地理学評論 Ser. A
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57 巻, 1 号
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  • 田中 正, 安原 正也, 丸井 敦尚
    1984 年 57 巻 1 号 p. 1-19
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    多摩丘陵の一角に設定した流域面積2.2haの小試験流域において,野外観測に基づいて降雨流出時における流出成分の主体を明らかにするとともに,その流出機構について考察を行なった.その結果,以下の結論が得られた. (1) 降雨流出時における流出成分の主体は地下水流出成分である.総流出量の約90%は地下水流出成分に起因しており,表面流出成分は総流出量のわずか10%程度を占めるにすぎない. (2) 降雨に対する応答の早い多量の地下水流出は,ダルシー則に基づく流れでは説明することができない.降雨流出時においては,ダルシー流よりはるかに速い卓越流が地層中に存在している. (3) この卓越流は,地層中に形成されたパイプの中を流れるパイプ流であり,良好な排水機能としてのパイプ流は,丘陵地源流域における流出機構を考える上で,重要な役割を果たしている. (4) パイプ流の特徴として, pulsating flow現象が認められる.
  • 中川 清隆
    1984 年 57 巻 1 号 p. 20-36
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    大気上限から宇宙空間へ射出される地球出放射を,地上気象要素から推定する公式を理論的に誘導した.その結果,地球出放射は地上気温での黒体放射に比例し,その比例定数は地上の水蒸気圧,二酸化炭素濃度,オゾン全量,雲頂高度,圏界面高度の関数であることが明らかにされた.誘導された公式によって推定される地球出放射の緯度分布は,気象衛星からの実測値とよい一致を示した.この公式の誘導によって,いわゆる熱平衡気候モデルにおいても,大気組成の変化に伴う気候変化が議論できるようになった.フィードバックを一切有さず,地上気温以外のパラメータを固定したきわめて単純化された最小エントロピー交換気候モデルにより,二酸化炭素倍増 (300PPmv→600PPmv) の影響を推定したところ,北半球平均で0.75°Cの昇温が予測された.
  • 松原 彰子
    1984 年 57 巻 1 号 p. 37-56
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    駿河湾奥部の沖積平野は,狩野川中・下流域の谷底平野,河口域の三角州,黄瀬川・富士川下流域の扇状地,富士・愛鷹山南麓の低湿地といった地形的に異なる低地からなる.完新世初期に噴出した三島溶岩流がつくった地形と,海進期以降に沿岸部に形成された海岸砂礫州が,本地域に広がった海域を閉塞的な環境にしたことが明らかになった.海退期には,狩野川・黄瀬川の上流域からの火山性物質の供給が増加して,三角州や扇状地の発達を促した.これに対して,海側を砂礫州によって塞がれ,背後からの物質供給量の少なかった愛鷹山南麓地域では,低湿地の状態が続くことになった.
    本地域においては,富士山起源の溶岩の流出,砂礫州の発達といった沖積層堆積過程で起こった現象が,古地理の変遷に最も大きな影響を与えた.これらの要因に,各流域ごとの物質供給量の違いや時間的変化などが加わって,地域差を生じた.
  • 1984 年 57 巻 1 号 p. 57-59,64
    発行日: 1984/01/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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