地理学評論 Ser. A
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72 巻, 10 号
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  • 江崎 雄治, 荒井 良雄, 川口 太郎
    1999 年 72 巻 10 号 p. 645-667
    発行日: 1999/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,これまでデータの不足から数値的裏づけがないままに議論されてきた「Uターン」移動の実態を解明することである.居住経歴および移住の理由などを質問項目とするアンケート調査を長野県内の13の高校を卒業した3世代の男子卒業生に対して行い,調査結果を分析したところ,まず世代が若くなるほど,三大都市圏にいったん他出した者の「Uターン」傾向が強まることが確かめられた.また「Uターン」者の多くが長野市などの県内中心都市ではなく自らの出身市町村に向かっており,その傾向は徐々に強まっていることがわかった.一方「Uターン」の実行,非実行は続柄や学歴に影響を受けるものの,妻が長野県出身であるかどうかにより大きく左右されている.「Uタ一ン」実行に伴う障害は長野県での職の不足や収入の低下であり,また最初の就職から5~8年以内に帰還する「Uターン」者が大半であることがわかった.
  • 神戸市上沢駅周辺地区を事例として
    福留 邦洋
    1999 年 72 巻 10 号 p. 668-690
    発行日: 1999/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    都市内部における環境の差異が災害にどのように反映するかという視点から,本研究は阪神・淡路大震災における神戸市上沢駅周辺地区(兵庫区・長田区)を事例として居住環境に密接な土地・建物の所有形態の違いと建物被害の差異を検討し,その関連性を考察した.老朽狭小家屋を中心に大きな被害がみられたが,さらに持家より借家の全壊率が高く,所有形態による被害格差が生じていた.もともとこの地域では第二次世界大戦前に借家の長屋として建てられたものが,戦後になり土地・家屋の所有権細分化が進み,借家の持家化が高まった.ある程度の規模のある家屋は,建替えが進んだが,狭小な家屋はその広さと接道問題に加え,混在する複雑な所有形態が影響して更新されずに今日まで存続してきた.また現在では持家の家屋でも,借家の時から居住している居住期間の長い住民の多くが高齢化していることは,老朽家屋の更新を遅らせ,被害の拡大に関係している.
  • 石井 孝行, 平野 昌繁, 波田 重煕
    1999 年 72 巻 10 号 p. 691-706
    発行日: 1999/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    1995年1月17日未明に発生した兵庫県南部地震により,六甲山地の3カ所の尾根,すなわち摩耶山南西の学校林道と呼ばれる尾根,有馬温泉南の湯槽谷山付近の尾根ならびに六甲ケーブル山頂駅南東の寒天山道と呼ばれる尾根において,尾根を横切る地割れ系が形成された.本研究では,これら3カ所の地割れ系の性質を詳述するとともに,その形成プロセスを地盤に作用した水平加速度の推定と併せて吟味することを目的とした.ここで地震により地盤に生じた水平加速度の大きさと方向は,巨礫および墓石・献灯の中座の変位から推定した.
    これら3カ所の地割れ系は直線性のみならず,雁行状の配列を示しながら尾根を斜めに横切り,一部は尾根のほか地震によって形成された崩壊地の滑落崖を斜めに切っていることなどの性質を有すること,ならびに周辺に存在する巨礫などから求めた地盤に作用した推定水平加速度の大きさと方向の分布特性の吟味などから,問題とした地割れ系は地震によって発生した斜面崩壊に伴うものではなく,テクトニックなものと推定した.
    さらに,各調査地点周辺の推定水平加速度の大きさと方向のほか,地震による崩壊地の方位ならびに道路側溝などのオフセットの方向から判断し,地割れ系の形成プロセスに関する二つのモデルを提案した.それらは,水平加速度の作用した方向は同じであるが,その大きさが異なることによって地割れ系が形成されるタイプ(学校林道型)と,ある線を境にして水平加速度の作用した方向そのものが異なることによって地割れ系が形成されるタイプ(有馬・湯槽谷山型)である.
  • 1999 年 72 巻 10 号 p. 707-720
    発行日: 1999/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
  • 1999 年 72 巻 10 号 p. 712
    発行日: 1999年
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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