地理学評論 Ser. A
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69 巻, 10 号
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  • 西森 基貴, 安成 哲三
    1996 年 69 巻 10 号 p. 793-816
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    東アジア・西太平洋地域における月平均地上気圧場の1900~1988年の変動を,回転主成分分析で表される作用中心の長期的変動という形で明らかにした.1月では,アリューシャン低気圧の勢力と位置の変動を表すNP・OK, シベリア高気圧の勢力を表すSB, 南への張り出しを表すCT,日本付近の気圧変動を表すJSなどの各パターンが得られた.アリューシャン低気圧の勢力・位置は20年以上のスケールで,シベリア高気圧の勢力・張り出しは年々変動のスケールでそれぞれ変動している. 7月では,オホーツク海高気圧の消長を表すOK, 小笠原高気圧の発達・衰弱を表すMP, その位置と張り出し方向の変動を表すNP・JS・OS,大陸上の気圧変動を表すNWの各パターンが得られた.小笠原高気圧は1900年代から現在まで弱まる傾向にあるが,その位置と張り出し方向の変動にはそれぞれ約30年周期が見られた.各々の偏差パターンについては, 500hPa高度との相関からその鉛直構造も調べた.
  • 藤野 毅, 浅枝 隆, 和氣 亜紀夫
    1996 年 69 巻 10 号 p. 817-831
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    東京と周辺部の夏季の風系を三つに分け,それぞれ異なって形成される気温分布に対する都市の効果を見積もるために数値計算を行った.はじめに,都市の効果として土地利用と人工排熱の分布を考慮した結果,夜間ではどの風系においても大手町付近で高温域が現れ,都市のヒートアイランド現象が再現された.日中,北東風が卓越する風系では大手町付近の高温域が維持されたが,海風や南風が卓越する風系では高温域は大手町より風下の近郊で現れた.次に,それぞれの風系において都市の効果を取り除いた場合の計算を行った.その結果,北東風が卓越する場合では大手町や周辺の近郊での間で気温差はなく,都市の効果を考慮した場合と比較すると,それぞれの地域における土地利用や人工排熱の気温変化に寄与する度合いを計ることができた.海風や南風が卓越する場合では,気温分布の形は都市の効果を考慮した場合と同じ傾向にある結果が得られた.この場合では背景にある地形の影響により,大手町のような最も熱排出の多い地域でも日中の気温に対する都市の影響は小さいことがわかった.したがって,都市の熱環境評価には,まず全体像をとらえることが重要である.
  • 安池 慎治
    1996 年 69 巻 10 号 p. 832-846
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    土壌中の連続した大間隙(マクロボア)が降雨浸透に及ぼす影響を明らかにする目的で,砂タンクを用いた降雨浸透実験を行うとともに,間隙空気圧の影響を考慮した数値モデルを用いて,関東ローム層を対象に浸透過程の計算を行った.
    その結果以下の知見が得られた.(1)不飽和土壌中において,連続した間隙構造(マクロボア)は土壌中の空気の流出経路として機能しており,ぬれ前線下方の間隙空気圧の上昇を抑止する効果を有する.(2)マクロポァのない土壌中においては間隙空気圧の上昇により,地表面付近の水分量が増加した結果,地表面が飽和し,浸透能は著しく低下する.マクロボアはこのような現象の発生を抑止し,大降雨時における浸透能の確保にきわめて有効である.(3)数値解析を実施したところ,関東ローム層のような火山灰質粘性土中において,マクロポァの空気抜き効果が土壌の浸透能に対し影響を与えるという結栗を得た.
  • 1996 年 69 巻 10 号 p. 847-856
    発行日: 1996/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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