中国で最も経済的に発展し,しかも,典型的な土地利用変化が見られる地域の一つである長江下流域を対象として・土地利用の構造がどのように変化したのかを2元配置モデルを導入して時間的および空間的に分析を試みた.
1986~1994年の間での土地利用構造の時間的変化は,1986~1989年,1990~1991年,1993~1994年の三つの時期に区分される.また,空間的には類似の土地利用変化が現れた地域として,潅陰・塩城,南通・揚州・鎮江,徐州・連雲港,無錫・蘇州・常州,南京,上海の六っの地域に区分でき,おのおの長江の左岸と右岸に分布している.土地利用の時間的な変化は,中国の政治的(開放政策),経済的(主に資本投入など),国際的開発環境などと密接な関係にあること,土地利用の地域構造変化は主に建成区面積の変化によってもたらされたことが明らかとなった.長江下流域における土地利用変化の要因driving forceは,人口の増加,都市化の進行,経済水準の向上,固定資産の投資,工業化の進行およびインフラの整備などであることがわかり,また,正準相関分析が,2元配置モデルによる分析の補完手法として,とくに土地利用変化の要因を究明するための手法として,有効であることが明らかになった.
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