農林省放射線育種場 (茨城県大宮町) のガンマー線照射圃場に, 一ノ瀬ほか14品種を栽培し, 緩照射下における放射線感受性や芽条変異の発生状況を比較した結果はつぎのとおりである。
1. 各品種とも, 線源に近いものほど枝条の伸長は抑制されたが, 生育停止や枯死などは認められないので, 桑の致死線量は高く, 放射線感受性は低い種に属するものと考えられる。
2. 枝条の伸長に対する抑制や帯化枝の発生などから, 放射線感受性には品種間差異が認められ, 一ノ瀬, 改良鼠返, 剣持, 大島桑, 改良赤芽魯桑, 収穫, 魯八, 国桑20号, 国桑27号, 国桑27号, わせみどり, あつばみどりは高く, 谷1258, 新桑2号, 市平は低いものと考えられる。
3. 芽条変異の発生率は線源近くで高く, 遠いところでは低い傾向にあったが, 線源から79m (1.8R/day) でも比較的多くの芽条変異が認められた。また, 線量3kR, 30R/dayから1kR, 10R/dayの範囲で発生率が比較的高かった。
4. 発生した芽条変異は急照射によってすでに発見されたものと同様であったが, 葉色区分キメラや不整形葉は線源からの距離に関係なく発生したが, 黄葉は線源の近くに, 羽状葉や全縁葉は比較的遠いところに認められた。また, 発生率には品種間差が認められ, 一ノ瀬, 国桑21号, あつばみどりは高く, 改良鼠返, 魯八, わせみどり, 谷1258は比較的高く, 大島桑, 国桑20号, 国桑27号, 新桑2号等は低く, 剣持, 収穫一, 改良赤芽魯桑, 市平などには認められなかった。これらと放射線感受性との関係は明らかでなかった。
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