地理学評論 Ser. A
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66 巻, 9 号
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  • 森本 健弘
    1993 年 66 巻 9 号 p. 515-539
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,大都市周辺の集約的農業地域における不耕作農地の形成について,その実態と形成要因の解明を土地利用と個別経営の調査によって試みた.研究対象地域とした千葉県市川市柏井町四丁目では, 1970年代から兼業化・脱農化の一方,残存した専業農家・第1種兼業農家は経営の重点を施設園芸や梨栽培へ移してきた.この変化と並行して不耕作農地が形成され,台地では不耕作農地が施設と混在し,低地ではその大部分が不耕作農地となる景観が形成された.研究対象地域の農家による不耕作農地のおもな形成要因は,施設園芸や梨栽培への集約的な労働投入による農業労働力の相対的な不足であり,また田の環境の悪化,および農外就業の進展であった.不耕作農地の形成の基盤には,市街化調整区域における農地の転用規制,圃場条件の悪さ,農地地価の上昇と農地貸借の困難さがあった.研究対象地域以外の居住者へ所有権の移転した不耕作農地も多く存在した.この場合には,兼業化・脱農化がおもな形成要因であること,農地転用に伴う代替農地の取得が関与した事例の多いことが推測された.
  • 幕末の江戸との比較を通して
    洪 忠烈
    1993 年 66 巻 9 号 p. 540-554
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本研究は20世紀初頭の東京におけるすべての都市的土地利用を可能な限り詳細に計測し,都市的土地利用に基づく地域構造を考察しようとするものである.計測は『震災前東京の土地利用復元図』(正井・洪, 1992)の100mメッシュ交点法分析によった.都市的土地利用は13の種目に分け,それぞれについてヘクタール単位の数値で面積を測定するとともに,封建社会から近代産業社会へ移行しつつあった社会経済的側面も考察した.計測データは同心円・セクター別に整理し,東京の地域構造を捉えた.また,時代的変化をより明らかにするため,幕末江戸の都市的土地利用とも比較した.それによると,市街地総面積の増加は1.5倍であったが,とくに政府・公共・病院用地,軍事用地,教育用地,工業用地あるいは広義の商業用地などが,絶対的にも相対的にも増加したのに対し,幕府や大名関係の用地あるいは仏閣用地が絶対的にも相対的にも減少するなど,さまざまな新しい土地利用が封建体制下の土地利用と置き換わっていることがわかった.同時に,全体としては低地指向の都市化が多少進んだことも明らかとなった.
  • 沖津 進
    1993 年 66 巻 9 号 p. 555-573
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    チョウセンゴヨウ-落葉広葉樹混交林は北東アジアに広く分布するにもかかわらず,これまで日本ではあまり着目されていなかった.ここでは,その分布や構造をシホテ・アリニ山脈での観察と文献資料に基づき紹介し,植物地理的な位置づけを議論した.その結果をもとに,北海道の針広混交林の成立と位置づけを展望した.
    チョウセンゴヨウ-落葉広葉樹混交林は,北海道と樺太南部を除く汎針広混交林帯(Tatewaki, 1958)のほぼ全域に普遍的に分布し,針広混交林の代表的なタイプとなっている.この林はマツ属樹木が主体であるにもかかわらず構造的に安定しており,極相林タイプである.チョウセンゴヨウ-落葉広葉樹混交林は移行帯的性格ではなく,独立した森林タイプとみなせる.一方,北海道の針広混交林はトドマツ,エゾマツと落葉広葉樹の混生から成り立っており,チョウセンゴヨウが欠落したかたちとなっている.北海道の針広混交林の成立は後氷期以後のきわめて新しい時代であり,またそれは落葉広葉樹林帯と針葉樹林帯との間を覆う移行帯的性格の強い森林であると考えられる.
  • 1993 年 66 巻 9 号 p. 574-577,581_1
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 66 巻 9 号 p. 580
    発行日: 1993年
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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