草地・飼料畑の強害雑草であるイチビ,ショクヨウガヤツリ,アレチウリ,ワルナスビなど13種類の外来雑草の分布と発生パターンを明らかにするために,GPSを用いて約20km×20kmの範囲で詳細な分布域を調べた。1,578の調査地点の中で,水田,飼料畑,路傍で外来雑草の発生が多く,特にアメリカセンダングサ,イチビ,ショクヨウガヤツリが高頻度で出現した。イチビとショクヨウガヤツリは発生が農耕地に限られていたが,アレチウリ,オオオナモミ,ブタクサは非農耕地で50%以上発生し,さらに自然植生への侵入も認められた。GPSのデータから外来雑草の分布図を作成したところ,アメリカセンダングサ,イチビ,ショクヨウガヤツリは分布の集中する地域が確認されたが,ブタクサとワルナスビは地域全体に分散していた。GISを利用して各ポイントから円を作成し,クランプ同士の結合パターンを解析したところ,クランプ数は指数型減衰曲線で近似でき,すべての種でr=0.95以上の高い相関があった。クランプの解析からワルナスビ,ブタクサ,イヌホオズキ類が単独で発生する傾向が強いことが明らかとなった。本研究で得られたGPSデータは外来雑草の今後の分布拡大を地理的スケールで明らかにするためのデータベースとして利用可能であり,侵入生物に対する生物資源や生態系保護のための効率的な取り組みに活用できる。
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