地理学評論 Ser. A
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73 巻, 6 号
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  • 高阪 宏行
    2000 年 73 巻 6 号 p. 483-497_2
    発行日: 2000/06/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    日本でも多くの活火山に対し火山災害予測図が作成されてきたが,この地図は火山災害の物理的状況を表すだけで,地域社会に与える被害を予測するものではない.火山災害予測図を基礎資料として,人口分布,道路・農地・公共施設などとの位置関係を探ることによって,初めて被害が予測できるのである.本研究は,浅間山の南斜面に発生する火砕流を事例として,GISを利用した防災計画支援システムを構築した.このシステムでは,火山災害予測図をもとに火砕流の流動範囲を噴火後5分以内,5分~10分,10分~15分,15分~30分に色分けして表示するとともに,火砕流のレイヤーと人口分布,道路,鉄道・高速道路,あるいは・学校・病院・ホテルなどのレイヤーとを重ね合わせることで,二っの分布の共通部分から被害予測図を作成した.
    被害予測図を用いて被害を予測した結果,被災面積は2,529ha, 人的被害は約3,500人に及ぶことが明らかとなった.また,道路の被災区間は,約1.9kmの国道を含む34.5kmに及び,鉄道や高速道路にも10分~15分で火砕流が到達することが予測された.さらに,防災計画支援システムを利用レて,火砕流が覆う地区をリスク1の地区,その地区周辺で火災が延焼する可能性のある地区を500mバッファのリスク2の地区とし,火砕流に対する緊急計画地域として設定した.また,火砕流からの脱出計画,避難所の設置,避難民の収容計画,救援計画を考察した.
  • 岩崎 正吾, 平川 一臣, 澤柿 教伸
    2000 年 73 巻 6 号 p. 498-522
    発行日: 2000/06/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    氷河地形・堆積物および指標火山灰の分布と層序に基づいて,日高山脈トッタベツ川源流域における第四紀後期の氷河作用とその編年について考察した.その結果,最終氷期の氷河作用については,ポロシリ亜氷期とトッタベツ亜氷期に対比されるそれぞれの氷河最大前進期の年代と氷河分布範囲をほぼ明らかにすることができた.ポロシリ亜氷期の氷河が最も前進したのは,楽古パミス3の降下 (75ka) 以降で,支笏降下軽石1の降下(40~42ka)頃である可能性が高い.当時の氷河末端位置は標高850m付近と推定される.トッタベツ亜氷期の氷河は,恵庭a降下軽石の降下頃 (17~18ka) に,標高1, 250m付近にまで到;達し,その後退の過程で.少なくとも4回の停滞期あるいは再前進期を示す明瞭なターミナルモレーンをカール周辺に形成した.また,恵庭a降下軽石による被覆のために,氷河は急激に融解し,融氷河流砂礫の堆積を引き起こした.最終氷期以前では,洞爺火山灰の降下 (100~106ka) にかなり先行する氷河作用の存在が確実になった.この時期(エサオマン氷期)の氷河作用は,酸素同位体比ステージ6に位置づけられる可能性が高い.当時の氷河は,明瞭なU字谷を形成して最終氷期におけるよりも広範囲に拡大した.この氷食谷の形成には,さらに古い氷期の氷河作用が関与している可能性がある.
  • 2000 年 73 巻 6 号 p. 535-558_1
    発行日: 2000/06/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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