日本草地学会誌
Online ISSN : 2188-6555
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ISSN-L : 0447-5933
30 巻, 3 号
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  • 原稿種別: 表紙
    1984 年 30 巻 3 号 p. Cover9-
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
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  • 原稿種別: 表紙
    1984 年 30 巻 3 号 p. Cover10-
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1984 年 30 巻 3 号 p. i-
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
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  • 原稿種別: 付録等
    1984 年 30 巻 3 号 p. v-vii
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
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  • 井上 康昭
    原稿種別: 本文
    1984 年 30 巻 3 号 p. 209-215
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
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    米国コーンベルトには,農業上有用な遺伝子を集積した多くの改良集団がある。しかし,それらを我が国の寒冷地帯に導入した場合,多くは晩生に過ぎ何らかの方法で早生化を図る必要性が生じる。本報告は,米国より導入した改良集団BS13(S_2)C_1を用いて,早生化に対する集団選抜を比較的小さな集団で,5サイクルにわたって実施した結果である。集団選抜の効果を調べるとともに組合せ能力を含む他の幾つかの形質に及ぽす選抜の影響を,それぞれの形質の集団平均値および分散をパラメーターとして調べた。集団選抜の5サイクルによって,雄穂抽日で10.1日,絹糸抽出日で7.1日早生化した。これは,サイクルあたりそれぞれ2.0日および1.4日に相当した。さらに,本実験から得られたデータを用いて,集団の標準偏差(s),選抜差(k),および遺伝率(h^2=0.53)から,集団選抜の効果(ΔG)の推定式ΔG=0.53ksを得た。早生化に対する集団選抜の影響として,初期生育および百粒重の増大,稈長および着雌穂高の減少,絹糸抽出の遅延および有効雌穂数の減少がみられた。実施したC_0〜C_2間の組合せ能力の比較では差はなかった。集団選抜が諸形質の集団の変異性に及ぼす影響は,選抜対象形質である出穂形質も含めて,著しく悪い影響は認められなかった。
  • 松村 正幸, 中島 仁蔵
    原稿種別: 本文
    1984 年 30 巻 3 号 p. 216-223
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
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    発芽の容易な系統を選びだすための基礎として,第1報と同じシバ(Zoysia japonica STEUD.)の地方系統間の発芽特性を比較した。全国約30地域から集めた栄養系を斉一圃場で栽培して保存系統とし採種に供した。精選した稔実粒のみを,それぞれ第1実験(1978年原山採種)及び第2実験(1981年各務原採種)に供試し,いずれも無処理及び各種の発芽促進処理に対する系統別の発芽反応を調べた。供試粒数は1区100粒の2〜4反復とした。両実験を通じて,無処理種子の系統平均発芽率は低く,かつ系統間に幅広い変異がみられた。分散分析の結果,系統間の差は有意であった。与えられた処理と発芽条件との組合せに対する反応もまた,系統によって大きく異なっていた。それぞれの実験について,発芽率を相対値に変え,系統ごとに処理間で平均した値を相対発芽度(RGD)と仮称して,各系統の発芽性を概括的に評価する指標に用いた。このRGD値は,第1,第2両実験間にr=0.77の有意の相関を示した。このことから,保存系統の多くは系統特有の発芽性をもった種子を,異なる条件下においてもほぼ安定して生産しうることが示唆された。両実験間の平均RGDをおもな基準にして,供試系統を発芽の難易度に応じてA〜Dの4型に区分した。易発芽型であるD型には同時に稔実率の優れた系統が含まれており,種子繁殖に適した系統育成の見地からは,これらのD型及び一部のC型に属する保存栄養系統が有用な素材となりうると考えられた。
  • 中野 淳一
    原稿種別: 本文
    1984 年 30 巻 3 号 p. 224-228
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
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    夏型飼料作物の従属栄養期における幼植物の生長と呼吸の関係を定量的に明らかにする目的で,ローズグラス,シコクビエ,ソルガム,トウモロコシおよび対照作物(イネ,コムギ)を供試し,暗黒条件下で生育させた。得られた結果の概要は次のとおりである。1.貯蔵養分消費速度(%/day)は種子が小さいほど大きい傾向が認められローズグラスの貯蔵養分消費速度が最も大であった。2.幼植物の相対生長率(RGR)は貯蔵養分消費速度の大なる草種ほど大きい傾向がみられたが,シコクビエのRGRは供試草種中最大であった。これらのことから,従属栄養期のRGRの草種間差異には貯蔵養分消費速度だけでなく呼吸も関与しているものと推察された。3.貯蔵養分消費速度とRGRは温度に強く影響されるのに対し,生長効率は15〜30℃の範囲内では温度に影響されることは少なかった。4.生長効率(GE)には草種間差異が認められ,供試草種の中ではシコクビエの生長効率(GE)が最も高かった。以上の結果から,シコクビエの生長効率(GE)が高いことが幼植物のRGRを高くしている原因の一つであると考えられた。
  • 中野 淳一
    原稿種別: 本文
    1984 年 30 巻 3 号 p. 229-234
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    本報告は夏型飼料作物の生長効率にみられた草種間差異を解析する目的で,ソルガム,イネ,グリーンパニカム,ローズグラス,シコクビエおよび対照作物(コムギ,ダイズ,ナタネ)を照明および暗黒条件下で生育させ維持呼吸速度(M)と生長呼吸係数(Gr)および転換効率(K)について測定した。結果を要約すると以下のとおりである。1.幼植物の全呼吸速度と幼植物の相対生長率(RGR)との問には各供試作物ともに有意な直線関係が認められ,これよりHESKETHらの方法に従って,維持呼吸速度(M)および生長呼吸係数(Gr)を算出した。2.維持呼吸速度(M)には温度の影響が著しいだけでなく,草種間差異も認められた。概して種子が小さな草種ほど大きい傾向がみられ,供試草種中ではローズグラスが最も大であった。3.生長呼吸係数(Gr)には温度の影響や草種間差異はほとんど認められなかった。25℃区のGrの平均値は0.224であり,これを転換効率K=1/(1+Gr)に変換すると0.82であった。4.生長効率(GE)とk,M,RGR,には1/GE=1/K+M/RGRなる関係式が成り立つことが明らかとなった。以上の結果から,生長効率(GE)の草種間差異の原因はM/RGR〔MGR〕にあることがわかった。5.Kを0.8と仮定し,前報のGEの結果からMGRを算出すると,MGRにも草種間差異が存在し,供試草種の中ではシコクビエが最も小さい値を示した。
  • 北村 征生
    原稿種別: 本文
    1984 年 30 巻 3 号 p. 235-242
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    前報(VII)で得られた植物試料の内,播種翌年度分についてin vitro乾物消化率を求め,可消化乾物収量の視点から暖地型マメ科・イネ科牧草混播栽培の効果を検討した。供試草種および試験方法は前報(VII)と同じである。年間合計可消化乾物収量はエンディバーおよびスコフィールドとイネ科牧草との混播区が,タウンズビルとイネ科牧草との混播区よりも多かった。この可消化乾物収量をローズグラス単播で得ようとすれば,年間25〜35kg/10aの窒素施肥が必要であると推定された。同伴イネ科牧草としては,草高40〜50cmで刈取る場合にはギニアグラス,60〜70cmで刈取る場合にはセタリアグラスまたはローズグラスが好適と考えられた。混播区では,可消化乾物生産力の季節変動が大きく,特に,60cm刈区で著しかった。in vitroの乾物消化率はマメ科がイネ科より4〜16%高かったが,両者とも気温が高い季節には低い消化率,低い季節には高い消化率を示し,前者は再生期間の日平均気温,後者は積算温度との相関が高かった。以上の結果から,乾物収量よりも可消化乾物収量で評価したほうが,供試マメ科・イネ科混播栽培の有望性が強調出来たが,可消化乾物収量をさらに増大させるためには,刈取間隔を短くすること,マメ科割合が低下しないような栽培管理が必要と考えられた。
  • 北村 征生
    原稿種別: 本文
    1984 年 30 巻 3 号 p. 243-249
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    ローズグラス単播草地において,完全耕起,簡易耕起,除草剤散布,火入れ,および不耕起による方法で前植生を抑圧し,暖地型マメ科牧草サイラトロ(Macroptilium atropurpureum cv. Siratro)およびエンディバー(Stylosanthes guianensis cv. Endeavour)を追播して,混播草地造成の可能性を検討した。両草種とも,簡易耕起または除草剤散布により前植生を抑圧した後追播すれば,年間合計乾物収量が増大し,最終草のマメ科率が適当になることが明らかになった。この結果は,上述2種の抑圧処理の後マメ科草を追播すれば,草地に定着する幼植物数が増大することに起因するものと考えられた。また,サイラトロはエンディバーとくらべて,同伴植物との競合能力が劣るため,追播前に前植生を十分抑圧し,約50本/m^2以上の幼植物が定着するような追播方法をとることが望ましいと考えられた。
  • 野島 博, 大泉 久一, 高崎 康夫
    原稿種別: 本文
    1984 年 30 巻 3 号 p. 250-254
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    オーチャードグラスの再生初期における貯蔵炭水化物の役割と利用の程度を明らかにするため,^<14>C-トレーサー法を用いて実験を行った。品種フロードの1クローンを3.76ppm (N_1区),15.05ppm (N_2区),30.10ppm (N_3区),60.20ppm (N_4区)の4段階の窒素濃度で水耕栽培した。約2ケ月間生育させた後,24時間^<14>CO_2を同化吸収させ,直ちに葉身を全部刈取り,その後の再生過程における各器官への^<14>Cの転流・分配をみた。刈取後2日目において,再生葉乾重は,多窒素区ほど有意に重かった。刈取時の刈株十根の全放射能に対する刈取後2日目の再生葉の放射能の割合は,各区とも大きな差がみられなかった。しかし,刈株+根の^<14>C-放射能の減少量は多窒素区ほど大きかった。刈取時の刈株TNC量は各区とも差がなく,貯蔵炭水化物の再生葉への移行量もあまり差がないと推定されることから,窒素段階による貯蔵炭水化物の消費量の差は,呼吸量に多く表われ,多窒素区ほど呼吸量が多くなるものと考えられる。また,刈株十根での^<14>C-放射能の減少は刈取後4日目までみられた。以上の結果から,貯蔵炭水化物が再生に果たす役割は再生葉の構成材料としては少なく,呼吸基質として,とくに再生初期に重要であると思われた。
  • 三枝 正彦, 庄子 貞雄
    原稿種別: 本文
    1984 年 30 巻 3 号 p. 255-263
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    耐酸性の弱いアルファルファは弱酸性下層土の蔵王土壌では正常な生育を示すが,強酸性下層土の川渡土壌ではA1の過剰障害が起こり,下層土への根張りが著しく制限された。これに対して,耐酸性の強いオーチャードグラスは両土壌で,正常な生育を示した。秋播栽培では,基肥窒素は容易に硝酸イオンとなり降雨によって下層土ヘ一方的に移動した。その結果,下層土への根張りが制限された川渡区のアルファルファは著しい窒素欠乏症を示し,その収量は蔵王区の2割であった。これに対して,春播栽培では蒸発散量が多く,窒素が生育の制限因子となることはなかった。しかし,下層土への根張りが悪い川渡区のアルファルファは水分ストレスを示し収量は蔵王区の6割弱となった。一方,下層土への根張りが充分なオーチャードグラスの収量は,秋播,春播栽培とも両土壌間で大きな違いはなかった。秋播栽培の基肥窒素利用率は,下層土への根張りを反映し,アルファルファの川渡区で5.3%,蔵王区で28.2%,オーチャードグラスの川渡区で46.2%,蔵王区で79.4%であった。これに対して,追肥窒素利用率はアルファルファの川渡区で44.6%,蔵王区で65.0%,オーチャードグラスの川渡区で79.1%,蔵王区で84,7%と基肥窒素利用率よりも高く,土壌間差も小さかった。一方,春播栽培の基肥窒素利用率は51〜64%の範囲にあり,土壌および草種間で大きな違いはなかった。吸収窒素を由来別にみると,アルファルファでは約8割,オーチャードグラスでは約6割が土壌(固定窒素を含む)由来であり,黒ボク土の地力窒素の重要性が示唆された。また,基肥由来窒素の吸収量は少ないが,生育初期における重要陸が明らかとなった。以上のことより黒ボク土における牧草の窒素吸収と生育収量は下層土の酸性状態と密接な関係にあり,草地における下層土の土壌改良が重要であると指適された。また,混播草地の豆科率低下に下層土酸性が関係していることが推察された。
  • 高橋 繁男, 秋山 侃, 塩見 正衛, 大久保 忠旦
    原稿種別: 本文
    1984 年 30 巻 3 号 p. 264-268
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    数種の牧草を混播した放牧草地において,各草種の茎葉別のin vitro乾物消化率を,2年間経時的に測定した。放牧草地には,2段階の放牧強度を設定し,それぞれ輪換放牧を行った。イネ科草の乾物消化率は葉身部,茎部ともに早春に最も高く,節間伸長期には最低となった。そして秋に再び高くなった。放牧強度の弱い牧区では,強い牧区に比べて茎葉とも消化率が低い傾向がみられ,とくに出穂期から夏にかけて相違があったが,その程度は草種により異なった。イネ科草では,被食後の再生期間の平均気温,とくに日最高気温と乾物消化率との間に,いずれの草種でも有意な負の相関が認められた。
  • 大島 光昭, 十川 政典
    原稿種別: 本文
    1984 年 30 巻 3 号 p. 269-274
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    産後2.5〜3.5ケ月を経過したホルスタイン種乳牛に,一定量の濃厚飼料とともに,ソルガム,イタリアンライグラス及びエンバクの緑葉蛋白質抽出残渣(FR)サイレージ,慣用のソルガムサイレージ及びトウモロコシホールクロップサイレージを単一粗飼料源として自由摂取させた際の,飼料成分の消化性を比較した。その結果,粗繊維及びADFの消化率はエンバクFR及びイタリアンFRの順に他より有意に高く,ソルガムFRも慣用ソルガムサイレージより有意に高くかつトウモロコシホールクロップサイレージよりやや高い傾向を示した。給与飼料中の可消化エネルギー含量は,エンバクFRの場合が穀粒を含むトウモロコシホールクロップサイレージの場合と共にもっとも高く,イタリアンFR及びソルガムFRがこれに次ぎ,慣用ソルガムサイレージがもっとも低く,これらの間に有意差が存在した。乾物消化率,有機物消化率及びTDN含量も,可消化エネルギー含量と同様の傾向を示した。粗蛋白質の消化率は,飼料間に有意差が認められなかった。実験期間中,飼料の差に基づく乳量変化は認められず,経過日数と乳量の間にr=-0.9998の直線回帰がえられた。
  • 篠田 満, 阿部 亮, 岡本 明治, 市川 雄樹, 佐藤 文俊, 久保 政則, 高橋 敏
    原稿種別: 本文
    1984 年 30 巻 3 号 p. 275-283
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    刈り取り期などにより一般に成分の変動が大きいサイレージと乾草について,その成分含量の変動を調べ,サンプリング法,主に分析用のサンプル量について検討した。1.サイロ内のトウモロコシサイレージの表面では,サンプリング部位間のデンプン含量の変動が大きく,子実が偏在していることが認められた。乾物の含量もサンプルを採取した部位間で,7%以上の差のみられる例があった。2.トウモロコシサイレージを四分法でサンプン量が0.25kgになるまで縮分を行なうと,成分の変動が大きくなるもののその差は比較的小さく,実用上0.25kgのサンプル量でも十分であると考えられた。牧草サイレージではその差はさらに小さかった。3.サイロから取り出した約20kgのサイレージの乾物含量は,24時間経過しても約3%の上昇を示したにとどまった。したがって短時間しか取り出してから経過していなければもとの乾物含量に近い値を得ることが可能と考えられる。4.5個の梱包乾草(ベール)からヘイサンプラーで採取した70点のサンプルの分析値によると,ベール問で水分,CPおよびCWの含量に差はみられたものの,ベール内では変動は比較的小さかった。したがって多数のベールの成分含量を推定するには各ベールからサンプルを一点づつ採取すれば実用上十分であると考えられる。
  • 藤原 勉, 大島 光昭
    原稿種別: 本文
    1984 年 30 巻 3 号 p. 284-290
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    ラジノクローバおよびソラマメ茎葉から緑葉蛋白を抽出した後の繊維残渣を人工乾燥し,その飼料価値について検討するため,ヒツジを用いて消化試験を行い,次の様な結果を得た.なお対照として二番刈りのイタリアンライグラスを用いた実験を行った。1.乾燥残渣の粗蛋白含量は19〜20%(乾物当り)であり乾草のそれよりも高く,また同様の残渣を用いて調製したサイレージのそれとほぼ同様であった。2.乾燥残渣の有機物および粗繊維の消化率は乾草のそれらに比べて有意に高く,また粗蛋白質および可溶無窒素物の消化率も乾草のそれらよりかなり高い値であった。3.乾燥残渣給与時の尿中への窒素排泄量は乾草給与時のそれよりかなり多くなり,体内蓄積窒素量は両飼料給与時ではほとんど差はなかったが,可消化窒素量に対する体内蓄積窒素量の割合は乾燥残渣給与の場合に若干高い値となった。4.第1胃内汁液中のアンモニア濃度は乾燥残渣および乾草給与の場合でほぼ同様の値であった。第1胃内汁液中のVFA濃度は混合残渣(ラジノ:ソラマメ/1:1)給与時に若干高い値であったが,ラジノ残渣給与時では乾草給与時と同程度であった。5.血中尿素態窒素濃度は乾燥残渣給与時には乾草給与時に比して若干低い値であったが,血中総蛋白濃度は乾燥残渣給与時に高い値となった。これらの結果から,乾燥したマメ科牧草の蛋白質抽出残渣はイタリアンライグラス乾草に比べて若干高い粗飼料としての価値を有し,またサイレージ調整した場合(無処理)よりも窒素の利用性は良いことが示された。
  • 古川 良子, 篠田 満, 岩崎 薫, 阿部 亮
    原稿種別: 本文
    1984 年 30 巻 3 号 p. 291-296
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    トウモロコシのサイロ詰め段階で追い詰めを行なったために生じたと考えられる複変層について,成分量および消化率を正常なサイレージと比較検討した。褐変サイレージでは,各種成分組成は対照区とほとんど変らないことが認められた。しかし,その粗蛋白質(CP)消化率は対照区より約8%低下し,可消化養分総量(TDN)も約4%低下した。TDN低下の主要因は,可消化の構造性炭水化物量の低下であると考えられた。また,褐変サイレージでは繊維画分中に残留する窒素成分の量が増加し,特にADF,NDF中には対照区の約2倍の窒素成分が存在することが認められた。更に,褐変サイレージでは蛋白質構成アミノ酸の組成も変化し,リジン等数種のアミノ酸含量が低下することが認められた。
  • 宮沢 香春
    原稿種別: 本文
    1984 年 30 巻 3 号 p. 297-302
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    北海道の酪農経営は自然立地の特性に応じ,地域的特化のうえに展開している。本稿は,北海道において今日展開されている代表的な草地型酪農の経営的諸特徴を明らかにする。そのため酪農経営を土地利用方式別に草地型と畑地型に類別し,生産構造の比較分析をする。分析した基礎資料は,北海道酪農協会が北海道全域にわたって調査した酪農経営調査個表である。この調査個表から6個の経営特性値を用い線型判別関数分析によって草地型および畑地型の酪農家を分析対象に選定した。分析結果は,(1)草地型酪農経営の特徴は,土地生産性指標からみると,土地当りの乳用牛飼養頭数,産乳量,飼料生産量,酪農収益,農業所得などの水準が低く粗放的であり,労働生産性指標では労働力当りの飼料作面積,乳用牛飼養頭数,産乳量が多く,労働効率が高い。また,乳用牛生産性指標では成牛換算1頭当りの農業所得,収益性が大きい。(2)飼料生産原価ではha当り生産量が多くなるほど低く,しかも畑地型より低くなる傾向を示す。(3)牛乳の生産原価では草地型は畑地型に対し低い。産乳量別では草地型は産乳量(1頭当り)の増加に伴い牛乳生産原価が減少するが,畑地型では草地型に比較するとその減少率が低い。飼料費のうち自給飼料率は産乳量(1頭当り)の増加に伴って減少し,それは畑地型より大きい。(4)平均限界生産力によって経済性をみると,飼料面積の追加的投入による酪農収益の増加額は草地型では畑地型の1/2以下にとどまった。したがって草地型といえども,良質粗飼料の高位生産を基軸に,低コスト生産を可能とする草地型酪農経営を確立することが重要である。
  • 熊井 清雄, 福見 良平, 丹比 邦保
    原稿種別: 本文
    1984 年 30 巻 3 号 p. 303-306
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    アローリーフクローバーはイタリアを原産とする越年生マメ科牧草である。その歴史は新しく,1930年代にイタリア中部で最初に牧草として栽培された。その後,1950年代にアメリカに導入されて品種改良が進み,現在ではミシシッピー河の下流域を中心とする南部諸州で広く栽培されている。本草はわが国においては,これまでほとんど栽培されたことのない牧草であるが,原産地のイタリアやすでに広く栽培されているアメリカの気象データから推定して,わが国の温暖地に適するクローバーの一つと考えられた。そこで筆者らはアカクローバー(Trifolium pratense L.)を対照作物としてアローリーフクローバーを試作し,両者の収量ならびに飼料価値を比較検討したので,試験結果をここに報告する。
  • 北原 徳久
    原稿種別: 本文
    1984 年 30 巻 3 号 p. 307-310
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    著者らは,暖地における寒地型草地の夏期の牧養力の向上をはかるため,春期の利用を抑制して備蓄した草を夏期に利用するいわゆる待期放牧法について検討してきた。この研究の中で,春期の利用抑制を連年適用した場合においても年間収量が減少するような傾向は認められず,その原因として自然下種自生個体が貢献していることを明らかにした。本報は,4年間この抑制処理を加えた草地を慣行の利用に戻した場合の生産性について検討したものである。なお,この報告は,試験結果を考察する上で必要と思われたため,既報のデータの一部を重複して掲載した。
  • 藤原 勉, 花房 芳視, 大島 光昭
    原稿種別: 本文
    1984 年 30 巻 3 号 p. 311-315
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    ラジノクローバおよびソラマメ茎葉の緑葉蛋白(LPC)抽出後の残渣を用いたサイレージの飼料価値は,オーチャードグラス乾草のそれにほぼ等しく,チモシー乾草のそれより若干優れている事は既に報告した(日草誌26,28巻,およびJ.Agr.Sci.Camb.97,98巻)。また飼料窒素の利用については,調製時にギ酸,フォルマリン処理すると利用効率は改善されるが,そのサイレージが高水分であり,単一給与の場合はかなり窒素の損失があることが示唆された。そこで本実験では,より実際的な使用を考慮し乾草を併用した場合のメンヨウにおける窒素の利用について検討し,次の様な結果を得た。1.有機物の消化率はサイレージのみの給与の場合に比して乾草併用によって若干低下する傾向であったが,粗蛋白の消化率は,特にギ酸,フォルマリン処理サイレージ+乾草給与の場合はかなり改善された。2.窒素出納では,サイレージの単一給与の場合に比して,特に無処理サイレージ+乾草給与率の尿中窒素排泄量が著しく減少し,体内窒素蓄積量が増加し,更に窒素の利用効率が明らかに改善された。3)乾草との併用によって,第1胃内アンモニア濃度の給餌後における急上昇は無処理サイレージの場合にもさけられ,また第1胃低級脂肪酸濃度もサイレージ単一給与の場合よりも若干高く推移し,第1胃内発酵もより順調であった事が示唆された。これらの結果から,豆科植物(クローバ,ソラマメ)の蛋白抽出残渣より調製した高水分サイレージは乾草を併用することにより,特に窒素の利用性は改善され,無処理サイレージでの効果が著しいことが明らかになった。
  • 鈴木 信治
    原稿種別: 本文
    1984 年 30 巻 3 号 p. 316-325
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1984 年 30 巻 3 号 p. 326-
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1984 年 30 巻 3 号 p. App10-
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1984 年 30 巻 3 号 p. App11-
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1984 年 30 巻 3 号 p. App12-
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
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  • 原稿種別: 表紙
    1984 年 30 巻 3 号 p. Cover11-
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
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  • 原稿種別: 表紙
    1984 年 30 巻 3 号 p. Cover12-
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2017/07/07
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