農産副産物であるバレイショでんぷん粕をサイレージとして利用するために,乳酸菌(L. plantarum)添加(LPS区)および無添加(PPS区)のサイレージを調製し,その発酵特性と消化特性を調査した。生でんぷん粕は水分が794g/kgで,窒素含量が40g/kgと穀類よりも低く,NDF含量は穀類の約3倍と高く,全ペクチン含量は135-154g/kg DMであった。乳酸菌添加の有無にかかわらず,サイレージのpHは低くVBN/TNも少ない良質なサイレージが調製された。サイレージの好気的変敗は,乳酸菌添加の有無にかかわらず開封後14日まで起こらなかった。でんぷん粕サイレージのTDNは,PPS,LPS区それぞれ76.2,77.6%DMであり,乳牛の第一胃内分解速度は,PPS,LPS区それぞれ0.126,0.206/時間で穀類よりも大きかった。以上の結果よりでんぷん粕を速やかに密封すれば,乳酸菌添加の有無に関わらず,良質なサイレージとして貯蔵できることが明らかになり,その栄養価の高さから乳牛用の自給飼料として濃厚飼料の代替利用が可能と判断された。
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