BactospéineおよびThuricideを用いて
B. thuringiensisの蚕におよぼす影響を調査し, 次のような結果がえられた.
1) 支108号×日115号, 日124号×支124号, 支115号×日122号を用いて3令および4令蚕にBactospéineおよびThuricideを添食し, LD
50 (μg/1頭) を測定した. 支108号×日115号は日124号×支124号および支115号× 日122号よりも毒素致死に対する抵抗力が大かった.
2) Bactospéineは100℃ 加熱およびフォルムアルデヒドガス接触によって芽胞が死滅し, それと共に毒素も毒性を失活する. しかし昇汞水浸漬の場合, 芽胞は死滅しても, 毒素の毒性は失活しにくい.
3) 芽胞を蚕幼虫に嚥下させ, 糸で頭部と尾部を結び熱湯中に一瞬浸漬して殺し1頭ごとに小型シャーレに入れ, 3~7ヵ月室温で放置した. のち屍体中における
B. thuringiensisの増殖をしらべたところ, 10例のうち2例において増殖がみとめられた. しかしこのような屍体において結晶性毒素の形成は観察されなかった. また幼虫に芽胞を注射した場合も同様な結果がえられた. 蛹に芽胞を注射した場合は
B. thuringiensisの増殖はいちじるしく, また屍体中に結晶性毒素が容易に観察された.
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