銹胞子の形成におよぼす環境要素の影響について実験した結果は次の通りである。
1. 銹胞子の形成は5~25℃の間で行われ, 最適温度は13~18℃附近であつた。分散された銹胞子の発芽はこれよりも更に広範囲にわたり, 5℃, 36℃においても認められたが, いずれにおいても比較的低温を好む。
2. 銹胞子の形成は空気湿度88%でも僅かに認められるが, 一時的に水膜を保ちこれが乾く時に最も多かつた。これに対し銹胞子の発芽は更に空気湿度の高い程良く, 長時間水膜を有する状態が最も良かつた。
3. 銹子腔を日光の直射光線に5~10時間曝すと死滅するが, 銹胞子の形成は暗黒のみよりもある一定時間やや明所におく方が多く, 340~40ルックスが最も多かつた。
4. 銹胞子は銹子腔より自動的に分散され, しかも塊になつている傾向がある。その最大垂直分散距離は650μで, 水平に分散されたものは更に距離が延びその最大は870μに達する。銹子腔の最大のものは高さ300μ, 径405μあつた。この銹子腔の大きさと銹胞子の自動的分散距離との間には相関々係は認められない。
5. 以上の結果は, 前報にて明らかにした圃場における銹胞子の飛散状況と気象条件との関係, ならびに摘葉法における水滴と銹胞子の形成との関係と良く合致した。
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