本研究は,チェーンストアの物流システムについて,異なる業態チェーンを取り上げて比較考察したものである.中京圏を中心に展開している総合スーパーA社と食料品スーパーB社のチェーンストアを対象として,まず,商品別・メーカー別に分かれている物流を集約する原理を,配送条件との関係から明らかにした.さらに,物流関連流施設の立地,配送方式,生産・物流・販売の統合の3点から物流システムの空間的形態を分析した.
その結果,次のことが明らかになった.仕入圏が広く,配送ロットが小さく,そして配送頻度が高いほど,チェーン自ら物流を集約する必要がある.A社に比べて多頻度小口配送をより必要とするB社の方が物流集約化に積極的であり,A社でも,仕入圏が全国に広がっている衣料品については,物流センターを設置し物流を集約している.ジャストインタイム(JIT)を前提とした多頻度小口配送のためには,商品別・メーカー別物流のルート配送方式より定時一括配送方式が適しており,B社は後者を選択し,物流の時間管理を徹底している.一方A社では,衣料品以外は商品別・メーカー別に配送されている.A社は中京圏で最大の総合スーパーであり,配送ロットも大きいことから,納入業者が優先してJITに配送するため,ルート配送方式でも仕入管理上の問題はない.
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