地理学評論 Ser. A
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74 巻, 1 号
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  • 石川 百合子
    2001 年 74 巻 1 号 p. 1-18
    発行日: 2001/01/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    日本における過去の酸性雨の状況を調べるため,最も古くかっ長期間にわたって降水分析が行われていた鯨西ヶ原の農事試験場における1913~1940年の観測データを解析した.酸性雨問題の観点から,降水中繕難カロリー肖酸イオンと非海塩性硫酸イオンおよびアルカリの指標であるアンモニウムイオンの湿性沈着量を推定した.
    観測方法に関する文献調査から,この降水分析データには乾性沈着の一部が含まれていたことが明らかに・なったたあ・各イオンのデータから乾性沈着の影響を取り除いた年間の湿性沈着量を求めた.その結果,観測された沈着量のうち湿性沈着の割合は,アンモニウムイオンが60%, 硝酸イオンが80%, 硫酸イオンが20%程度であったことが示された.
    さらに,本観測データから降水の酸性化にっいて考察するため,推定したアンモニウムイオン,硝酸イオン,非海塩性硫酸イオンの年平均濃度から,降水の年平均pHの指標となるものを定量的に求めた.現在は1913~1940年の降水のpHよりも約0.5~1.0低くなっていることが示唆された.
  • ニザム・ ビラルディン
    2001 年 74 巻 1 号 p. 19-34
    発行日: 2001/01/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    農村改革以降の新彊ウイグル自治区における食糧確保問題の背景を考察し,グルジャ県を事例に食糧増産対策と当面の課題について検討した.新彊ウイグル自治区では, 1980年代から綿花を中心とした換金作物の作付面積が増加してきた反面,食糧作物の作付面積は減少してきた.さらに, 1990年代半ばには,同自治区は中央政府によって中国最大の綿花生産地およびテンサイ生産地に指定され,綿花,テンサイなどの換金作物作付面積の拡大に拍車がかかった.新彊ウイグル自治区政府は食糧を確保するため,各県の食糧自給を強化する一方,食糧生産の基地となるべき県に対して食糧供給力の増大を求あた.同自治区の主な食糧生産基地県であるグルジャ県では,「五統一」政策によって食糧生産の増大が図られている.しかし,この「五統一」政策は,食糧作物の耕作地の確保に貢献し得るものの,従来からの食糧販売問題を一層深刻化させる可能性があることも否定できない.食糧販売問題の解決策としては,穀物を中心とした作目構成を改善し,野菜,果樹などの作付拡大を図りつつ,穀物を含む農産物の共同販売体制を整備することが必要である.
  • 長野県下の2村を事例に
    新井 祥穂
    2001 年 74 巻 1 号 p. 35-52
    発行日: 2001/01/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿は広域行政組織の分析を通じて,小規模町村が事務実施でどのような困難に直面しているかという点の理解を目指す.具体的には長野県日義村および四賀村を澤び,それらが加盟する広域行政組織の活動や運営を調査した.小規模町村は,課せられる事務が増大・複雑化する中,役場組織の規模の小ささと短期間での人事異動とにより,役場内では,事務実施の遂行に必要な職員の専門知識を育成することが難しくなっている.そこで事務実施のプラン設計など,より多くの専門知識が要請される過程は広域行政組織に外部化され,隣接市町村の担当職員や県地方事務所職員とともに担われている.とりわけ,技術職採用職員(県地方事務所)のイニシアティブは,広域行政組織における小規模町村の専門知識の取得に重要な役割を果たしている.以上よりこれまであまり指摘されてこなかった小規模町村の課題として,事務実施のための専門知識の取得が挙げられよう.
  • 2001 年 74 巻 1 号 p. 53-60,ii_1
    発行日: 2001/01/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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