日本蚕糸学雑誌
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38 巻, 5 号
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  • (IV) 絹フィブロイン構成アミノ酸への中性塩の配位
    味沢 昭義
    1969 年 38 巻 5 号 p. 365-370
    発行日: 1969/10/31
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    繊維状フィブロインおよびそれを酵素分解した粉末状フィブロイン (結晶性とされる部分) をBr化あるいはCH2O化して, 中性塩類溶液への溶解性について実験し, 次の結果を得た。
    1. フィブロインをBr化またはCH2O化すると, 中性塩類溶液への溶解は減少する。
    2. フィブロインをBr化→CH2O化またはCH2O化→Br化すると, 中性塩類溶液への溶解はほぼ完全に抑制される。
    3. 中性塩類は, フィブロイン構成アミノ酸中のチロシン残基およびセリン残基に配位して, そこを起点として溶解する。
    4. 酵素分解した粉末状フィブロインも繊維状フィブロインと同様, フィブロイン構成アミノ酸中のチロシン残基あるいはセリン残基に中性塩類が配位して溶解する。
    5. 中性塩類水溶液および中性塩類アルコール水溶液でフィブロインを処理する際, 中性塩類は両者ともチロシンおよびセリン残基に配位する。
  • (V) 中性塩類溶液処理による絹フィブロインの塩縮現象
    味沢 昭義
    1969 年 38 巻 5 号 p. 371-376
    発行日: 1969/10/31
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    フィブロインを中性塩類水溶液および中性塩類アルコール水溶液で処理し, その塩縮現象について実験し, つぎの結果を得た。
    1. CaCl2-H2O=1:8M溶液により30℃でフィブロインを処理しても塩縮は全く起らないが, それにR・OHを添加すると溶液の繊維内への滲透が増大し, 中性塩類の侵入が促進し塩縮が起ると考察された。
    2. 処理温度30℃で最大塩縮を起すR・OHの添加量は, CaCl21Mに対し約2M (CaCl2-H2O-R・OH=1:8:2M) であり, さらに添加量が増加すると塩縮率は減少する。また, C2H5OHがCH3OHより塩縮率が大きい。
    3. フィブロインの塩縮過程におけるCaCl2吸着量は塩縮率と平行的な関係にある。
    4. 塩縮の進行にともなって, フィブロインの非結晶性領域量は増大し, 結晶性領域量は減少することから, フィブロインは塩縮によりその結晶領域が非晶化すると推定される。
    5. Br化→CH2OまたはCH2O化→Br化フィブロインは塩縮がほぼ完全に抑制される。このことから中性塩類はフィブロイン構成アミノ酸中, 主としてチロシンおよびセリン残基に配位して塩縮するものと考える。
  • 堀江 保宏, 渡辺 喜二郎
    1969 年 38 巻 5 号 p. 377-385
    発行日: 1969/10/31
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    桑葉育, 人工飼料育の家蚕幼虫について, 食下乾物量, 消化乾物量および消化率を測定した。食下および消化乾物量は雌がやや多く, 桑葉育と人工飼料育とでは大差なかったが, 消化乾物量および消化率は人工飼料育の方がやや高かった。
    食下熱量は桑葉育, 人工飼料育の場合に1頭当り21キロカロリー (雄), および22~25キロカロリー (雌) であって, 消化熱量は人工飼料育の方がやや高く, したがって熱量の消化利用率も人工飼料育の方が高かった。
    以上の諸結果から両飼料の飼料効率を, 単位体重増加に要する乾物量および熱量と単位繭層重生産に要する乾物量および熱量とで比較した。その結果本実験に用いた人工飼料は, 家蚕の成長に関しては桑葉と同程度の飼料効率を示したが, 絹物質生産に関する効率において桑葉に比べて劣ることがわかった。
  • 小原 隆三, 渡部 仁
    1969 年 38 巻 5 号 p. 386-394
    発行日: 1969/10/31
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    80系統のカイコを供試して, 5令幼虫の体液蛋白質をアガロース電気泳動によって分離した。その結果蛋白質濃度の高い3つの主要泳動帯が識別され, これらの泳動帯の示す移動度の差異を基準にして各系統の示す電気泳動像が4つの泳動型に分類された。
    泳動型が明瞭に異なる2系統 (支124号, y39) を供試し, それらの種々の交雑組合せで分離する泳動型を調べた結果, 主泳動帯を成すそれぞれの体液蛋白質の遺伝は, 共優性を示す1対の対立遺伝子に支配されていることが明らかになった。
    各種の14C-アミノ酸を注射した5令幼虫の体液蛋白質の電気泳動像とそのオートラジナグラムから, メチオニンが雄よりも雌の体液蛋白質によくとり込まれ, しかも雌性に関連をもつ主泳動帯の蛋白質に顕著にとり込まれることが明らかになった。また14C-チロシンをよくとり込むが代謝回転のきわめて早い体液蛋白質が識別された。
  • 平田 保夫, 蒲生 卓磨
    1969 年 38 巻 5 号 p. 395-400
    発行日: 1969/10/31
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    スライドグラス上で酵素反応を行ない, その色調によりアミラーゼ活性の強弱を判定する方法を検討したところ, アミラーゼ型を判定しうることが明らかとなったので, この方法を用いて現行および保存蚕品種について幼虫消化液のアミラーゼ型を調査し, 次の結果を得た。
    1. 保存蚕品種では消化液アミラーゼ型が (+) 型のみを示すものは少なく, ほとんどの品種は (+) 型と (-) 型とを混有しており, 品種によっては松村 (1936) の調査結果とは多少異なる表現型を示し, (-) 型に移行したものが多かった。
    2. 同一の品種名で保存されている蚕品種は, 保存場所の異なる系統間ではかならずしも同一のアミラーゼ型を示さず, 品種によっては (+) 型と (-) 型とが系統により相反しているものが認められた。
    3. 現行蚕品種のアミラーゼ型は今回の調査範囲ではすべて (-) 型であったが, このことにつき育種の見地から考察を加えた。
  • 平田 保夫, 蒲生 卓磨
    1969 年 38 巻 5 号 p. 401-405
    発行日: 1969/10/31
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    保存蚕品種と現行蚕品種とについて, 5令期幼虫の消化液アミラーゼ活性を酵素化学的に測定し, 次の結果を得た。
    1. アミラーゼ (+) 型品種において, 活性度は高い値 (マイナス型の約3~4倍), 品種間の変異は, (-) 型品種に比して極めて小さな値を示した。
    2. アミラーゼ (-) 型品種においては, 活性度は (+) 型品種に比較して極めて低いが, 品種間および個体間での変異は大きく, ほとんど澱粉を分解しないものから, 多少分解するものまで認められた。
    3. アミラーゼ (-) 型の現行蚕品種は保存品種の (-) 型のものよりもやや高い活性度を示した。
    4. アミラーゼ (-) 型の支那種は (-) 型の日本種よりもアミラーゼ活性のやや高い傾向を示した。
    5. 以上のことから, 蚕の消化液におけるアミラーゼ (-) 型は酵素活性は弱いが, 個体あるいは品種によっては多少澱粉を分解する作用を有するので (-) 型というのは不適当と判断される。
  • (IV) 蚕の細菌性疾病の発病機構に関する1考察
    児玉 礼次郎, 中筋 祐五郎
    1969 年 38 巻 5 号 p. 406-412
    発行日: 1969/10/31
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1. S. faecalis-S. faecium intermediate E-5 は Serratia piscatorsm E-15 の共存の有無にかかわらず消化管内で速やかに増殖し, 添食48時間を経過した時点では血液からも検出された。しかしこの菌は体腔内では速やかに増殖はしない。
    2. S. faecalis-S. faecium intermediate E-5 の増殖に伴なって消化管内容物のpH値は次第に低下し, その中の乳酸および酢酸の量は漸次増加する。
    3. Serratia piscatorsm E-15 は絶食条件下におけると同様に, 人工飼料が常時給与されている条件下でも, 単独では消化管内に増殖しにくいが, しかし S. faecalis-S. faecium intermediate E-5 との共存下では後者の増殖よりも時間的に若干おくれて消化管内に増殖した。
    4. 人工飼料による無菌飼育蚕の細菌性疾病の発病機構に部分的考察を加えた。すなわち S. faecalis-S. faecium intermediate E-5 は1次性侵襲菌として, また Serratia piscatorum E-15 は2次性侵襲菌として病原性を発現すると推論された。前者は慢性の消化管疾病を起さすと共に2次性侵襲菌にたいして1つの誘導的役割を果し, 後者は体腔内に侵入後敗血症を起させる。
  • (6) 桑葉のせん断抵抗について
    須藤 允, 藍 房和, 田原 虎次
    1969 年 38 巻 5 号 p. 413-420
    発行日: 1969/10/31
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    摘桑機を開発するための基礎資料の一つとして, 桑葉のせん断抵抗値を実験室内で測定した。その結果は次のようである。
    1. 桑葉のせん断抵抗値は葉柄の中央点で最大値3.9kg, 最小値1.5kg, 平均値2.75kgであった。
    2. 桑葉のせん断抵抗値は葉位と関係があり, その傾向は11葉位から30葉位間で上昇し30葉位と70葉位間に最大値が存在し, 70葉位を過ぎると減少の傾向を示した。
    3. 桑葉のせん断抵抗値と葉重との間では, せん断抵抗値は葉重が増加するにつれて直線的に大きくなる。また, 条長の長, 短によっても影響される。
    4. 桑葉のせん断抵抗値が葉柄の径によって支配される程度はそれほど大きくない。
    5. 桑葉のせん断抵抗値は葉柄上の位置で異なり, 最大値は葉柄の付根から10mmの点で3.73kg, 次が葉柄の中央点で3.32kg, 最小値は葉柄と葉身の境から5mmの点で2.67kgであった。また, 葉身部では3.84kgであった。
    6. 以上の結果から, 摘桑機は葉柄軸上でしかも, 条から離れた位置をせん断する機構とすることが有利と思われる。
  • 須貝 悦治, 平坂 克彦
    1969 年 38 巻 5 号 p. 421-426
    発行日: 1969/10/31
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    家蚕支127系統にみられる漿液膜異常卵について, 産下後の保護温度との関係および異常経過を細胞学的に検討し次の結果を得た。
    1. 産下後の高温 (25℃) 保護日数が20日間では, 異常卵はほとんど発現しないが, 60日間では著るしく増大した。しかし, 翌春の孵化歩合は両者ともに悪くなり, あまり差が認められなかった。
    2. 漿液膜の異常化は, 一般に卵表面の1箇所より開始され, 最初に各細胞の色素のみが細胞境界を貫通して順次ここに凝集し, 最後に核も引き寄せられて卵内深く陥没する。
    3. これらの異常卵胚子は翌春まで生存し, 催青によって発育をはじめ孵化するものもあるが, 未孵化卵では, 陥没した色素塊が, 反転現象など後期の胚発生能を物理的に阻害し, このため致死したとみられるような異常胚が多く観察された。
  • 1969 年 38 巻 5 号 p. 427-430
    発行日: 1969/10/31
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 38 巻 5 号 p. 431
    発行日: 1969/10/31
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    ジベレリンによるユスリ蚊幼虫の唾腺染色体パフの抑圧
    ユスリ蚊幼虫の唾腺における分泌タンパクの形成と細胞の機能
  • 1969 年 38 巻 5 号 p. 432a
    発行日: 1969年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 38 巻 5 号 p. 432b
    発行日: 1969年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 38 巻 5 号 p. 432c
    発行日: 1969年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 38 巻 5 号 p. 432d
    発行日: 1969年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 38 巻 5 号 p. 432e
    発行日: 1969年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
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