イタリアンライグラスの2品種(早・晩生1品種ずつ)を供試して,4段階の窒素水準と自然倒伏区および倒伏防止区を設け,高窒素(ここでは2kg N/a以上をさす)施肥による採種量の低下が,倒伏だけによるものかどうかを明らかにしようとした。採種時の茎葉重は,窒素施肥によって無N区より大きくなったが,倒伏防止区では,窒素施用量の違いによる差異は全く認められなかった。それに対し,自然倒伏区では窒素施用量が高くなるほど,茎葉重は増大した。倒伏の発生は,無N区において最もおそく,その程度は最も小さかった。次いで,1kg N/aが小さく,しかも高窒素施用区より折損が少なかった。穂数は,品種・窒素水準にかかわらず,倒伏防止区が自然倒伏区より大きかった。ヤマアオバの穂数は,倒伏防止区と自然倒伏区とが,窒素水準に対して平行に推移し,ともに1kg N/aで最大となったのに対し,ワセアオバでは,倒伏防止区は2kg N/a,自然倒伏区は1kg N/aにおいて最大となり,ワセアオバの高窒素による穂数の低下は,倒伏によるところが大きかった。それに対し,ヤマアオバでは倒伏だけに起因しているのではないことが明らかとなった。一穂粒重も,倒伏防止区の方が自然倒伏区より大きく,ヤマアオバではいずれの窒素水準,倒伏処理でも無N区より大きくなったのに対し,ワセアオバでは,高窒素施肥により無N区より小さくなった。採種量は,いずれの品種,倒伏処理でも,1kg N/aにおいて最大となり,2・4kg N/aでは激減した。また,いずれの品種,窒素水準においても倒伏防止によって採種量は著しく向上したが,とくに高窒素での倒伏防止効果が高くなった。このことから,高窒素による自然倒伏区での採種量の低下には,1kg N/aの場合よりも倒伏が,より関与していることが認められた。しかし,倒伏防止区において高窒素によって,採種量は1kg N/aより低下していることから,高窒素による採種量の低下は,倒伏だけでは説明できないことが明らかとなった。
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