地理学評論 Ser. A
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73 巻, 10 号
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  • 小木田 敏彦
    2000 年 73 巻 10 号 p. 731-745
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    福井羽二重産業の力織機化は,賃金削減のために行ったという観点から考察されてきた.しかし,これでは重目羽二重に適した力織機が知られていなかったこと,および同時に出機も発達したことの説明がっかない.そこで,本稿では「労働力不足」と「等級による価格差」という観点から,出機の動向も含めて考察した.なお,対象期間は1908~1911(明治41~44)年を中心とした.
    福井における力織機化は軽目羽二重の生産を目的として始まった.しかし,1909(明治42)年に軽目市況が後退し,羽二重検査基準が強化されたことを直接的契機として,重目の力織機化が始まった.その際「福井力織機会」による適正機種の模索,および電力供給区域が嶺北地方全域に拡大したことが,重目力織機化の触媒となった.とくに津田式力織機の急速な普及は寄宿舎制度を衰退させるなどして女工流動を激化させ,労働市場は一時混乱に陥った.
    その後,力織機化は一定の労働節約効果を発揮した。しかし,嶺北地方北部では電力供給が限界に達したこと,嶺北地方南部では労働力が農村・農業構造と密接な関連を持っていたことが原因で出機が発達し,労働力不足を緩和した.そして,平羽二重を生産していたこと,および品質の点で力織機製品に対抗するために,経糸下椿を行ってから製織させたことが,出機を発達させた.
  • 山本 博, 高辻 豊二, 宮崎 昌宏, 田中 宏明, 長谷川 美典, 中尾 誠司
    2000 年 73 巻 10 号 p. 746-760
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    園内道が設けられた急傾斜地のカンキツ園を対象に,微細な土地利用分類図を作成し,園内道と樹冠の分布と形態に関する分析を行った.土地利用分類図は,園地上空からのステレオ写真を,正射投影写真図に変換して画像分類を行い作成した.四国地域の4園地の土地利用分類図を計測した結果,園内道は園地全体の9~25%の面積を占め,樹冠は24~48%を占めることが判明した.園内道のうち作業道は,成木からなる区域の17~25%を占める.作業道は等高線に沿って設けられるため,その占有面積率は園地の原地形平均傾斜角度αには関係せず,畑面と作業道の幅に依存する.一方,園内道のうち連絡道は,車両の安定確保のため,αが12~15度以上では原地形に対して斜行し,屈曲を繰り返す配置をとる.連絡道長は,αが20度では屈曲せずに地形傾斜に沿う場合の約1.5倍,30度では約2.5倍の長さとなる.これらの知見をもとに,園内道の占有状態の簡易な予測法を提案した.
  • 朴 〓玄
    2000 年 73 巻 10 号 p. 761-775
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本研究は,韓国の企業集団 (A企業集団)の福岡への進出行動を事例に,A企業集団の海外進出の戦略,福岡への進出の経緯,そして福岡市の政策や地元企業との協力関係の形成が外資誘致に果たした役割を分析した.その結果は,次の4点に要約される.第1に,A企業集団の海外進出戦略は,世界の3極体制を成すアジア・ヨーロッパ・アメリカへの進出,A建設・A電子を柱とする海外進出,企業集団レベルの系列企業間の共同出資,そして現地企業との提携による合弁事業の4点を特徴としていた.第2に,A企業集団3社の福岡への進出における最も重要かつ積極的な契機は,A建設の積極的な日本市場の開拓戦略が福岡で実現されたこと,そこで構築された地元企業(C地所)との協力関係が形成されたこと,そしてこの時期に福岡市によって福岡 SRP (Software Research Park) 事業が打ち出されたこと,の3点であった.第3に,福岡市は,情報関連の研究開発機能の集積を目指す福岡SRP事業を展開することによって,海外一地元企業間の協力関係を構築する契機を与え,地方中核都市への大手外資企業の誘致を促した.第4に,地元企業は,A企業集団の事業展開に伴う資金を円滑に供給し,外資企業の福岡進出を積極的に促進した.また,トップ経営者間の信頼をもとに形成されたA建設一C地所間の協力関係が,A企業集団一C銀行グループ間の協力関係の構築,さらには韓日の企業集団・グループの投資活動の重要な柱となったことである.
  • 2000 年 73 巻 10 号 p. 776-782
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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