地理学評論 Ser. A
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68 巻, 10 号
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  • 岡橋 秀典
    1995 年 68 巻 10 号 p. 657-679
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,早くから過疎化の進んだ中国山地西部の1山村・広島県加計町を対象に,その集落システムの変動を,人口変化,中心機能の集積,地域労働市場の展開の3つの側面から検討した.その結果,この約30年間にその集落システムは大きく変化したことが明らかとなった.集落別の人口変化(1960~1990年)では標高の重要性が確認され,過疎化は近接性に欠ける高位集落でとくに激しく進行したことが判明した.人口の分布はしだいに低位集落に収斂する傾向にある.中心機能からみた現在の集落システムの構成は,中心部が商業機能,公的機関の面で集積が著しく,その卓越性は,公共施設の配置,学校の統廃合を通じてさらに強化されている.その一方で支流部低位集落や高位集落では明瞭な中心集落を欠く.地域労働市場の面では,中心部集落が公的機関の統廃合による労働市場縮小の影響を受け,他方,高度経済成長期以降町内に分散立地した工場は,周辺部集落のそれを中心に今や海外や国内他地域との競争や労働力の高齢化によって岐路に立っている.今後の山村政策は,こうした集落レベルの変動に対応することが大きな課題となろう.
  • 浦山 佳恵, 高橋 春成
    1995 年 68 巻 10 号 p. 680-694
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿ではイノシシの分布に影響を与えるものとして積雪深,山林利用,狩猟圧を検討したが,イノシシの分布変動には各種の要因が複合したかたちで作用している様子がうかがえた.そのなかで,積雪深は分布を制限する基本的な自然要因とみなされた.本稿でとりあげた事例地域は,積雪深の影響を断続的に受ける地域にあたるところとみなされ,イノシシの季節的な行動様式に2つのパターンがみられた.このような地域では,2つのパターンの組み合わせが生じるものと考えられた.イノシシへの住民の対応として,イノシシの生息状況に応じて,有害面の防除と有益面の活用が行なわれてきた.しかし,今日の被害の防除方法と狩猟や肉利用は,近年の社会や経済の変化を受けたものとなっている.防除柵は,かつてめ石や木などを利用したものから電気棚やトタン柵に変化し,狩猟や肉利用は,高度経済成長期以降の食肉の多様化とレジャーブームやグルメ志向などのなかで,肉の商品化を主目的としたものとなっている.このような商品化は近年,一方で狩猟圧を高め,イノシシの地域的な減少や移動をもたらしている.
  • 大平 明夫
    1995 年 68 巻 10 号 p. 695-712
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    大規模な泥炭地がひろがる北海道北部のサロベツ原野において,完新世における古環境変化を・ボーリング資・試料の解析結果,加速器質量分析法による14C年代測定結果・珪藻分析・FeS2含有量分析結果などに基づいて検討した.その結果,特徴的な変化として,約4,500~4,000年前に広い範囲で泥炭地の形成が進行したこと,約3,000~2,000年前に河川氾濫の活発化と砂丘の固定化が起こったことが確認された.これらの現象には,海面低下に伴う基準面の低下と気候の湿潤・冷涼化がそれぞれ影響していると推定され,サロベツ原野の泥炭地の形成・変動には,とくに完新世後半における海面変化と気候変化が大きく作用していることが明らかとなった,本研究で認められた完新世後半の環境変化は,北海道の臨海沖積低地においても共通性が認められる.
  • 1995 年 68 巻 10 号 p. 713-720
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 68 巻 10 号 p. 719
    発行日: 1995年
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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