地理学評論 Ser. A
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68 巻, 6 号
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  • 松井 圭介
    1995 年 68 巻 6 号 p. 345-366
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,笠間稲荷神社(茨城県笠間市)の信仰者の分布から,信仰圏の範囲を画定し,信仰圏の地域区分を行なった.分布の指標には,昇殿祈願者(講社および篤信崇敬者),産物献納者,,分霊勧請者の3つを用いた.
    その結果,笠間稲荷からの距離に応じて,笠間稲荷信仰圏は,(1)産物献納者の分布が卓越し,農耕に恵みを与える生産神としての信仰を集める第1次信仰圏(0~50km圏),(2)各指標とも分布が密であり,・とくに講:社の成立と分霊勧請者の分布の中心域で,、笠間稲荷信仰の核心地域といえる第2次信仰圏(50~150km圏),(3)講社,分霊勧請者とも分布が分散的となり,笠間稲荷信仰の外縁地域となる第3次信仰圏(150~800km圏)の3つに地域区分ができることが明らかとなった.
    また笠間稲荷信仰圏の場合,信仰の広がりには,神社の西部から南東部にかけてのセクター性もみられ,笠間稲荷信仰圏が,信仰拠点を中心とする圏構造ではなく,第2次信仰圏に信仰者の分布の中核のあるドーナツ型を呈していることがわかった.
  • 山形県の「サクランボ小包」を事例として
    村田 啓介
    1995 年 68 巻 6 号 p. 367-386
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    山形県の郵便局において実施されている「サクランボ小包」事業という,通信販売方式によるサクランボの産地直送事業は,販売業者と郵便局とが業務提携をして事業を遂行するという形態で,1985年の開始以降,一定の成長を示している.
    1992年まで「サクランボ小包」事業にはさまざまな販売業者が参入しているが,そこにはサクランボの主産地において,郵便局とりわけ特定郵便局からの働きかけによって早い時期に参入した販売業者が,熱心な担当者との相互協力のもとでその事業規模を拡大させていき,それが主として郵便局という1つのネットワークを通じて技術や手法が伝播し,後に他の産地や非産地のさまざまな販売業者の参入を促したという経過がみられる.また,事業規模を拡大させている販売業者の展開過程の共通点として,第1に販売業者の事業を拡大させようとする意欲,第2に郵便局の担当者が,自ら働きかけて販売業者の参入を促したという点に対するある種の責任感,第3に地元の事情に詳しく,かつ地元の発展を願う特定局の局長という立場からのこの事業への思い入れ,といった点が指摘できる.
    この事例をとおして,通信販売方式による産地直送事業は小口貨物輸送業の輸送システムを活用することによって成立する事業であり,またその事業の盛衰は,中心的な役割を担う人材の実践力によるところが大きいということが指摘できる.
  • 1995 年 68 巻 6 号 p. 387-388,399
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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