地理学評論 Ser. A
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59 巻, 12 号
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  • 朴 恵淑
    1986 年 59 巻 12 号 p. 689-705
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    夏季3ヵ月間行なった移動観測によって,ソウル市およびその周辺地域についてヒートアイランドの特徴を明らかにした.ソウル市のヒートアイランド強度は,晴天日の夜間に最も明瞭に現われ(最大7.1°C), その平均値は3.7°Cである.しかし,曇天および雨天日の昼間の平均値はその1/3に過ぎない.市街地には常に高温域が形成され,天気状態や時間帯の相違による気温の変動量(標準偏差)が小さいが,郊外はその逆となる・風速の増加によって,ヒートアイランド強度は弱まり,気温偏差が正の高温域は風下側の郊外へずれる.ソウル市におけるヒートアイランド消失の臨界風速は約11.8ms-1である.商・工業地および住宅地の面積率が大きい地域は気温偏差が正の高温域で,気温の変動量(標準偏差)が小さいが,農地・緑地や水面などの面積率が大きい地域はその逆となる.非透水性面積比(観測地点付近の0.5km×0.5kmのメッシュの中でアスファルトやコンクリート等に被われる面積の割合)と気温偏差とは正の相関,気温の変動量(標準偏差)とは負の相関をもつ.大気汚染濃度 (SO2) の分布は気温分布とほぼ一致し,両者の相関は非常に高い (r=0.942).
  • 山本 充
    1986 年 59 巻 12 号 p. 706-728
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    北上山地においてはゴ家畜飼養をともなう複合的な農業経営が営まれている.北部山形村において,有畜農業とその基盤となる土地資源の利用を考察した結果,自給的食料生産と家畜飼養,そして農外就労という組み合わせをもちつつも,ひえ・大豆・麦の二年三作から水稲作,飼料作物生産へ,使役用牛馬から肉牛・乳牛の多頭飼育へ,北海道方面から関東への出稼へと変化した.そして,耕域では飼料作物の栽培が進展し,山域は改良牧野の造成,植林の進展によって草地と林地に分化した.こうした動向を集落単位でみると村の北部において変化が著しかった.この地域差は,自然的・位置的条件,林野所有の差,人口構造の差によることが明らかとなった・このような地域差をもちながら,山域の牧場,草地に依存する家畜飼養と耕域における自給的色彩の濃い作物栽培を組み合わせた農業経営に,山域の森林に依存する林業労務,ないしは域外への出稼といった農外就労を加えた複合形態が卓越していることが判明した.
  • 高田 将志
    1986 年 59 巻 12 号 p. 729-749
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    山頂高度2,000m前後の三国山脈主稜線周辺に分布する緩斜面は,その形態や斜面構成物の特徴から化石周氷河性平滑斜面・化石雪食凹地と考えられる.
    斜面構成物とテフラとの関係から,化石周氷河性平滑斜面・化石雪食凹地は約11,000y. B. P. 以前の最終氷期中にもっとも広範:囲に(低高度まで)形成された.このような地域の下限は標高1.300~1,400m付近に位置し,成帯的な樹木の存在(たとえば,ハイマツ帯など)は少なくともこれ以低に限られていたものと推定される.
    周氷河性平滑斜面・雪食凹地の形成される地域は晩氷期~後氷期の気候の温暖化に伴い縮小し,約11,000y. B. P. には標高1,600~1,750m前後にその下限が位置し,少なくとも約6,500~6,000y. B. P. 以降は周氷河性平滑斜面・雪食凹地の形成はほとんど行なわれなかったものと考えられる.
  • 1986 年 59 巻 12 号 p. 750-753,757
    発行日: 1986/12/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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