地理学評論 Ser. A
Online ISSN : 2185-1735
Print ISSN : 0016-7444
ISSN-L : 0016-7444
72 巻, 7 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 下野国那須郡烏山を事例として
    渡辺 康代
    1999 年 72 巻 7 号 p. 423-443
    発行日: 1999/07/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本研究は,栃木県那須郡烏山町を事例に,近世における関東の一城下町の祭礼形態の変容を明らかにし,それをもとに町の特質を検討することを目的とした.烏山城下町の総鎮守,牛頭天王社(天王社)の戦国期から約200年間にわたる祭礼記録である『赤坂町祭礼記』を用いて,とくに祭礼の形態,場所,祭礼に関与する人々に注目した.
    天王祭礼の形態は,17世紀半ばに神楽などから踊りに変容し,城内入りが始まった.しかし,18世紀初期には踊りとともに城内入りが消滅し,町人町での屋台興行が中心となっていった.また,17世紀半ばまでの祭礼を世話していたのは,登城する家格を有した「六人」衆であったが,18世紀初頭には,烏山周辺地域で生産された商品作物の集散を担う有力他所商人が台頭していた.烏山の祭礼の変容は,城主と結びついた「六人」衆を筆頭とした町から商人の町へという,町の機能的変化と連動した問題と考える.
  • 沖津 進
    1999 年 72 巻 7 号 p. 444-455
    発行日: 1999/07/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    八ヶ岳西岳の南西斜面標高1,900m付近にはミズナラ,チョウセンゴヨウ,カラマツの3種が混交する,日本列島では特異な樹種構成の森林が分布している.ここでは,その林分構造を紹介し,日本列島の森林植生変遷史を理解する上でこの混交林が重要な位置にあることを指摘する。胸高断面積比ではミズナラが最も優占し,チョウセンゴヨウは小径木が多い.カラマツは大径木が主体だが,小径木もある程度存在する.この混交林では優占3樹種がほぼ順調に更新している.このタイプの森林は日本列島ではほかには分布しない.一方,北東アジア大陸部ではこれと類似の森林が分布する.最終氷期の寒冷,乾燥気候条件下では中部日本にもこの混交林と類似する森林が分布していたと考えられる.その後の温暖,湿潤化に伴い,現在の位置に限定分布するに至ったと推察される.八ヶ岳西岳の南西斜面は現在でも比較的寒冷,乾燥気候下にあり,大陸型森林のレフュジーアとなり得る地域である.
  • 1999 年 72 巻 7 号 p. 456-461,479
    発行日: 1999/07/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
feedback
Top