本研究では,冬季東アジアおよび東南アジアにおける寒波について,初めに回転主成分分析を用いて五っの低温偏差分布の型として抽出し,次に各型の総観場と出現傾向を調べた結果,以下のような特徴が明らかになった.1型は中国全土,豆型は中国東北地方に卓越する寒波で,ともに出現の年々変動が大きい.丑1型は日本の気圧配置型の西高東低型に対応し,1型・II型に続いて出現する.IV型は華南地方に卓越する寒波で・15~30日周期の変動をしている.V型は日本の気圧配置型の北高型に対応し,1型の約2日後に出現する.さらに各型が出現する時の低緯度地方における雲活動を調べた結果,III型とIV型のとき,トラフ前面に伴う雲帯とその南西端で南西進する熱帯積雲がみられた.とくにIV型出現時に,赤道付近の積雲域が通常の東進ではなく西進をする傾向があり,大気の中緯度一熱帯相互作用の存在が考えられる.
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