地理学評論 Ser. A
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73 巻, 9 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 梶田 真
    2000 年 73 巻 9 号 p. 669-693
    発行日: 2000/09/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    今日,日本において公共投資政策は社会政策の一手段としてみなされている.しかし発注機関による業者指名や業者間調整の秘密性によって,既存研究では公共土木事業と土木業者の立地構造との関係を十分に解明することができなかった.本稿は島根県全域を対象に発注機関の階層性と管轄域に注目しながら,入札の実態分析を通じて土木業者の立地構造の解明を試みた.分析の結果,発注機関の業者指名や業者間調整によって,発注機関の管轄域ごとに排他的な受注圏が形成されることが明らかになった.それゆえに発注機関の階層性および管轄域は,土木業者立地の空間パターンを強く規定すると考えられる.また都市地域の業者群と縁辺地域の業者群とを比較すると,前者では業者間の垂直的な統合が卓越するのに対して,後者では零細元請業者の層が厚く,規模に比べて経営は安定している.
  • 阿部 康久
    2000 年 73 巻 9 号 p. 694-714
    発行日: 2000/09/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    昭和初期の東京とその周辺地域を対象として,中国人労働者の集住地区が衰退していった過程を,政府や地方自治体の外国人政策の変化や,、都市労働市場の状況との関係から検討した.1920年代前半に日本へ来住した中国人労働者の就業構造は,昭和恐慌の発生によって一変した.1930年には中国人建設・運搬労働者の半数近くが失業するほどになり,彼らに対する排斥運動も深刻化しっっあった.そのため,この年には,失業者を中心に帰国希望者が相次ぎ,日本政府の斡旋により中国人労働者の大量帰国が実施された.1920年代後半期には,政府による中国人に対する強制送還も厳格化された.まず,1926年末頃から,窃盗などの検挙者を中心に送還者数が増大した.1929年頃からは主な送還対象者が不正入国者や無許可労働者に拡大され,1930年には送還者数が最大になった.これらの政府の諸政策によって,隅田川・荒川沿いの地域などに居住していた中国人労働者は帰国を余儀なくされ,彼らの集住地区は衰退していった.
  • 2000 年 73 巻 9 号 p. 717-730_1
    発行日: 2000/09/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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