日本草地学会誌
Online ISSN : 2188-6555
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31 巻, 3 号
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  • 原稿種別: 表紙
    1985 年 31 巻 3 号 p. Cover9-
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
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  • 原稿種別: 表紙
    1985 年 31 巻 3 号 p. Cover10-
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
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  • 原稿種別: 付録等
    1985 年 31 巻 3 号 p. i-ii
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
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  • 原稿種別: 付録等
    1985 年 31 巻 3 号 p. Ai-Axvi
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
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  • 尾形 昭逸, 実岡 寛文, 松本 勝士
    原稿種別: 本文
    1985 年 31 巻 3 号 p. 263-271
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
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    暖地型飼料作物の水ストレス耐性には草種間差異が存在し,水ストレス耐性草種は水ストレス下でも高い養分・水分吸収能を維持する。本研究では,水ストレス耐性草種がどのような要因で高い養分・水分吸収能を維持しうるかを明らかにすることを目的とし,水ストレスが根の分布および植物体の浸透ポテンシャル,さらに根圧に及ぼす影響を調べた。土耕により栽培したローズグラス(Chloris gayana Kunth.),ソルガム(Sorghum bicolor Moench.),ハトムギ(Coix lacryma-jobi L. var. mayuen (Roman.) Stapf.)に35日間水ストレス処理(pF 2.8〜3.2)を行ない,植物体各部位の浸透ポテンシャル,根部乾物重,根長,根径,属位別根系分布および根圧等を測定した。その結果,(1)水ストレスによる浸透ポテンシャルの低下程度は,ハトムギに比較しローズグラスで大であった。(2)低水分区でのローズグラスの総根長および根表面積は,ハトムギに比較しそれぞれ5〜6,3〜4倍に達した。(3)低水分区での根系は,ローズグラスでより深い土層まで分布するのに対し,ハトムギでは表層のみに分布する傾向にあった。(4)根圧は水ストレスによりローズグラスで増加し,ハトムギで低下する傾向にあった。以上の結果,水ストレス耐性草種,ローズグラスの養分ならびに水分吸収能が,水ストレス下でも高く維持しうる要因として,(1)水ストレス下で茎基部,葉部の浸透ポテンシャルを低下させることにより地上部の吸水能を高めることと,(2)根系が地下深層まで発達し,また総根長を増大させることにより根の吸水面積を拡大させ,かつ根圧を高めることにより水ストレス下でも養分および低い土壌水分を効率的に吸収し,地上部に押し上げる力が高いことの2つが考えられた。
  • 縣 和一, 窪田 文武
    原稿種別: 本文
    1985 年 31 巻 3 号 p. 272-279
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
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    浅間山南麓(長野県北佐久郡御代田町,海抜1,000m)のミズナラを優占種とする落葉広葉樹林内におけるミヤコザサとスズタケのすみわけ現象の実態を光強度と生育量との関係から明らかにするとともに,その原因を両種の葉面積指数の季節変化と光-光合成曲線のちがいから解析検討した。(1)落葉広葉樹林内の光強度は,夏季(繁茂期)に低く,冬季(落葉期)に高まる季節変化を示した(Fig.1)。(2)林内におけるスズタケの群生地の光環境はミヤコザサのそれに比べて弱光条件下にあることが判明した(Table 1)。(3)林内の繁茂期の光強度を基準にした場合,ミヤコザサの現存量は光強度が強まるほど増大したが,スズタケは逆の傾向を示した(Fig.2)。(4)ミヤコザサに比べてスズタケの光-光合成曲線はより陰葉的特性を示した(Fig.3)。(5)ミヤコザサ群落における葉面積指数は,夏季に大きく,冬季に小さくなる季節変化を示したのに対し,スズタケのそれには季節変化が認められなかった(Fig.4)。以上の結果を基礎にして両種の年間を通じての物質生産を考えた場合,ミヤコザサは林内における生産が極めて不利であるのに対して,スズタケは林内においても比較的有利に生産を営むことができるものと推定された。このことが,同一林内において両種がすみわけて生育しているひとつの原因と考えられる。
  • 杉山 修一, 高橋 直秀
    原稿種別: 本文
    1985 年 31 巻 3 号 p. 280-288
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
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    トールフェスクの系統間にみられる根系の変異を地上部との関係で調査した。2つのポット試験と1つの圃場試験を行ない,次の結果が得られた。1)栄養生長期では,地上部乾物重と根乾物重は正の相関関係にあった。構成要素に分けて相関をとった場合,根乾物重は平均一茎重と正の,他方,地上部乾物重は根数と正の相関関係を示した。つまり,一茎重の大きな系統で根重が大きくなり,また,根数の多い系統で地上部重が大きくなる傾向を示した。2)生殖生長期には,地上部乾物重と根乾物重の間には正の相関関係はみられなかった。これは,栄養茎乾物重と根乾物重の間には正の高い相関関係があるものの,出穂茎乾物重と根乾物重の間には相関関係が認められないからである。このことから,栄養茎と出穂茎の相対的割合が,生殖生長期の根の生育に密接に関係しているといえる。他方,生殖生長によって土壌中の根の分布が変化し,相対的に多くの根が深い層に分布するようになった。3)発芽後の生育初期では,育成品種は,自然集団に比べ,根の生長に対して地上部の生長が相対的に高くなる傾向がみられた。また,自然集団の中でも,寒冷な地域に由来する系統は,温暖な地域に由来する系統に比べて根の割合が大きくなる傾向にあった。
  • 北原 徳久
    原稿種別: 本文
    1985 年 31 巻 3 号 p. 289-296
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    春の利用を抑制し,牧草の種子を結実,落下させ,自生した個体が密度並びに収量構成にどれだけ貢献しているかについて検討した。試験は,自生個体の放任区と除去区を主区,春の利用抑制程度が異なる春期無利用区と春1回利用区を副区,主要寒地型牧草の8草種・品種を副副区とする分割試験区法で行った。自生個体の貢献程度は,2年間の自然下種処理後,全区を同一時期に年5回刈取り,自生個体の放任区と除去区の差をもって貢献度を判定した。結果の概要は以下のとおりである。1)8月上旬まで利用を抑制することにより枯死個体が増加し,生存率が低下した。その程度は,ペレニアルライグラスとトールフェスクで大きかった。2)各草種とも自生個体の放任区の茎数は除去区に比べて多く,その程度は,春1回利用区より春期無利用区で大きかった。春期無利用区の中では,ペレニアルライグラスとオーチャードグラスのポトマックの自生個体数が著しく多く,春の利用抑制による既存株の生存率の低下をこれら自生個体が充分に補完した。3)自生個体の放任区の乾物収量は除去区に比べて有意に多く,とりわけ8月上旬まで利用しなかった場合に顕著であった。4)自然下種による増収割合の高い春期無利用区についてみると,自生個体の収量が草地全体の収量に対する貢献割合は供試草種の平均で29〜36%であった。草種ではペレニアルライグラスが著しく高く51〜62%であった。5)以上のように,自然下種は密度維持にも,収量増にも貢献していることが認められた。自然下種の適用に当っては,春に1回利用するよりは春の利用を行わずに適用した方がその効果は高くなり,また,適用草種ではペレニアルライグラス,オーチャードグラスなどが有望であると思われる。
  • 岡島 毅, 大久保 忠旦, 佳山 良正, 菊地 正武
    原稿種別: 本文
    1985 年 31 巻 3 号 p. 297-307
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    山間傾斜地に位置する放牧草地の一次生産を明らかにするため,短草型草種(レッドトップ)優占の放牧草地において乾物生産の季節的推移と多量窒素施肥の影響について検討した。1979年と80年には5牧区ずつの慣行窒素施用区(年間窒素施用量10aあたり29kg)および多量窒素施用区(同81kg)それぞれに1群6頭の去勢牛を,81年は両窒素処理区とも窒素施用量を下げ(年間10aあたり11kg)1群8頭の去勢牛を両処理区交互に輪換放牧し,採食量および乾物現存量を測定した。その結果,全植物体現存量の季節的推移(520〜1200g/m^2)は主に地下部現存量の推移に依存し,4月から5月にかけて最大値(1200g/m^2)を示した。地上生体部現存量の推移は葉身よりも直立茎の推移に依存した。枯死部現存量は春と秋に高く,放牧期間中は低い値を維持した。各部位別構成割合の季節的推移は,葉身および枯死部割合では各年次で同様であったが,直立茎および地下部割合の場合には年次で異なった。多量窒素施肥の影響により地下部現存量は年間を通して多用区で有意に高い値(P<0.05)を示した。純生産量は慣用区,多用区それぞれ79年は932g/m^2,1138g/m^2,80年は956g/m^2,1002g/m^2,81年は873g/m^2,1293g/m^2であり,年次および窒素処理区間の変動は主に地下部生産量と採食量の変動に起因していた。
  • 石栗 敏機
    原稿種別: 本文
    1985 年 31 巻 3 号 p. 308-314
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    播種後10年間のアルファルファの栄養価と自由採食量の推移をめん羊による自由採食下での消化試験を行って調べた。DCPおよびTDNの年平均は年間3回刈取りで,それぞれ,15,58%,4回刈取りで,それぞれ,18,62%で,草地が経年化してもこれらの年平均値はあまり変らないことがわかった。1番草では,生育にともなう栄養価の低下度合が他の番草より大きく,4月30日から刈取りまでの日数が,DCPおよびTDN含量を推定する目安になることを示した。しかし,この生育日数と自由採食量との間には有意な相関がなかった。2番草では,TDNおよび可消化エネルギー含量が低く,TDN 70%以上の牧草の収穫は難しいことがわかった。2番草の生育日数と自由採食量との間には強い負の相関があり,生育日数が長くなると自由採食量は急速に低下した。3,4番草では,生育にともなう栄養価の低下がゆるやかで生育日数と乾物消化率との間には変曲点が53日前後の上に凸な2次回帰式が得られた。年間3回刈取りでも,栄養価,自由採食量には年間4回刈取りと大差はなく,1番草を6月下旬,2番草を8月上旬,3番草を10月中旬に刈取る方法が適当と考えた。
  • 石栗 敏機
    原稿種別: 本文
    1985 年 31 巻 3 号 p. 315-321
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    オーチャードグラス(102点)をめん羊に飽食させて消化試験を行った結果を用い,細胞壁物質(CW)と細胞内容物(CC)について生育に伴う変化ならびに栄養価や自由採食量との関係を検討した。牧草の生育に伴う1日当りの変化は,春から秋へと季節が進むにつれて,CW消化率で低下が小さくなり,また,CC消化率でも同様な傾向があり,不消化CW含量の上昇も小さくなった。CW含量とその消化率,可消化乾物量(DDM)および自由採食量との間には,それぞれ,有意な負の相関があり,一次回帰式の定数項,回帰係数ともに季節が進むにつれて小さくなった。不消化CW含量(X: %)とDDM(Y: %)とは各生育季節ともにr=-0.95以上の高い負の相関と近似した回帰式が得られ,全体ではY=85.8-1.03X (r=-0.97)となった。CW含量と可消化CW含量との間にはr=0.07と有意な相関がなく,CC含量(X: %)と可消化CC含量(Y: %)との間にはY=-14.7+0.99X (r=0.96)の関係があった。自由採食量とCW排泄量との間にはr=0.01と有意な相関がなく,飽食時のCW排泄量は13g/kg^<0.75>と一定していた。この関係と,自由採食量とCC排泄量との一次回帰式から,CWとCCの真の消化率は,それぞれ,61,98%と推定した。可消化CW含量と可消化CC含量との間にはr=0.14と有意な相関がなく,これらを独立変数とし,可消化エネルギーおよびTDN含量を従属変数として求めた重回帰式から,可消化CW 1gは4.55 Kcal,可消化CC 1gは4.51 Kca1で,これらの栄養価に対する相対重要度は,それぞれ,30と70%と認められた。オーチャードグラスのDDMや自由採食量は不消化CW含量および可消化CC含量によって規制される。
  • 田野 仁, 柴田 章夫
    原稿種別: 本文
    1985 年 31 巻 3 号 p. 322-331
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    前報で牧草中の窒素化合物はルーメン内微生物により容易に分解され過剰のアンモニアが生成される事を認めたので,本報告は牧草摂取下の動物におけるルーメン内微生物のアンモニア利用について,共存炭水化物および脂質の効果をin vitroで検討した。第1に,アルファルファ乾草給与ヤギのルーメン搾汁(Strained rumen fluid)を用い,各種炭水化物を添加してin vitroで1時間培養し,アンモニアの濃度変化に及ぼす影響を比較検討した。単糖類のうちガラクトース,アラビノース,キシロース添加はグルコース,マンノース,フラクトース添加よりもアンモニア濃度の低下は大きかった。二糖類ではセロビオース添加の作用がマルトース,シュクロースよりも大きく,トレハロースの影響は小さかった。多糖類のうちセルロースの添加においては1時間の培養ではアンモニア濃度は変化しなかった。コーンスターチ,ペクチン添加では影響はわずかであったがキシラン,イヌリンの添加ではアンモニア濃度の低下が大きく,キシランの作用がもっとも強かった。用いた培養法は閉鎖系であるので,アンモニア濃度の低下は微生物に取り込まれた結果と考えられた。アンモニア濃度低下の場合にはVFA濃度が増加する傾向が認められた。このように効果の認められた可溶性炭水化物(ガラクトース,アラビノース,キシロース,セロビオース)は,ヘミセルロース,セルロースおよびペクチンのルーメン内発酵中間物質であり,この結果を牧草摂取条件下のルーメン内微生物の活性の面から論議した。次に,ルーメン搾汁を凍結乾燥イタリアンライグラス粉末と共にin vitroで2時間培養し,草から生成されるアンモニア量に対する2つの多糖類(コーンスターチおよびキシラン)と2つの脂質(コーンオイルおよびコーン'オイルフーツ')添加の影響を検討した。アンモニア生成量はコーンオイル添加では変化が認められなかったが,キシラン,コーン'オイルフーツ',コーンスターチ添加の順序をもってアンモニア生成の抑制が示された。キシラシ添加では対照の71%の生成量であった。VFA生産量およびpH低下についてキシラン添加の場合のみが有意な影響を示した。溶存ガスを補正したガス生成量もキシラン添加の場合にもっとも高まった。スターチに対するキシランの優位性は,ルーメン搾汁のみならずルーメン内容物(Whole rumen digesta)を用いた場合にも認められた。キシランの有効性は,牧草摂取動物のルーメン内微生物叢の特徴的な機能によるのではないかと指摘した。
  • 前田 良之, 増子 孝義, 淡谷 恭蔵, 杉村 敬一郎
    原稿種別: 本文
    1985 年 31 巻 3 号 p. 332-338
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    処理温度とADFならびにNDF中に残留する窒素含量および炭水化物の成分変化との関連からヒートダメージ現象を検討するため,5段階の温度設定(40,60,80,100および120℃)で通風乾燥した牧草および2段階の温度設定(20および60℃)で埋蔵した低水分サイレージを調製して試験を行った。1.AD不溶性窒素の割合(全窒素に対する割合)は,通風乾燥の場合,120℃で著しく高く,その値は凍結乾燥時の値が実験1で4%,実験2で10%であったのに対し,それぞれ実験1では16%,実験2では14%に達した。また,グルコースを添加して120℃で通風乾燥するとグルコースの添加量が多いほどAD不溶性窒素の割合が増加した。低水分サイレージでは,60℃で埋蔵日数の経過とともにAD不溶性窒素の割合は増加し,その値は原料草の値が実験1で4%,実験2で13%であったのに対し,それぞれ実験1では13%,実験2では20%に達した。2.構造性炭水化物の成分変化については,通風乾燥試料では,NDF含量とヘミセルロース含量は温度が高いほど増加したが,ADF含量とリグニン含量は120℃で高かった。グルコースを添加して120℃で通風乾燥すると,リグニン含量が増加した。低水分サイレージ試料では20℃よりも60℃の方がリグニン含量は高かった。3.単少糖類含量は,通風乾燥では120℃で低下する傾向がみられた。低水分サイレージでは20℃および60℃のいずれも埋蔵後低下したが,その程度は20℃の方が著しかった。4.これらのことから通風による加熱の場合,60℃以下ではADF中の窒素含量および炭水化物の成分変化に違いがみられなかったが,80℃以上の高温ではADおよびND不溶性窒素の割合,リグニン含量が増加し,単少糖類含量は逆に減少する傾向が認められた。しかし,発酵をともなう低水分サイレージでは埋蔵初期において,通風乾燥での高温処理と同様の成分変化が60℃で認められた。
  • 細川 吉晴, 小林 裕志
    原稿種別: 本文
    1985 年 31 巻 3 号 p. 339-347
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    積雪寒冷地における公共育成牧場の概況を放牧施設と関連して調査した。牧場の管理主体の大半が市町村であり,経営目的の77%は預託である。こうした牧場の建設は1965年ころから盛んになったが,牧場の起伏は多く,また標高と放牧日数には負の相関がある。牧場を管理する人員は,職員あるいは常雇人が1人,かつ臨時雇用人員が100人以上のところが多かった。牧場面積では北海道が広く,牧場数の58%以上が300ha以上の規模であるが,北海道以外の県では16%に過ぎない。また,この牧場面積に野草地が占める割合は少なくない。さらに牧場面積が広いほど家畜飼養頭数が多くなり,この家畜を管理する牧柵もその延長が必要である。牧柵維持管理に要する費用が牧場運営費に占める割合は,面積が広くなるにしたがって小さくなり,この割合は0-500haで15%,500-1000haで10%内外,1000ha以上では5%未満であった。家畜の管理状況では,脱柵や病気,事故に気をつけているが,主として牧柵の構造や設置方法などと関連した対策を講じている。
  • 細川 吉晴, 小林 裕志
    原稿種別: 本文
    1985 年 31 巻 3 号 p. 348-357
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    積雪寒冷地における公共育成牧場の牧柵及び飲水施設の実態や問題点などを把握するためにアンケート調査を行った。牧柵材料では,牧場の92%が鉄製であった。鉄製の主柱は亜鉛めっきが十分に施されており耐久性の問題はほとんどなかった。一方,架線材の91%は有刺鉄線であるが,亜鉛めっきが少ないために錆やすい問題がある。また,架線材には亜鉛最小付着量に応じて各種あることがほとんど知られていなかった。牧柵構造のうち,主柱間隔では4mの場合が牧場の60%もみられ,架線段数では牧場の37%が4段,21%が3段であり,架線間隔では4段架線が約30cm,3段架線が36〜38cm,最上架線高が約120cmの牧場が多かった。また,大半の牧場では主柱の長さが1.8m,根入れ深さが主柱長の3分の1であった。支柱が主柱10本に1本の割で入れられているのが牧場の3分の1に見られたが,支柱は,主柱が倒れやすい牧区コーナー部や軟弱地盤,凹凸地など,地形に応じて入れる必要があると回答した牧場が多かった。牧柵管理上の問題点は,主柱自体よりも架線自体あるいは架線方法に多かった。架線の張り替えは5〜6年が目途であり,断線と発錆が主な理由であった。架線方法では,架線補修の際の高い人件費や労力不足,架線・主柱及び落下装置金具自体に種々の問題が挙げられた。また,牧柵の雪害がある牧場は71%あり,これは積雪深のある牧場ほど多く,主柱の故障や架線の断線として現われていた。雪害対策として架線を外したり,主柱を抜いたり,落下装置金具を利用した場合でも架線を外している牧場が多かった。特に,主柱の故障は傾斜地や凹凸地,崖地などに目立っており,積雪寒冷地の牧柵設計では,雪害ができるだけ生じないように地形・気象条件や地盤状態などに応じた設置方法を検討する必要がある。飲水施設の水源は渓流水を含む河川水を利用する牧場が60%と多く,飲水施設を1牧区に独立して配置している牧場が約半分あったが,2牧区に共用していところが約30%みられた。特に牧区の交点に飲水施設を配置している牧場は27%であり,この場合,家畜の飲水時を利用して省力的な家畜の移牧が可能になると考えられる。
  • 吉田 重方, 松本 博紀, トルン ブイチ, 佳山 良正
    原稿種別: 本文
    1985 年 31 巻 3 号 p. 358-361
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    非マメ科植物根における生物窒素固定能についての調査は主にC_4植物を多く含むイネ科植物を対象として行われており,数種のイネ科植物根やその根圏において半共生的な窒素固定(associative nitrogen fixation)が明らかに存在することが報告されている。さらに,イネ科植物のほかにもトクサ科のスギナやトクサおよびシソ科のStachys sylvaticaなどの根圏にも窒素固定能の存在が報告されている。それらはいずれも窒素固定能の間接的検出法であるアセチレン還元法によったものである。同手法は検出感度が高く,かつ低廉,迅速に窒素固定能を測定し得るために未知の窒素固定系を見い出そうとする場合には有力な手段となる。一方,草地における生物窒素固定の主体は言うまでもなく混生するマメ科牧草による共生窒素固定であるが,著者の1人は草地表面に被覆するランソウ(Nostoc sp.)によってもかなりの窒素固定が行われていることを前報で報告した。本報では,草地における上記以外の生物窒素固定系の存在を検索することを目的とし,各種草地雑草根のアセチレン還元能を調査した。
  • 原稿種別: 付録等
    1985 年 31 巻 3 号 p. 362-
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1985 年 31 巻 3 号 p. App1-
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1985 年 31 巻 3 号 p. App2-
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1985 年 31 巻 3 号 p. App3-
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1985 年 31 巻 3 号 p. App4-
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 表紙
    1985 年 31 巻 3 号 p. Cover11-
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 表紙
    1985 年 31 巻 3 号 p. Cover12-
    発行日: 1985/10/30
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
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