日本蚕糸学雑誌
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31 巻, 4 号
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  • (IV) 病原菌の病原性と色素産生, プロテアーゼおよびアミラーゼ作用との関係
    青木 襄児
    1962 年 31 巻 4 号 p. 221-227
    発行日: 1962/08/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    Aspergillus flavus-oryzae group菌27株について, 蚕に対する病原性の強弱と, 色素産生度およびアミラーゼ, フロテアーゼ両作用の強弱との関係について検討した.
    1) 各病原菌分生胞子懸濁液を1令起蚕に散布接種して, 3令起蚕時までの発病率を調べた結果, 70%以上が8株, 20%以下のものが6株あり, 菌株によって病原性に差が認められる.
    2) 各腫寒天培地上に, 30℃で1ヵ月間培養した結果, 病原性の強い菌株ほど培地中への色素産生度が著しい.
    3) 糖化率および糊精化力を測定した結果, 一般に病原性の弱い菌株ほどアミラーゼ作用が著しい.
    4) ゼラチン液化力およびゼラチン加水分解力を測定した結果, 病原性の強い菌株は弱い菌株に比べて, 一般にプロテアーゼ作用が著しい.
  • 伊藤 智夫, 向山 文雄, 田中 元三
    1962 年 31 巻 4 号 p. 228-234
    発行日: 1962/08/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    家蚕の消化液と血液のアミラーゼの性状の相違点に関し, 新たに若干の知見を加えた.(供試品種: 大造, 特大造, 100A, 分白3, K白, 日112号×支110号, 欧18号) すなわち, 従来認められている至適pHの違いを確認し, 更に夫々の酵素に対する賦活物質 (同時に阻害効果を有する若干の物質) の種類の相違, ならびに両アミラーゼ間における澱粉分解作用形態 (糊精化と糖化) の相違を明らかにした.
  • 中村 勉
    1962 年 31 巻 4 号 p. 235-238
    発行日: 1962/08/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    絹に光 (白色) ならびに紫外線を時間を変えて照射し, その黄褐変についてOSTWALDの方法で色を測定したところ, 絹は光 (白色) 照射時間の経過にともない可視部における短波長側の光吸収性が強くなり, 紫外線照射の場合はこの傾向がとくに著しい.
    また白含有量S (%) と紫外線照射時間T (hr) との関係については, つぎの実験式が得られた.
  • 藤本 直正, 吉武 成美, 山下 興亜
    1962 年 31 巻 4 号 p. 239-244
    発行日: 1962/08/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1) 大造を雌としそれにKp過剰肢蚕の雄を交雑し, 以後大造を常に雄にして9代以上も戻し交雑をつづけた系統から, 第VI連関群に属する緑繭性を抑圧する不完全優性遺伝子を発見し, これを第1緑繭抑圧遺伝子 (I-Gn1) と命名した.
    2) 新遺伝子は第VI染色体上にEKp, m3, I-Gn1の順にならび, EKpより7.53±0.08モルガンの距離に座位する.
    3) I-Gn1遺伝子は, 緑繭遺伝子Gcの中部糸腺におけるRf 0.14, 0.10なる2種の黄褐色蛍光性色素の透過を抑圧する.
    4) その結果, I-Gn1をホモに有するGc蚕の繭はGaGb蚕の繭と同じく7種の黄緑色蛍光性色素しか含まず, 笹色を呈する.
  • 鮎沢 啓夫, 古田 要二
    1962 年 31 巻 4 号 p. 245-252
    発行日: 1962/08/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    反復冷蔵によって選抜した多角体病誘発抵抗性系統の選抜14~16代において行なった実験の結果は次の通りである.
    1. 選抜系統は14~16代においても, 無処理保存系統にくらべ誘発処理を行なった場合の生存率は高く, 多角体病誘発率は低かった.
    2. 選抜系統は無処理保存系統にくらべて不適用桑 (1~3令期日覆桑または極端な硬葉, 4~5令期腐敗桑) を給与しても生存率は高く, 多角体病の誘発率は低かった.
    3. 選抜系統を日124号と交雑しそのF1を冷蔵処理した. 1961年夏蚕期においてF1は両親よりも生存率は低く, 多角体病の誘発率は高かったが, 晩秋蚕期においては生存率は高く, 多角体病の誘発率は低かった.F1の繭質の性状は両親よりもすぐれ, 経過日数は日124号より短くなった.
  • 鮎沢 啓夫, 河原畑 勇, 佐藤 文子
    1962 年 31 巻 4 号 p. 253-257
    発行日: 1962/08/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    BactospéineおよびThuricideを用いてB. thuringiensisの蚕におよぼす影響を調査し, 次のような結果がえられた.
    1) 支108号×日115号, 日124号×支124号, 支115号×日122号を用いて3令および4令蚕にBactospéineおよびThuricideを添食し, LD50 (μg/1頭) を測定した. 支108号×日115号は日124号×支124号および支115号× 日122号よりも毒素致死に対する抵抗力が大かった.
    2) Bactospéineは100℃ 加熱およびフォルムアルデヒドガス接触によって芽胞が死滅し, それと共に毒素も毒性を失活する. しかし昇汞水浸漬の場合, 芽胞は死滅しても, 毒素の毒性は失活しにくい.
    3) 芽胞を蚕幼虫に嚥下させ, 糸で頭部と尾部を結び熱湯中に一瞬浸漬して殺し1頭ごとに小型シャーレに入れ, 3~7ヵ月室温で放置した. のち屍体中におけるB. thuringiensisの増殖をしらべたところ, 10例のうち2例において増殖がみとめられた. しかしこのような屍体において結晶性毒素の形成は観察されなかった. また幼虫に芽胞を注射した場合も同様な結果がえられた. 蛹に芽胞を注射した場合はB. thuringiensisの増殖はいちじるしく, また屍体中に結晶性毒素が容易に観察された.
  • 堀江 保宏
    1962 年 31 巻 4 号 p. 258-264
    発行日: 1962/08/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    桑葉の水溶性分画の家蚕幼虫に対する摂食促進効果について検討を加え, 次の結果を得た.
    1) 水溶性分画の摂食促進効果の一部は酢酸鉛の添加により沈澱し, 酢酸エチルにより抽出される部分にある.
    2) これらの物質を基礎飼料に加えれば, 1令期に飼料を摂食せずに死亡する幼虫はなくなり, 摂食開始時期が早まって, 幼虫は桑葉粉末を添加した飼料と大差なく, 順調な成長を続ける.
    3) 桑葉より分離したイソケルシトリンを含む数種のフラボノイドについて摂食促進効果を調べ, イソケルシトリン, モリソ, ケルセチンは有効であったが, ケルシトリン, ルチンは効果が認められなかった.
    4) 酢酸鉛により沈澱する分画にはイソケルシトリン以外にも幼虫の摂食促進に有効な物質の存在する可能性に触れた.
  • 赤井 弘
    1962 年 31 巻 4 号 p. 265-267
    発行日: 1962/08/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    This paper deals with the electron microscopical differences between the tracheole and trachea which are observed in posterial division of the silk gland dissected from silkworm larva, 5 days old of the 5th instar. The results obtained are as follows:
    1. The taenidium projected into the lumen is seen in the longitudinal section of the trachea, showing that the projected portion of the taenidium is high electron density (A in Plate).
    2. In the tracheole, a kind of pattern originated from the projection of lining membrane is seen on the outer face of lining membrane (D in Plate). While, the base of lateral cavity which is observed on the lining membrane projects slightly into the lumen forming the spiral (E in Plate).
    3. From the foregoing results, it appears that the fine structure of lining membrane in the trachea differs from that in the tracheole.
  • 栗林 茂治, 鈴木 親抵
    1962 年 31 巻 4 号 p. 268-272
    発行日: 1962/08/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1. 2-2式石灰ボルドー液を桑園に散布した場合の蚕に対する毒性の残存日数を4齢桑付けから上蔟まで散布桑葉の連続給与によって調べた.
    2. 散布桑給与蚕の発育経過・食桑状態・体重などに対する影響, および死亡蚕は4齢期間にはほとんど見られなかったが5齢の中期以降になって急激に現われた.
    3. 4齢起蚕から連続給与しても5齢になってから急激に被害が現われる機構の詳細は不明であるが, 給与されるごとに銅が蓄積されで一定量に達した時に毒性を示すものと思われる.
    4. 石灰ボルドー液散布桑葉の蚕に対する影響の有無の判定は, 長期間連続給与によらなければならない.
    5. 石灰ボルドー液の残毒による蚕に対する影響は散布後の日数が短いほど大きく, 日数が長くなるにつれて小さくなるが, 24日前散布区でもまだ影響が見られた.
    6. 2-2式石灰ボルドー液を散布した壮蚕用桑は散布後少なくとも数週間経過後でなければ蚕に給与することは危険であると推察された.
  • 荒川 勇次郎, 有賀 久雄, 山田 篤, 小沢 昇, 大島 利通, 浜田 成義, 磯村 陽三, 河合 章, 矢木 博
    1962 年 31 巻 4 号 p. 273-283
    発行日: 1962/08/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    今後の桑の栽培体系確立への見とおし
    蚕作安定に関する基礎研究とその応用
    原料繭生産事情に対応する製糸技術上の問題点
    桑の栽植距離について
  • 西村 浩, 山崎 寿, 斎藤 忠一, 鮎沢 啓夫, 広部 達道, 針塚 正樹, 遠藤 竜雄, 余田 喜重, 丸山 義十, 中川 房吉, 吉田 ...
    1962 年 31 巻 4 号 p. 284-294
    発行日: 1962/08/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    栄養障害によるF型軟化病の発生
    伝染性のある蚕の軟化病 (F) とその問題点
    中腸型多角体病防除の基点
    中腸型多角体病防除の基点
    膿病抵抗性についての一実験
  • 絹からシスチン誘導体の分離
    岡本 奨
    1962 年 31 巻 4 号 p. 295
    発行日: 1962/08/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
  • 1962 年 31 巻 4 号 p. 298
    発行日: 1962年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
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