本研究では,首都圏に展開する同一チェーン99店舗のコンビニエンスストア(CVS)を,商品群の売上に基づいて七つの店舗類型に分類し,その空間分布の特徴を把握するとともに,店舗類型を規定する要因を考察した.対象店舗の商品群別POSデータを用いて因子分析を行い,CVSの売上を説明する因子として,外出先購入因子,菓子飲料因子,他業態代替因子,生活雑貨因子,酒類関連因子の5因子を抽出した.次に,この5因子の店舗別因子負荷量を用いて対象店舗のクラスター分析を行い,分析対象とした99店舗のCVSを7類型に分類した.本分析を通じて,CVSには,従来指摘されてきたような時間的な補完機能を中心とする利用形態に加えて,品揃えやワンストップショッピング性を評価した他業態代替型の利用形態が存在することが明らかとなった.これは,当該商圏における商店街やスーパーマーケットなど競合する業態の存立状況を反映したものであると同時に,若年層を主体とした新たな店舗選択store choiceパターンの存在を示すものである.さらに,オフィス街や学校の周辺でも夜間人口が多い立地では,昼間に発生する来街者の需要と,居住者による他業態補完型需要とが,同じ店舗で時間帯を分けて発生することを確認した.
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