地理学評論 Ser. A
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60 巻, 9 号
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  • 伊藤 真人, 正木 智幸
    1987 年 60 巻 9 号 p. 567-592
    発行日: 1987/09/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    北アルプスにおける最終氷期前半以前の氷河前進期の年代と氷河の分布範囲については不明な点が多く,具体的な報告も少ない.そこで,古い氷河地形が残存している可能性のある鹿島川大冷沢流域を調査地域とし,トレンチ調査を含む現地調査を行なったところ,以下の事実が判明した. 1) 大冷沢上流域,北股谷の谷頭部には布引沢カールが,その下流側にはU字谷が,さらに西股出合から大谷原にかけても氷食谷が発達する.また,上流側より布引沢モレーン,北股モレーン,大谷原モレーンが認められ,氷河最大拡張期の氷河の末端は,標高約1,200m付近にまで達していたと考えられる. 2) 上記の氷食谷の形態やモレーンの位置,さらにアウトウォッシュ段丘(鹿島川第2段丘~第4段丘)の分布から,少なくとも3回の氷河前進期,すなわち古いほうから,大谷原期,北股期,布引沢期の存在が指摘できた.またターミナルモレーンこそ発見できなかったものの,大谷原期と北股期との間には,氷河前進期と考えられる西股期が存在する可能性がある.なお,これらの氷河地形の分布から復元される各氷河前進期の氷河は,氷河最大拡張期の大谷原期以降,徐々に上流側に縮小したかたちで分布していたことが推定される. 3) 大谷原モレーンのトレンチ調査や下流側の段丘の形成時期から,西股期を含め上記4回の氷河前進期の年代について検討した結果,大谷原期は少なくとも10万y. B. P. より以前,西股期は6万y. B. P.より少し前,北股期は2万y. B. P. 前後,布引沢期は北股期以降とそれぞれ考えられる.したがって大谷原期は,ヴュルム氷期(最終氷期)よりむしろリス氷期に対比されるであろう.
  • 恩田 裕一, 徳永 英二
    1987 年 60 巻 9 号 p. 593-612
    発行日: 1987/09/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    Tokunagaの方法により分水線を次数づけすることによってセグメントに区分するとともに,水路をStrahlerの方法で次数区分し,丹沢山地および多摩丘陵において地形計測を行なった.計測項目は,水路および分水線セグメントの数,長さ,勾配,落差,縦断形状,平均高度である.これらの計測値を分析することにより,以下の結果を得た.(1)分水線セグメントにも,水路の場合と同様に,数,長さ,勾配,落差に関する法則が存在する.(2)次数区分された水路の縦断形は直線状であるのに対し,分水線セグメントの縦断形は次数が高くなるにつれ上に凸な傾向を示す。(3)水路の平均高度は次数が高くなるにつれ低くなるのに対し,分水線セグメントの平均高度は次数によらずほぼ一定の値をとる.(4)分水線セグメントに関する諸法則のパラメータは,山地および丘陵の地形特性を記載するのに重要である.
  • 1987 年 60 巻 9 号 p. 613-635
    発行日: 1987/09/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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