稲(Oryza sativa L.)の品種・系統の違いが稲わらの栄養価に及ぼす影響について検討した。供試した稲わらはアキチカラ(日本型稲),コシヒカリ(日本型稲),北陸147号(インド型稲)及び北陸148号(日本型稲)で,それぞれ成熟期に刈取り,3cmの長さに細断したものを用いた。供試家畜は日本在来種去勢山羊4頭(平均体重28.7kg)で,稲わらを山羊にTDN維持量給与し,4×4のラテン方格法により代謝試験を行った。なお,給与飼料には粗蛋白質含量が12%となるように大豆粕を添加した。供試した稲わらのうちで,コシヒカリの稈長は大きく,乾物収量は多かった。化学成分には大きな差は認められなかったが,北陸147号のリグニン含量が少ない傾向にあった。北陸147号は他の稲わらに比べ,乾物(DM),有機物(OM),エーテル抽出物(EE),細胞壁の有機物部分(OCW),酸性デタージェント繊維(ADF),エネルギーの消化率が有意に高かった。また,可消化養分総量(TDN),可消化エネルギー(DE)及び代謝エネルギー(ME)も北陸147号がアキチカラ,コシヒカリに比べ有意に多かった。エネルギー出納では,北陸147号の糞中,尿中に排泄されるエネルギー量はアキチカラ,コシヒカリに比べ有意に少なく,従って,蓄積されたエネルギー量は他のわらに比べ有意に多かった。
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