日本草地学会誌
Online ISSN : 2188-6555
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25 巻, 4 号
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  • 原稿種別: 表紙
    1980 年25 巻4 号 p. Cover13-
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
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  • 原稿種別: 表紙
    1980 年25 巻4 号 p. Cover14-
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1980 年25 巻4 号 p. App7-
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
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  • 阿部 二朗
    原稿種別: 本文
    1980 年25 巻4 号 p. 279-284
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
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    寒地型牧草5草種(チモシー・メドーフェスク・オーチャードグラス・トールフェスク・ペレニアルライグラス)について,北海道奨励品種を中心に各草種6-11品種供試して,耐寒性幼苗検定を実施した。オーチャードグラスには-10℃・16時間処理,それ以外の草種に対しては-12℃・16時間処理を加えた。メドーフェスクとオーチャードグラスには好適な方法であったが,他の3草種に対しては改良すべきであることが認められた。全草種を通じて育成地または母材の育成地の冬の寒さが耐寒性に最も影響を及ぼしていることが判明した。若干の例外はあるが,北欧・カナダ産品種が強,本邦産品種は中,英国・南欧産品種は弱と分類された。ペレニアルライグラスおよびその他草種で最低ランクに含まれた品種の厳寒地への導入には問題があると考えられる。
  • 田中 弘敬, 宝示戸 貞雄, 佐藤 信之助, 池谷 文夫
    原稿種別: 本文
    1980 年25 巻4 号 p. 285-294
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
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    育種素材を評価する際に,放牧と刈取りとで栄養系の反応が異なるかどうか,あわせてそれら栄養系の季節生産性にどのような差があるかを明らかにする目的で,来歴を異にするオーチャードグラス64栄養系の生産性を放牧および刈取条件で3年間比較した。毎年7月〜9月にメヒシバを主体とする畑地雑草の侵入が見られたが,この傾向は放牧区において著しかった。3年後に刈株の密度を評点したところ,栄養系の差の外に処理(放牧および刈取り)による差も1%水準で有意で,放牧区の方が密度が疎となり,分散も大となった。生草重についての分散分析の結果,処理,栄養系,年,時期の主効果はいずれも統計的に1%水準で有意であった。これらの因子の1次交互作用の全部,2次交互作用の多くが1%水準で有意であった。栄養系は処理,年,時期のいずれとも交互作用を有し,その反応が異なることが判った。栄養系の放牧と刈取りについてのスビアマンの順位相関係数は全体としてはやや高かったが,生草重順位が上位の栄養系が下位の栄養系に比べて順位相関係数が低く,また生育型別の値も低かった。つまり順位群別,型別に見た場合,個々の栄養系の反応は放牧と刈取りの成績が必ずしも一致しなかった。栄養系の特性を評価するにあたって,生草重3ヶ年平均,フィンレイの回帰係数,歪度,尖度,年次傾向,放牧/刈取比の6つの特性値で標示した。栄養系の特性は季節生産の型に最も特徴的に表われ,供試した栄養系はその来歴と関係が深い4つの生育型に分類された。
  • 前田 敏, 米谷 正
    原稿種別: 本文
    1980 年25 巻4 号 p. 295-302
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
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    イタリアンライグラス個体群形成過程における葉面積増加のロジスチック回帰式をもとに,葉面積増加の部分勾配(dL/dt),つまりLGRの推移と,葉面積増加の平均速度(L/t),つまり平均葉面積生産力の推移を検討した。1)LGR_<max>ならびに平均葉面積生産力の最大値は,それぞれ5ヵ年間の平均値で示すと,春は5328,4062,秋は3570,2198,冬は1474,1058cm^2・m^<-2>・day<-1>であった。2)LGR_<max>と平均葉面積生産力の最大値との間には,年度,季節のちがいにもかかわらず(1)式で示される高い正の相関(r=0.956)が認められた。平均葉面積生産力最大値≒0.769LGR_<max>-159.6(1) 3)LGR_<max>到達日数ならびに平均葉面積生産力の最大値到達日数は,それぞれ5ヵ年間の平均値で示すと,春は20.0,27.6,秋は31.8,44.0,冬は71.3,96.3日であった。4)LGR_<max>到達日数と,平均葉面積生産力の最大値到達日数との間には,年度,季節のちがいにかかわらず,(2)式で示される高い正の相関(r=0.998)が認められた。平均葉面積生産力の最大値への到達日数≒1.314×LGR_<max>への到達日数+1.804 (2)つまり,LGR_<max>到達日数の約1.33倍が平均葉面積生産力の最大値到達日数となる。5)平均葉面積生産力が最大値に達するまでの日数(t)と,その間の平均気温(T)との間には,季節毎に次の近似式が成立した。春季t=280/T+5.2秋季=t=280/T+27.0冬季=t=273/T+48.0
  • 前田 敏, 米谷 正
    原稿種別: 本文
    1980 年25 巻4 号 p. 303-310
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
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    各季節におけるイタリアンライグラス個体群形成にともなう乾物増加速度の推移を,葉面積指数と純同化率との推移に分けて,各季節生産の仕組について検討した。LAI-CGR曲線の推移は季節によって異なり,秋は一般に左右対称に近い2次曲線,冬は高原状の曲線をえがく。春はLAIが9〜12をこすまで,LAI-CGR関係はほぼ直線的に上昇し,その後,急転して下降する。5ヵ年次の_<opt>LAIの平均は,秋;7.08,冬;5.45,春;10.70で,最大平均生産力時のLAIの平均値は,秋;10.37,冬;8.88,春;13.73であった。LAI-NAR曲線の推移は季節によって異なり,秋,つまり発芽後の個体群形成においては,LAIの増加とともにNARは直線的に減少する。冬と春の再生による個体群形成においては,初期にはNARは負の値を示し,再生葉の伸長展開とともにNARは高まり,さらにLAIの増大とともにNARは低下に向う。最大平均生産力時のNARの5ヵ年次の平均は,秋;0.68,冬;0.63,春;1.40であった。Spring flushの旺盛な乾物増加は,LAIとNARとの同時増大と,その後の出穂によるLAIの増大制限が,高日射とあいまってNAR,ならびに平均生産力を高く保持したことが原因の一っになっていると思われる。最大平均生産力時におけるLAIとNARとの間の年次変動をみると,秋と春とにおいて,それぞれ次式の相関を認めた。秋LAI=0.0209 NAR+0.4616 (r=0.917)春LAI=0.0996 NAR-0.3245 (r=0.996)上式から,最大平均生産力と,そのときのLAI,NARの3者の関係を求めることができる。
  • 佐藤 庚
    原稿種別: 本文
    1980 年25 巻4 号 p. 311-318
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    暖地型・寒地型それぞれ4草種を供試して5段階の温度(昼温15°〜35°,夜温はそれぞれの昼温より5°低い)と2段階の日長(SD:9時間日長,LD:14時間日長,何れも自然光)を組み合わせたファイトトロンで栽培し,草種ごとにそれぞれ同一の生育ステージに達した時にサンプルして生育状況と窒素,炭水化物含量を比較した。1.寒地型の出葉は比較的低温で早く,暖地型では高温ほど早かった。草丈は暖地型では25/20°で最高,寒地型では低温ほど高く,いずれも長日の方が高い。茎数はいずれも低温ほど多いが,分げつ速度は寒地型では低温ほど大きく暖地型では低温ほど小さい。低温下では長日より短日の方が多い傾向があった。2.暖地型の相対生長率RGRは寒地型のほぼ2倍であった。暖地型のRGRは高温ほど大きく(JMのみは25/20°で最大),寒地型では低温ほど(TFのみは昼温20〜25°で最大)大きかった。長日下のRGRは短日下のそれより大きい。RGRは相対葉面積生長率RLGR,純同化率NARと有意の正相関を示した。暖地型のRGRが寒地型のそれより大きかったのは主にNARが大きいからであった。長日のRGRが短日のRGRより大きいのは,RLGR,NAR両者が大きいからであったが,ことに後者の影響が大きい。3.1日当り窒素蓄積量は暖地型のPM,SGでは低温ほど減少し,JM,RGでは中間温度で最大であった。寒地型では一般に低温ほど蓄積が多かった。単位蓄積窒素量あたりの乾物生産量,TAC蓄積量は,暖地型は寒地型より,長日は短日よりそれぞれ大きかった。4.暖地型の中ではJM,寒地型の中ではTFがそれぞれ他の草種とやや異なり,前者はやや低温で,後者はやや高温で生長がよかった。
  • 清水 矩宏, 大杉 立
    原稿種別: 本文
    1980 年25 巻4 号 p. 319-325
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    オーチャードグラス(系統:那系18号)の切穂の人工培養において,自然登熟種子と同程度の重さと同様な発芽習性を有する種子が安定して得られる培養条件を確立するため,培養液への各種の糖,亜硫酸および各種の植物ホルモンの添加効果ならびに切穂の止葉の有無によるその効果の発現の差異を調べた。結果は次の様である。(1)止葉っきの切穂を用い,3%のグルコース,フラクトースおよびシュークロースを培養液に添加すると,いずれも自然登熟種子とかわらない重さと発芽習性を有する種子が得られた。(2)シュークロース添加での濃度効果をみると,1%では種子重は小さく,発芽も良好ではないが,3-10%の濃度範囲では,いずれも良好で,とくに止葉つきの切穂を用いた場合には,自然登熟種子とかわらない重さと発芽習性を有する種子が得られた。(3)亜硫酸(0.015%)の単独添加は吸水および種子重に大きな影響をおよぼさなかったが,シュークロースとの併用では,シュークロース単独添加によっておこる培養液の吸収低下を軽減させ,種子重を増大させた。その効果はとくに止葉なしの切穂において顕著であった。亜硫酸の添加は発芽習性には影響しなかった。(4)植物ホルモンをシュークロースとともに添加した場合には,GA_3およびカイネチンは種子重に対して阻害的に働き,IAAは影響しなかった。いずれも発芽習性には影響を与えなかった。(5)切穂の止葉の有無は培養液の吸収および種子形成に対して大きな影響を与え,同一培養液で比較すると,止葉をつけた切穂では,培養液の吸収が顕著に増大し,種子重も大きくなった。以上の結果から,オーチャードグラスの切穂の培養では,止葉をつけた切穂を用い,栄養源として3%のシュークロース,吸水促進剤として0.015%の亜硫酸を添加した培養液を用いることが,きわめて良好な結果を与えると結論された。
  • 曹 晋基, 吉田 重方, 佳山 良正
    原稿種別: 本文
    1980 年25 巻4 号 p. 326-334
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    鉱質酸性土壌(pH5.0)および炭酸カルシウムで土壌pHを矯正した上記土壌(pH7.0)を用いて各種マメ科牧草をポット栽培し,マメ科牧草の耐酸性を比較検討するとともに共生窒素固定におよぼす土壌酸性の影響を調査した。得られた結果は下記のとおりである。1.マメ科牧草の刈取収量や植物体全窒素量はヤハズソウの場合をのぞき,いずれの草種においても矯正区に比べて非矯正区(酸性土壌区)において劣っていた。しかし,その抑制度合は草種間で著しい差異が認められた。2.矯正区における各牧草の刈取収量や植物体全窒素を基準にして非矯正区における上記の値の低下度合をもとに耐酸性を比較したとき,耐酸性はヤハズソウ>アルサイククローバ>ラジノクローバ,シロクローバ>アカクローバ>アルファルフアの順に強かった。また,上記以外の供試牧草(バーズフートトレフォイル,コモンベッチ,レンゲ,ヘアリベッチ)では順位ずけることは困難であったが,それらの耐酸性はヤハズソウとアルファルファの中間に位置していた。3.牧草根における根粒着生や共生窒素固定能は酸性土壌下において著しく抑制されていたが,その抑制度合はアルファルファおよびレンゲで著しく高かった。また,ヤハズソウでは石灰施用に伴う根粒着生量の増加が共生窒素固定能の増加に結びついていなかった。4.単位新鮮根粒重当りの共生窒素固定能と石灰施用の有無との間には,本実験条件下では一定の関係が認められなかった。5.本試験の結果より,酸性土壌条件下におけるマメ科牧草の収量低下の原因の1っはマメ科牧草と根粒菌との共生関係が良好に行われないことによるものと推察され,上記の土壌条件下におけるマメ科牧草の栽培に際しては化学窒素肥料に大きく依存した栽培方法を行う必要があるものと考えられた。また,上記の共生関係の確立や維持を抑制する要因についても論議された。
  • 小関 純一
    原稿種別: 本文
    1980 年25 巻4 号 p. 335-340
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    本邦における最初の放牧牛によるグラステタニー症の発生地である岩手県外山牧場について,その発生原因を牧草の有機酸組成の関連にて調査した。1974年の5月,8月と10月に上記牧場内の放牧地とそれに隣接する採草地より,主体草種であるオーチャードグラスを採取し,その有機酸組成を定量し検討を加えた。分析定量は昇温式ガスクロマトグラフィー法によった。その結果,オーチャードグラス中の有機酸では,Malic acidとQuinic acidの含量がいずれの時期および草地においても,他の有機酸に比して高いことが認められた。しかし,本症発生と密接なる関係があるといわれているCitric acidならびにt-aconiticacidに関しては,今回の調査からは本症発生との関係は見出せなかった。すなわち,前者は含量も低く,かつ,季節変化が小さかったので,調査地点において本症が春に多発することに結びつけられなかった。また,後者のt-aconitic acidでは,いずれの場合にも検出されず問題にならなかった。なお,本症発生と符合する季節変化を示したものは有機酸全量とMalic acidであったが,この点については今後の検討が必要であろう。
  • 小関 純一
    原稿種別: 本文
    1980 年25 巻4 号 p. 341-345
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    本邦の放牧草地において,広く分布しているケンタッキーブルーグラス,オーチャードグラス,ペレニアルライグラス,レッドトップおよびトールフエスクの5草種を供試し,少・多2段階の施肥水準を設け,年11〜13回の刈取りを実施して6年間維持してきた各単播草地について,1975年の4月25日に全区掃除刈後,施肥(少肥区にN,P_2O_5,K_2Oともに0.25kg/a,多肥区はその4倍)を行ってから,有機酸組成の変化を検討した。その結果,1)施肥後1回目の刈取時(5月10日)において,草種間に大きな差が認められた有機酸はMalic A.,Quinic A.とt-aconitic A.であり,とくに,t-aconitic A.はレッドトップにのみ特異的に多く含まれていた。しかし,citric A.の草種間差異は極めて小さかった。2)増肥効果はオーチャードグラスとペレニァルライグラスのMalic A.,ならびにレッドトップのt-aconitic A.の含量を顕著に高める形で認められたが,施肥2回目の刈取時(5月23日)には,その効果も著しく滅少した。3)春期における再生期間(4月25〜5月20日)の有機酸組成の経時変化をレッドトップ以外の草種について検討を行ったが,いずれの草種からもt-aconitic A.は検出されず,また,各草種とも,citric A.の含量は全期間を通して低く推移する傾向を示した。4)各草種の部位別有機酸組成について調査した結果,草種間に著しいちがいが認められたが,その中で,t-aconitic A.がレッドトップの葉身部にのみ多く含まれていることは特徴的であった。以上の結果より,有機酸組成の面からはレッドトップが重要な草種であることが指摘されたので,本草種とグラステタニー症発生との関連について,さらに検討する必要が認められた。
  • 倉島 健次
    原稿種別: 本文
    1980 年25 巻4 号 p. 346-353
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    東北地方に典型な山地傾斜地の放牧草地における土壌の塩基分布を精密調査し,施肥管理技術確立のための基礎資料を得ようとした。調査は北上山地に位置する外山と区界放牧草地で行い,各放牧草地において4月下旬から5月上旬の施肥前に,傾斜度の異なる三地区から表層土壌(0〜10cm)を採取した。採取点数は各地区49点で,採取土壌は乾燥,篩別した後,置換性K,CaおよびMgの定量を行った。1.放牧草地における土壌のK含量は斜面の傾斜度によって異なり,緩傾斜面のそれは急傾斜面と比べ著しく高かった。これは緩傾斜面にふん尿還元が集中しているためで,これらの地区は明らかに加里過剰であった。2.K分布の変動係数は30〜40%で大きかったが,Ca分布の変動係数と比べるとむしろ小さかった。そのため,長期間放牧に利用されていれば,一定面積へのふん尿還元は比較的均一に分配されているとみられた。3.未耕地土壌と比べ,放牧草地土壌のK含量は急傾斜面においてもかなり高く,年間ha当り60〜120kg(K_2O)の通常の加里施用でも,長年にわたれば加里集積が生じていることを示した。4.CaおよびMg含量は緩傾斜面で高い傾向にあったが,傾斜度によるCa含量の相違はそれほど大きくなく,主としてふん還元頻度の影響とみられた。未耕地土壌と比べると,放牧草地土壌のCa含量は全地区で,またMg含量は急傾斜地でかなり低く,未耕地よりも放牧草地で石灰,苦土の溶脱量が大きいことを示した。
  • 倉島 健次
    原稿種別: 本文
    1980 年25 巻4 号 p. 354-361
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    第1報に報告した放牧草地において,春季のオーチャードグラスの塩基含有率と土壌の塩基含量との関係を検討し,グラステタニー発生予防のための安全な牧草中Mg含有率とK/(Ca+Mg)比を維持するための施肥対策を明らかにしょうとした。1.オーチャードグラスのK含有率は土壌のK含量と密接な関係があり,土壌の置換性K含量約13mg/100g乾土が欠乏限界量(牧草K含有率約2%)とみられ,K含有率2〜3%が適量とすると土壌K含量は14〜19mgが必要と推定された。しかし,放牧草地の加里分布の不均一性から,土壌K含量21〜24mg程度は必要であり,この場合K含有率は3.2〜3.6%となるとみられた。2.オーチャードグラスのMg含有率は土壌の置換性K,Ca含量と弱い負相関が認められたが,置換性Mg含量とはその含量が全般に高かったため相関は得られなかった。また,Ca含有率と土壌の置換性K,Ca,Mg含量との間にはいずれとも相関は認められなかった。3.適当な加里施肥と十分な苦土資材を施用すれば,春季においてもオーチャードグラスのMg含有率をKEMPの限界値0.2%以上に増大できるととが示された。4.オーチャードグラスのK/(Ca十Mg)比はそのMg含有率の増大によってかなり低下した。しかし,同比をKEMPらの2.2以下にするためには土壌の置換性K含量を20mg以下にせねばならず,この場合には加里分布の不均一性から加里欠乏地点が出現する危険があった。そのためオーチャードグラス主体のイネ科放牧草地でK/(Ca+Mg)比を2.2以下にすることは極めて困難であり,マメ科牧草との混播が必要であった。
  • 石栗 敏機
    原稿種別: 本文
    1980 年25 巻4 号 p. 362-366
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    オーチャードグラス(北海道在来種)の1番草3点,再生草8点の計11点を用い,牧草中の細胞壁物質(牧草CW)とめん羊の糞中に排泄されたCW(不消化CW)を調製し,その成分と化学的性質を比較した。不消化CWは平均,有機物94%,粗蛋白質9%,ADF47%,セルロース33%,ヘミセルロース38%,ADL 14%,ケイ酸4%からなる物質であった。牧草CWと比較して3倍のADL含有率を示した。不消化CWの化学組成は摂取した牧草CWによって変化することがわかった。セルラーゼによる分解反応パターンは,牧草CWでは最初の1時間で分解が急速に進んだが,その後ゆるやかな勾配となり,分解率は平均43%であった。しかし,不消化CWでは時間とともに分解されたが,分解率は平均12%ときわめて低かった。不消化CWを脱リグニンして得られだホロセルロース様物質のセルラーゼによる分解率は平均81%と高く,この分解率はCWの消化率の高い牧草に由来する不消化CWで低く,逆に消化率の低い牧草に由来する不消化CWで高い傾向のあることがわかった。
  • 住吉 正次
    原稿種別: 本文
    1980 年25 巻4 号 p. 367-371
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    牧乾草の貯蔵期間中における飼料価値変化を検討するため,1973年に出穂期のオーチャードグラス1番草(北海道在来種)を梱包乾草に調製し,木造の2階建て畜舎に保存した後,1・10・14・24・36か月目の貯蔵乾草について化学分析およびめん羊による消化試験を行った。貯蔵乾草のCWおよびADF含有率は1年間に1.56および0.48%ずつ増加することが認められたが,各成分消化率,DE,DCPおよびTDN含量について,それぞれ貯蔵月数に対する回帰分析を行い係数を検定した結果,いずれの組成についても直線回帰は適合するが,回帰係数はすべて0であった(p>0.05)。24か月目の貯蔵乾草と,'75年に無降雨・好天下で調製した乾草('73年と同じ草種・圃場・生育時期)を比較したが,DCPおよび粗蛋白質消化率を除いて両者の間に有意差が認められなかった。36か月目の貯蔵乾草のめん羊による採食量は,'75年に調製し,12か月貯蔵された乾草に劣らなかった。
  • 福川 胎一郎, 安藤 滋
    原稿種別: 本文
    1980 年25 巻4 号 p. 372-377
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    ラジオテレメトリによる放牧牛の行動形測定法について検討した。ラジオテレメトリにより記録されたアクトグラムはこれまで野生動物の行動の日周リズムの測定に用いられてきたが,このアクトグラムを用いて放牧牛の行動形の測定を行った。アクトグラムによる行動測定は動物体に装着した送信機のアンテナの揺れ方から動物の行動を測定するもので,心電図や筋電図のような生理現象を介して行動形を測定する方法よりも測定装置が簡便である。放牧牛のアクトグラムは3つのパターンに分類できた。パターン1は採食形であり,パターン2はアイドリング(佇立およびぶらぶら歩き)であり,パターン3は休息形(佇立および横臥)であった。パターン2の波形はパターン1の波形と似ているため,その判定は必ずしも容易ではなかったが,放牧牛の既知の行動周期(採食-アイドリングまたは休息-採食のくり返し)から判定可能である。採食期における短時間のアイドリングの判定は不可能であった。アクトグラムと頭の上げ下げを同時記録することにより,採食形,アイドリング,休息形をより正確に分類することができた。
  • 上野 啓一
    原稿種別: 本文
    1980 年25 巻4 号 p. 378-385
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    山口県育成牧場に預託されたホルスタイン種雌育成牛613頭を用いて,入牧開始月(移行期)が育成牛の繁殖に及ぼす影響を検討した。その結果は次のとおりである。1)初回交配月齢は,12.8〜27.4ヵ月齢,平均値で17.5±2.3ヵ月齢であり,初回交配時の体重は,246〜385.3kg,平均値で308.9±26.9kgであった。平均受胎月齢は,18.6±2.9ヵ月齢,交配回数別の受胎成績は,初回54%,2回23.2%,3回11.4%,4回以上11.4%であった。性周期は,最短6日,最長211日,平均36.2±30.8日であり,18〜24日を示すものが,52.6%,その平均値は20.3±3.6日であった。性周期日数の頻度では,20日の倍数すなわち40,60,80日前後でピークが現れた。2)交配頭数の季節的分布は,初回交配頭数においても,月別交配頭数においても春が最も高く,冬に減少する傾向を示し,性周期においても,35日以上の長周期を示すものは冬に多く,冬季には発惜を確認しにくいものが多くなることが認められた。3)季節による受胎率は,9月が最低で12月に最高となり,4,5月には一時的な低下がみられた。この受胎率の一時的低下は,移行期の差異,とくに5月移行期のものの低受胎率が主要因をなし,4,5月にみられる代償性発育も一因をなしているように思われた。4)移行期の繁殖効率に対する影響をみると,初回交配月齢では2月に入牧したものが20ヵ月齢と最も高く,9月に入牧したものが16.5ヵ月齢と最も低く,また受胎率では,5月に入牧したものが40%で,著しく低い値を示していた。この交配月齢と受胎率の両面から,繁殖効率に対する移行期の影響を考察すれば,夏から秋にかけて入牧したものが最もよいと考えられた。
  • 能代 昌雄
    原稿種別: 本文
    1980 年25 巻4 号 p. 386-388
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1980 年25 巻4 号 p. 389-393
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 文献目録等
    1980 年25 巻4 号 p. 394-
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1980 年25 巻4 号 p. 395-
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1980 年25 巻4 号 p. 395-
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1980 年25 巻4 号 p. App8-
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 目次
    1980 年25 巻4 号 p. i-iii
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 目次
    1980 年25 巻4 号 p. iv-vii
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 索引
    1980 年25 巻4 号 p. viii-ix
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 索引
    1980 年25 巻4 号 p. x-xii
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1980 年25 巻4 号 p. App9-
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 表紙
    1980 年25 巻4 号 p. Cover15-
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 表紙
    1980 年25 巻4 号 p. Cover16-
    発行日: 1980/01/31
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
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