本研究の目的は,時空間プリズム概念を取り入れた新しい時空間プリズム立地・配分モデルを構築することにある.そのために,評価モデルである時間地理学のPESASPシミュレーション・モデルを,立地・配分モデルの最大カバー・モデルとしてとらえ直し,その拡張を行う.
従来のPESASPシミュレーション・モデルを応用した施設の最適配置モデルは,最大カバー・モデルの目的関数や条件を変化させることにより定式化することができる.本研究では,時空間プリズム立地・配分モデルと従来のものとの目的関数の比較・検討を行い,その解空間を明らかにする.時空間プリズム立地・配分モデルは,中継施設のような複雑な利用パターンが行われる施設を対象とした立地・配分モデルといえる.そしてその利点は,時空間プリズムの大きさを操作することで,時間利用パターンによって異なるさまざまな効用空間を明らかにできる点にある.
なお,立地・配分モデルの目的関数の複雑化は,その最適地点探索を難しくするが,本研究では,その解法として遺伝的アルゴリズムの一種である進化戦略を用いた.
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