山頂高度2,000m前後の三国山脈主稜線周辺に分布する緩斜面は,その形態や斜面構成物の特徴から化石周氷河性平滑斜面・化石雪食凹地と考えられる.
斜面構成物とテフラとの関係から,化石周氷河性平滑斜面・化石雪食凹地は約11,000y. B. P. 以前の最終氷期中にもっとも広範:囲に(低高度まで)形成された.このような地域の下限は標高1.300~1,400m付近に位置し,成帯的な樹木の存在(たとえば,ハイマツ帯など)は少なくともこれ以低に限られていたものと推定される.
周氷河性平滑斜面・雪食凹地の形成される地域は晩氷期~後氷期の気候の温暖化に伴い縮小し,約11,000y. B. P. には標高1,600~1,750m前後にその下限が位置し,少なくとも約6,500~6,000y. B. P. 以降は周氷河性平滑斜面・雪食凹地の形成はほとんど行なわれなかったものと考えられる.
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