泌乳牛に対する輸入アルファルファ乾草(ALH)から早刈り利用オーチャードグラス1番草サイレージ(OGS)への代替給与効果を明らかにするため,濃厚飼料低減を伴う代替給与が採食量,乳生産,消化率および窒素出納に及ぼす影響を検証した。6頭の経産乳牛を用いて3×3ラテン方格法で飼養試験を実施した。飼料処理は3処理としALHおよび圧ペントウモロコシとOGSの混合比率を直線的に変化させた。繊維消化率,乾物摂取量,乳脂補正乳量はOGS増給に伴って直線的に増加した。摂取量あたりの糞中と乳中への窒素配分率は飼料処理間で差はないが,OGS増給に伴って尿中配分率は低下し,蓄積配分率は増加した。ALHの代わりにOGSを利用することによって,乳生産性と窒素利用効率の向上や濃厚飼料の利用節減が期待できることが示された。
極晩生のギニアグラス「うーまく」の乾物収量,飼料成分および第一胃内分解性に及ぼす栽培日数の影響を検討した。「うーまく」とローズグラス「カタンボラ」を60日,75日,90日間栽培した。「うーまく」の乾物収量は栽培日数が長くなると上昇し,栽培期間を通して「カタンボラ」よりも高く推移した。飼料成分では,栽培日数が長くなると,粗蛋白質含量が減少し,非繊維性炭水化物含量が増加したが,中性デタージェント繊維含量には変化がなかった。第一胃内分解性は,長い栽培日数で低下した。しかし,栽培60日目の「うーまく」と90日目の「カタンボラ」の比較では,「うーまく」の乾物収量および第一胃内分解性が勝っていた。以上のことから,「うーまく」は,九州地域で夏季に安定的に栽培できる非常に有望な牧草品種であると考えられた。
根釧地域において,冬季の土壌凍結とガレガ(Galega orientalis Lam.)の越冬後の生育との関係を明らかにするため,単播・条播条件(試験1)およびチモシー(Phleum pretense L.)との混播・散播条件(試験2)において,人工的に積雪を除いて土壌凍結を促進させた凍結区と自然積雪条件の対照区を設け,越冬後のガレガの生育に与える影響を検討した。両処理区とも最大土壌凍結深が3 cm以上まで進行した試験1の2016年では,両処理区とも極めて低収となった。また,対照区と凍結区の土壌凍結深に約10 cmの差が発生した2017年では,両試験の凍結区で越冬後から1番草までのガレガの生育に停滞が認められた。このことから,凍害が越冬後のガレガの生育阻害要因となっている可能性が高い。