本研究は,企業ネットワーク論の分析の枠組により,韓日の首都を拠点とする大企業間提携の契機とそのプロセスを分析した.その結果は,次の2点に要約される.
第1は,韓日の大企業間の提携が,主にソウル・東京を核とする企業・経営者レベルの企業内ネットワークを介した長期継続的取引を通して展開されていることである.この事実から,韓日の首都に集積する企業内ネットワークの長期継続的取引は,新規提携・新規投資の再生産を引き起こす結果となり,首都間結合が累積的・循環的に促進される重要な要因の一つであるといえる.
第2は,首都間結合を形成する企業間提携では,企業内ネットワークと長年にわたって構築された企業間の信頼関係とが最も重要である.この点は,既存研究で重視された取引コスト論・競争優位論などの経済的側面のみでは,企業間提携が十分に説明できないことを示唆する.すなわち,アジア地域の企業間の提携関係は,経済的側面のみならず,トップ・ミドルマネージメントを柱に形成された企業内ネットワークとその歴史的側面を重視する必要があるといえる.
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