高度経済成長期以後,とくに1970年代以後における日本の農業・農村地域の変化は激烈で,景観,土地利用,就..造の変化には目覚しいものがあった.機械化農業体系の確立,交通条件の改善に支えられた新興産地の形成乳超集約的な施設園芸の発展,農村地域への.市的要素の進出,農村空間における.市的機能の拡大,農村と都市との混在化,農外就業の一般化による農家所得における農外所得の占める割合の飛躍的な上昇など,農業・農村地域の変化は技術革新への対応,地域の社会・経済環境の変化との関連,都市化・工業化のインパクトといった観点から整理することができる.しかし,これらの変化の理解には農業経営主体の性質に関する知識が不可欠である.小農複合経営の伝統とその変化過程からの考察がこれらの変化の評価には必要である.それによって農業・農村地域の将来のあり方を探る手掛かりが得られる.
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