地理学評論 Ser. A
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63 巻, 4 号
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  • 遠藤 匡俊
    1990 年 63 巻 4 号 p. 221-236
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    漁撈・狩猟・採集生活をしていた江戸時代のアイヌの移動形態は,一定の本拠地からの季節的移動と理解
    されてきた,これは,本拠地における居住集団の構成員が一定していたことを意味する.
    安政3 (1856)年から明治10 (1877)年にかけての紋別場所では,集落の位置がほぼ固定し,多くの家が集落内に定着しており,集落を構成する家は固定的であった.しかし,家単位の居住者を追跡した結果,個人の家間移動が激しく,家の構成員は流動的に変化していた.すなわち,集落単位では,多くの家が本拠地を固定させていたにもかかわらず,家単位でみると,多くの人員が本拠地を家と家の間で移していたことが明らかになった.家の構成員の安定性を比較すると,静内場所,樺太南西部では固定的であり,紋別場所,高島場所では流動的に変化していた.江戸時代のアイヌ社会において,家の集落間移動による集落を構成する家の流動的変化と,個人の家間移動による家の構成員の流動的変化という,2種類の流動形態が見出された.
  • 浅野 敏久
    1990 年 63 巻 4 号 p. 237-254
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,地域を単位として住民運動を考察し,住民運動の把握を通じて環境問題を考えることである.そこで昭和40年以降の霞ヶ浦をめぐる住民運動,とくに富栄養化問題に対して環境保全を求めた住民運動について,運動の担い手である2団体の調査をもとに考察する.
    湖の富栄養化は全流域住民に関係することながら,住民運動としての反応がみられたのは,常磐線沿線の都市化地域においてであった。都市化地域の住民が運動を起こした背景には,飲料水としての霞ヶ浦の水に対する不安,都市化に伴う環境悪化,「水郷土浦」の喪失などがあった.都市化地域の運動であったため,富栄養化問題について飲料水の安全性や生活排水・工場排水の処理が重視されることになった.しかし,農村地域でより重要な畜産排水や水産養殖の対策は当事者のみの問題,あるいは技術的な問題とされ,地域の問題としては扱われていない.
  • 若林 芳樹
    1990 年 63 巻 4 号 p. 255-273
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿は,距離評価法と描画法によって測定された,札幌における大学生の認知地図の相対的歪みについて,若林(1989a)の方法を一部修正して,計量的分析を行なったものである.その結果,札幌の大学生の認知地図は,現実の地図との適合度が比較的高いことが明らかになった.ただし,距離評価法による結果は,認知地図と現実の地図との適合度よりも経路距離空間とのそれの方が高いのに対し,描画法では,現実の地図からのずれも個人差も比較的小さいという調査方法による違いが現われた.距離評価法による結果が示唆する認知地図の非ユークリッド性については,MDS(多次元尺度構成法)によって布置を求める際に,ミンコフスキー距離を当てはめて検討したところ,市街距離との適合度がもっとも高くなることから,対象地域の格子状街路が距離評価に影響を与えているものと推定される.このような調査方法による結果の差異は,人間が環境の情報を獲得し,再生するまでの情報処理過程の違いによるものと解釈される.
  • 1990 年 63 巻 4 号 p. 274-277,281
    発行日: 1990/04/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 63 巻 4 号 p. 280
    発行日: 1990年
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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