南九州の重粘土壌における3種類の粗飼料作付体系を中心に,収量の年次間変動(最大5ヵ年)とそれに及ぼす気象要因の影響を検討した。夏作物(トウモロコシ,ソルガム)の収量は,冬作イタリアンライグラスに比べ年次間変動が大きく,台風襲来に伴う倒伏で大きく減収した。作付体系別では,夏作トウモロコシ-福作イタリアンライグラス体系の変動係数は31.2%であり,トウモロコシ二期作体系の34.8%とほぼ同程度で,夏作のみの場合(52.8%)に比べて変動が抑制され,3作付体系の中で年間合計乾物収量は最も高くなった。夏作ソルガムにも冬作イタリアンライグラスを組み合わせることにより,年間合計乾物収量の変動係数が抑制された。したがって,重粘土壌では夏作-冬作の作付体系の実施が,年間収量の安定性の確保に重要であることが示唆された。
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