地理学評論 Ser. A
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71 巻, 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 伊藤 達雄
    1998 年 71 巻 5 号 p. 315-322
    発行日: 1998/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    人文地理学が政策科学として新しい領域を構築する可能性とその方法について考察した.人文地理学の研究成果の多くが地域の形成過程における政策の果たす役割に触れてはいるものの,日本の地理学界では地域政策論を地理学の主要領域の一つであるとは認めていないのが現状である.人文地理学の社会的地位の低迷の原因の一つは,人文地理学が地域を対象とする科学を標榜しながらも,国土計画や地域計画が策定されるに際して有効な理論や技術を提示し得ていないことである.政策立案への関与の事例として三重県津市の総合計画の策定過程における都市総合モデルによる予測を取り上げ,人文地理学における政策科学的アプローチの有益性を示した。人文地理学が地域事象の単なる解説的記述の域から脱して社会科学の応用分野として認知されるためには,地理学理論の一層の精緻化を進めるとともに,計量技術の開発を図るなどが必要である.
  • 今野 修平
    1998 年 71 巻 5 号 p. 323-333
    発行日: 1998/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    国土空間・地域を変える原動力の一つである国土政策を取り上げ,内外環境の変化による影響と要因を考察した.従来の開発志向一本槍の国土政策は,新しい認識の下での新政策が求められており,その根底にある新時代の到来という認識から多くの課題が抽出される.一方,政策体系および執行上の課題も多く,財政上・制度上の硬直化が多くの問題を起こしている.このような国土政策・地域政策の曲り角は,その背景となる新しい理論や方法論を求めている.地理学からの政策・開発への関与について今後の課題や方向にも言及し,新しい領域の開拓への問題提起とした.
  • 山下 克彦
    1998 年 71 巻 5 号 p. 334-344
    発行日: 1998/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    戦後の北海道の地域開発は他地域とは異なる独自の条件のもとに発足し,北海道経済は国の開発事業費への依存度がきわあて高い.1952年以来の開発計画において,その目的は人口収容・食糧増産から,機械工業を中心とする自立的発展へと力点が移ってきた.高度成長期に計画された苫小牧東部の大規模工業基地は石油危機により頓挫し,海外との競争により根釧台地の新酪農村をはじめとする第一次産業に依存する地域が停滞し産炭地が衰退する一方で,人口や経済活動の札幌への集中が進んだ.また工業構造の変化と円高により工業の誘致も困難となっている.さらに国家財政の窮迫と行政改革の動きは従来の公共投資の再検討を必要としており,地域の特性を生かした地域開発の立案と,有効な開発投資のための科学的な評価が必要である.
  • 河上 税
    1998 年 71 巻 5 号 p. 345-350
    発行日: 1998/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    東北地方における政府主導による地域開発は,明治以降たびたび計画され,実行されてきた.しかし,住民の生活を豊かにするための本格的な地域計画は第二次世界大戦後であり,国土総合開発法に基づく特定地域総合開発や,東北開発促進法に基づく東北開発が進められた.その結果,経済的基盤や生活基盤などが整備されて所得が増加してきており,一応の成果を収めている.今後は,住民の福祉や文化的生活の向上を図るための総合開発に重点を移すべきである.
  • 宮川 泰夫
    1998 年 71 巻 5 号 p. 351-361
    発行日: 1998/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    中部圏開発整備の課題について,地域計画の理念と計画地域の領域との両面から考察した.中央日本,中部圏,中京という計画地域の概念は戦時体制下での地域計画成熟していたが,計画地域として明示されるに至ったのはいずれも高度経済成長期の1960年代である.しかしその後は国土庁大都市圏局や東海旅客鉄道のような中央日本を管理領域とする官民の地域計画主体が誕生しても,1960年代のような三者の関連についての議論は深あられていない.中央日本の要となる計画領域としての中京が中部圏において明瞭に位置付けられ,中京の役割を内外のクロスロードとして明示することが,構造的に中部圏開発整備の一つの課題となってきた.地域計画理念の上では,地域からの発想と地域主体による自主的な工業振興計画が継承されてきている.これに加えて,地域が培ってきた地域住民の生活と地域環境の改善とを重視し,地球の環境と人類の厚生に配慮して,地域自らが自律的に内外の地域と連携してそれらを実現する計画の立案が,中部圏開発整備において今求められてきている.
  • 奥野 一生
    1998 年 71 巻 5 号 p. 362-371
    発行日: 1998/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    離島振興法に指定された島々を対象に,離島振興政策の展開と,離島における人口・産業・行政区域の動向を検討した.離島振興法に基づく振興計画は数次にわたって改定され,交通の確保,産業の振興,国土の保全,住民の福祉向上などのための施設整備を中心に,よりきめ細かく策定されるようになった.離島における人口減少,高齢化,漁業と観光業への特化,合併による市町村の減少などの動向は地域的に異なっている.これらは人口規模,中心産業,広域中心都市への距離,定住に対する島民の意欲,中心島との行政上の依存関係の地域差を反映しており,より適切な離島振興政策が必要である.
  • 1998 年 71 巻 5 号 p. 372-379,387
    発行日: 1998/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 71 巻 5 号 p. 383
    発行日: 1998年
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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