは第2, 第3神経節間の神経索を切断すれば, 羽化した蛾は大部分が不展開蛾となり, また柞蚕においては一部が捲縮蛾となる。
    2) 家蚕および柞蚕において蛹期中に第3~7神経節およびその間のいずれかの神経節を摘出し, または神経索を切断すれば, 羽化した蛾は不展開蛾となる。
    3) 家蚕および柞蚕において蛹期中に第8~13神経節およびその間のいずれかの神経節を摘出し, または神経索を切断すれば, 羽化した蛾は展開蛾となる。
    4) 柞蚕において羽化直前および羽化直後の翅の伸長が開始されない間に断頭すれば不展開蛾か捲縮蛾となる。
    5) 柞蚕において羽化直後の翅の伸長中に断頭すれば捲縮蛾となる。そしてその翅は断頭時より幾分大形となる。
    6) 柞蚕において蛹の頭部または胸部を切開して蛹体重の18.5~19.1%の出血をしても羽化した蛾は展開蛾となる。
    7) 以上の結果は雌雄によつて相違が認められない。
  • 1957 年 26 巻 5 号 p. 334
    発行日: 1957/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 赤井 弘
    1957 年 26 巻 5 号 p. 335-340
    発行日: 1957/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1. 家蚕卵殻の微細構造を二段レプリカ法による電子顕微鏡観察と, メチールメタクリレート樹脂を用いたレプリカ像による光学顕微鏡観察とによつて研究した。
    2. 卵殻外面の卵紋の形態は品種により異り, 卵殻をエーテルに浸漬したものはさらに明瞭に観察される。気孔は3~4μ程度と推定されるが, 卵殻の部分や蚕品種によつて差異があるものと思われる。卵殻外面の精孔開口部が2ケ所のものも存在するように観察された。
    3. 卵殻内面のレプリカ像には外面におけると同様の卵紋が認められるが, これには溝条が認められず, 従つて卵殻外面の卵紋が卵殻最内層を通して現われるものと思われる。
    卵殻内面の精孔部のレプリカ像において精孔副枝の形態を観察した。副枝の数は2~6箇を認めた。
    4. 卵殻断面を観察して, 外・中・内層部の全面に木目状乃至波状の数十層に及ぶ層を認めた。その外層部には卵紋の溝条が入り込んでいる。卵殻物質の1回の分泌量は中層部に多く, 外層部に最も少ないものと思われる。
    卵殻最内層は前述の各層部とは全く異なり, 層状をなしていない。蚕卵殻に海綿層が存在するならばこの層がそれに該当するものであろう。
    卵殻外面の卵紋の印刻は, 卵殻の中層部が形成された後に生ずるものと考える。
  • (III) 蛹, 蛾の遊離アミノ酸
    近藤 義和
    1957 年 26 巻 5 号 p. 341-344
    発行日: 1957/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1. 蛹, 蛾の除蛋白炉液について MOORE, STEIN のイオン交換樹脂カラムクロマトグラフィにより遊離アミノ酸を定量した。グルタミン酸 (おそらくグルタミンもしくはペプタイドの型) が最も多く, またヒスチジンも幼虫のときから引続いて割合に多い。
    2. ornithine は蛹および雄蛾にはなく, 雌蛾にのみわずかに存在する。
    3. 蛹, 蛾の場合で, 幼虫のときより減少する成分はヒスチジン, リジンなどで, 増加する成分はグリシン, チロシン, グルタミン酸, タウリン, βアラニン, phosphatidylethanolamine 類などである。プロリンは蛹で一旦増加して, 蛾ではきわめて少なくなる。
    4. 蛹, 蛾の除蛋白滬液には多量のペプタイドが存在する。この滬液を塩酸加水分解するとグリシンとグルタミン酸がとくに増加する。
  • 近藤 義和
    1957 年 26 巻 5 号 p. 345-348
    発行日: 1957/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    桑葉から pipecolic acid と 5-hydroxypipecolic acid を検出し, イオン交換樹脂カラムクロマトグラフィでの溶出位置, 氷酢酸中のニンヒドリン発色物の吸収曲線, isatin 反応, 亜硝酸による脱アミノ化に対する抵抗性などからこれらを確認同定した。そのうち pipecolic acid をイオン交換樹脂カラムを用いて単離した。
  • 近藤 義和
    1957 年 26 巻 5 号 p. 349-351
    発行日: 1957/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1. 桑葉遊離アミノ酸をイオン交換樹脂カラムクロマトグラフィにより定量した。定量された成分はγ-アミノ酪酸, sarcosine, pipecolic acid, 5-hydroxypipecolic acid などを含む20種類である。グルタミン酸とアスパラギン酸が特に多く, これらはほとんどアマイドの型で存在している。
    2. 軟葉と硬葉の遊離アミノ酸のパターンを比較し, 軟葉に比べて硬葉にはアスパラギン酸, グルタミン酸が少なく, プロリン, γ-アミノ酪酸, pipecolic acid, 5-hydroxypipecolic acid が多い。
  • 林 幸之
    1957 年 26 巻 5 号 p. 352-356
    発行日: 1957/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    主として5令蚕児の皮膚のフラビン化合物について調査した結果
    1) 皮膚中にはフラビンが存在し, それはFMNであつてFRおよびFADは認められなかつた。
    2) 皮膚のフラビン含量は品種により相違がある。また皮膚中には幼虫全体のフラビンの約1/10が含まれている。
    3) 皮膚に見出されるフラビン量は熟蚕に近づくに従い減少する。
  • 小塚 多吉, 有本 肇, 田辺 照子
    1957 年 26 巻 5 号 p. 357-360
    発行日: 1957/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    During the silk reeling, cocoon filaments are bending at thread guides and other parts of the reeling machine. The authors, in the first place, have made theoretical considerations on the relation between this bending and the arrangement of cocoon filaments in the silk thread cross-section. Secondly investigations have been made to determine the effect of the croisure on the strength of cocoon filaments, which were bundled during the silk reeling. After investigation the following observations were made:
    Judging from the cross-section of the raw silk thread which were reeled only from the outside and middle layers of the cocoon, most of the long axes (see Fig. 2) of cocoon filaments are arranged in an orderly fashion in the same direction, and the extent of this arrangement is inversely proportional to the length of the croisure-forming part. As for the raw silk thread reeled only from the inside layer of the cocoon, it has been observed that two fibroins on the cross-section separated from each other and many of the long axes were folded and gathered in an irregular fashion.
  • 服部 達吉, 若山 一夫, 水井 健二
    1957 年 26 巻 5 号 p. 361-367
    発行日: 1957/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1957 年 26 巻 5 号 p. 368-372
    発行日: 1957/10/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    羊毛・絹・人絹またはアセテート織物の浸染品または捺染品の洗濯に対する染色堅牢度試験の標準方法 ASTM Designation: D 436~437 (1954)
    次亜塩素酸ソーダによる蛋白・非蛋白繊維混合物の分折
    安定な紫外線吸収剤
    生糸検査における格付理論の研究 (I)
    生糸検査における格付理論の研究 (II)
    生糸検査における格付理論の研究 (III)
    製糸薬剤としての非イオン活性剤について (第1~3報)
    粘度より見たセリシンの変性
    蜘蛛糸の物理的性質の研究 (I-II)
    昆虫の神経分泌系内におけるシスチンおよびシスデインと結合した蛋白に富む物質の存在
    キンバエ (Lucilia caesar L.) 幼虫の脳神経分泌細胞
  • 1957 年 26 巻 5 号 p. 372a
    発行日: 1957年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1957 年 26 巻 5 号 p. 372b
    発行日: 1957年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
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