地理学評論 Ser. A
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67 巻, 4 号
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  • 貞広 幸雄, 岡部 篤行
    1994 年 67 巻 4 号 p. 225-235
    発行日: 1994/04/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿は,施設の空間階層構造を記述し,その形成要因を推定するための手法を提案するものである.既存の方法は,施設は階層構造をもっているという仮定に基づいているため,ランダムに分布している施設についても階層構造を見出してしまう危険性があり,ここではとくにこの問題点を克服することに主眼をおいている.
    階層構造は,施設の順位と位置によって定め,ツリーグラフとして記述する.さらに,その特性をみるためにグラフ理論的な指標をいくつか導入する.これらの指標を,位置と規模とがランダムな施設分布について計算し,実際の施設階層構造の場合をそれと比較することによって,階層構造を形成する要因を推定することができる.
    実証分析としては,西宮市の商業施設を例として取り上げた.その結果,西宮市の商業施設の階層構造は,クリスタラーのモデルよりも,ランダムな階層構造に近いことがわかった.
  • 地域不均衡理論の試み
    水野 勲
    1994 年 67 巻 4 号 p. 236-256
    発行日: 1994/04/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    地表上にはさまざまな事象の不均一な分布が目立つが,古典的立地論の多くはそれを付随的,所与的なものとしてのみ扱ってきた.しかし,ほとんど均一と思われた農村空間においてさえ,市場および人口の分布には不均一性が生成,累積しうる.本稿の目的は,農村市場システムの近代的変化(再編)をモデル構築することを通して,古典的立地論の枠組みを見直すことにある.
    本稿のモデルは非線形非平衡システム論の考え方に基づいていて,超過利潤をめぐる各種商人の空間的競争を変化の動因とみなし,その超過利潤を蓄積させていくさまざまな相乗作用,初期状態にみられるわずかな不均一性,そして不確実性を考慮していることが特徴である.このモデルのシミュレーションでは,均等に分布している農村市場群が市場の新設,閉鎖,階層分化を経ることで,より複雑なシステムへと秩序化されていく過程が描かれた.ただし,その変化にはいくつかの型があり,それを決定する要因として初期優位,収穫逓増,均衡帯,不確実性があることが示された.
  • 中嶋 則夫
    1994 年 67 巻 4 号 p. 257-277
    発行日: 1994/04/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    幕末の開港によって海外市場を得た日本の茶業は生産流通構造の大転換を経験し,各地で大規模茶業経営が企てられた.本研究では,茨城県西部の畑作地帯である猿島台地を事例に,明治期以降の茶業経営の展開に関する検証を通じ,茶業地域としての特性の検討を試みた.
    猿島台地では地主層が茶生産の伝統を活かし,林地を開墾して茶園を開設し,大規模な茶業経営に乗り出した.しかしこの大規模経営の大半は,産地間競争の結果, 1910年までに姿を消した.その要因として自然条件の相対的な悪さと地主層の茶に対する執着心の弱さなどがあげられる.その後,茶生産の中心は中小の農家へ移った.彼らは伝習所などにおいて製茶技術を身につけ,地主層が所有していた茶園を小作し,国内向けの茶の生産を行なった.中小の農家の経営はタバコ栽培を中心にした複合的なものであり,茶生産は副次的なものであった.この茶生産の副次性は技術革新を阻害したが,一方で茶生産を存続させた要因にもなった.
  • 1994 年 67 巻 4 号 p. 278-282,286_1
    発行日: 1994/04/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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