内営力の影響下で河川がどのような釣合いの状態をとり,また段丘を形成するかという問題意識から,傾動運動をする水路を用いて模型実験を行なった.
まず,水路を静止させたままで一定の流量・給砂量を与えつづけ,定常状態を出現させた.流量・給砂量はそのままで水路を傾動させていくと,上流側から「段丘」化していった.「段丘」面は,水面勾配と水路下流端流出砂量とがともに時間的に増加していくような,「氾濫原」として形成された.野上ほか(1975)が静止した水路で求めた水面勾配と流送砂量との平衡関係式は,その期間を通じて成立した.
流路は最終的に,傾動運動と浸食力とがほぼ釣合って,近似的な定常状態となった.この状態下でも,上述の平衡関係式は成立した.また,流路のゆらぎに同調して「段丘」面が離水・消滅した.
以上のように,野上ほか(1975)の結果が広汎に成立すること,および実験的な「段丘」形成機構が明らかになった.
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