地形が複雑な中山間農業地域を対象に,日射環境のメッシュ分布を推定した.解析対象とした要素は,日の出および日没時刻頃の日陰域,日照時間,水平面全天日射量,斜面全天日射量である.推定に用いたモデルの特徴は, (1) 従来より詳細な250mメッシュを用いた点, (2) 日射の地形による遮蔽効果を考慮した点である.
日の出と日没頃の日陰分布の時間的変化から,日照時間が同値でも,地点により午前と午後への日照時間の配分に大きな違いがあることが明らかになった.また,低平地や尾根で日照時間が長く,狭小な地形あ周辺では日照時間が短縮する特徴が現れた.
全天日射量については,斜面全天日射量が水平面全天日射量より大きな地点が主に南向き斜面の中腹に分布することなどが明らかになった.
これらの特徴は,中山間農業地域に賦存する潜在的資源の評価を行う上できわめて重要であると考えられる.
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