地理学評論 Ser. A
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71 巻, 12 号
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  • 宮澤 仁
    1998 年 71 巻 12 号 p. 859-886
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,東京都中野区における保育所への時間的・空間的アクセスの可能性を,GIS支援による時間地理学的シミュレーション手法を用いて分析した.その結果,保育所へのアクセス可能性には,(1)ミクロ・スケールでの地域差と,(2)預ける子どもの年齢に基づく格差,があることが明らかになった.とくに後者は,育児期に0歳児を保育所に預けて働く場合の選択肢を,保育所に比較的近い職場でのパートタイム就業へと,時間的・空間的に強く制約していた.実際に中野区では,子どもが0歳時の保育所の利用環境に影響されて,パートタイム職を選択する送迎者も少なくないと判断される.このことは,主に母親が子どもの送迎者である現状では,女性の「産後休業」明けの現職復帰を困難にする.本稿の分析結果は,保育所からの柔軟性を欠いたサービス供給が,出産・育児期における女性のライフコース選択の幅を狭めてしまう危険性を持っていることを示唆している.
  • リトルトーキョーの観察から
    杉浦 直
    1998 年 71 巻 12 号 p. 887-910
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,ロサンゼルズの日系エスニック商業・業務地区,リトルトーキョーの再開発過程を事例としつつ,文化・社会空間の生成と変容の過程におけるシンボル化過程の性質と役割を考察する.最初に三つの重要な概念的前提である集団(エスニシティ),空間(エスニック文化・社会空間),過程(シンボル化過程)について考察し,とくにRowntree and Conkey (1980)によって提示された「ストレスーシンボル化過程」の連続体モデルを検討した後,リトルトーキョーにおける戦後の変容過程,とくに都市再開発過程の進行とその性質を概観した.その結果,リトルトーキョーの再開発過程は,Rowntree and Conkey (1980)の連続体モデルに大筋において適合していることが判明したが,文化的・歴史的コンテキストの違いから初期相が短かったこと,後期相の途中においてシンボル化の方向性が転換し,新たなストレスーシンボル化のサイクルが再生産されたと解釈できることなど,モデルとの重要な相違も観察された.
  • 1998 年 71 巻 12 号 p. 911-917,922_1
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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