地理学評論 Ser. A
Online ISSN : 2185-1735
Print ISSN : 0016-7444
ISSN-L : 0016-7444
67 巻, 5 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 高橋 伸夫, 橋本 雄一, 鹿嶋 洋
    1994 年 67 巻 5 号 p. 289-310
    発行日: 1994/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿は,茨城県の地方財政の空間構造を,市町村財政における歳入と歳出の地域的差異とその変容を通して明らかにした.そのために,県内88市町村の1970, 1980, 1990各年度における住民1人当たり項目別歳入・歳出額に対し,年次間の因子変化を記述することが可能な準3相因子分析法を適用した.
    茨城県の地方財政の空間構造の基本的な次元は,自主財源収入と義務的な経費の卓越する都市部と,依存財源収入と投資的な経費の卓越する農村部の2つであり,両者は対象期間を通じて安定している.しかし,財源を地方債へ依存する傾向が,県南部や,県北部山間地域で出現しつつある.これは,前者は都市化の進展に伴う財源需要の絶対的増加を,後者は過疎化の進行に付随する自主財源の相対的減少を,地方債によって補填するものである.この結果,空間構造は,都市-農村の対照という枠組みに加え,新たに大都市圏内外の対照という要素が混在することとなった.
  • 小玉 芳敬
    1994 年 67 巻 5 号 p. 311-324
    発行日: 1994/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    小玉・井口 (1986) によれば,渡良瀬川において,河床勾配の急変は砂礫床区間で生じており,しかも勾配急変点を挟んで河床の表面砂礫の堆積状況が急変する.本稿では小玉・井口 (1986) の調査以来8年が経過した渡良瀬川において,表面砂礫の堆積状況の急変を再度検討し,表面砂礫の堆積相の縦断的変化を定量的なデータとして示した.さらに河床砂礫の運搬に関する最近の研究成果を踏まえ,河床勾配の急変を引き起こす要因を考察した.
    表面砂礫の堆積相を5タイプに分類し, 8つの櫟州において線格子法により各堆積相の出現頻度を調査した.その結果,河床勾配急変点を挟んで表面砂礫の堆積状況が急変することが再確認された.つまり,勾配急変点よりも上流側では,礫が相互に噛み合った堆積相 (Type 1)が河床表面に広く分布しているのに対して,下流側では砂で間隙が埋め尽くされ表面が滑らかになった砂礫層の上に,表面礫が存在する.このような表面砂礫の堆積状況の急変は,河床全体でみた砂礫の易動性の急変を招き,その結果,流送砂礫量の縦断方向での連続を成立させる機能として,河床勾配が急変していると考える.
  • 内田 和子
    1994 年 67 巻 5 号 p. 325-346
    発行日: 1994/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    水害予防組合は公営の治水事業の事業費の一部を負担したり,事業の一部を分担実施したりして,近代以降の日本の治水事業の進展に貢献した.水害予防組合は近代国家としての財政基盤が脆弱で治水体制も十分に整わなかった時代において,全国的な高水工事の展開とともに発展した。その最盛期は1916~1935年頃と推察され,第二次世界大戦後,急速に衰退した.水害予防組合の分布は国直轄淘川改修事業実施河川の上・中流部やその周辺の中小河川とその他の水害常習の中小河川流域に多い.とくに新潟平野,利根川と荒川流域の関東平野,そして濃尾平野には集中して分布した.水害予防組合の衰退の要因は,治水事業の完成に伴う解散のほかに,次の要因が指摘できる.すなわち,昭和初期の経済恐慌に端を発した国の中小河川補助事業を契機として,地元の費用負担を必要としない治水事業が実現したこと,1949年以降の治水・利水関係法令の整備による解体や土地改良区への統合・改組,水防事務組合への移行,そして治水事業の進展と都市化により住民の水防意識が低下し,組合費が徴収困難になったことの諸点である.
  • 1994 年 67 巻 5 号 p. 347-352,355
    発行日: 1994/05/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 67 巻 5 号 p. 354
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
feedback
Top