地理学評論 Ser. A
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73 巻, 12 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 山内 昌和
    2000 年 73 巻 12 号 p. 835-854
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,縁辺部における人口や世帯の再生産が行われている例として,漁業が基幹産業となっている小離島の中から小呂島を取り上げ,戦後の世帯再生産のメカニズムを明らかにした.小呂島における世帯再生産は,漁業労働力の確保という経営体の戦略と,世帯維持に対する規範意識に代表される社会的な制約の双方が深く絡み合いながら行われていた.その際,イノベーション導入による漁業生産の拡大は経済的な保証を与え,一方で社会的制約は小呂島出身者に対し大きな影響力を有し,世帯再生産を支える要因の一つとなっていた.今後は,婚姻形態の変化などの社会的理由から若干の世帯数の減少が予想される.しかしながら,他地域た比べて漁業資源獲得に際しての相対的優位性が続くと想定されるため,今後とも一定の世帯数が再生産されていくであろう.
  • 山元 貴継
    2000 年 73 巻 12 号 p. 855-874
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本研究は,韓国の地方.市郊外地域の日本統治時代における空間的変容を,土地利用や土地所有状況の観点から分析した.地籍資料に加えて聞き取りを活用した分析の結果は,以下のように要約される.変化の大部分は,川沿いの低地や山沿いの緩斜面に展開した田畑に限定された.近隣居住の韓国人個人の所有が多かった農地は, 1920年代中頃にはインフラ用地として一部が朝鮮総督府所有などに,1930年代末からは都市部居住の韓国人個人所有の宅地に転換された.後者の時期に日本人地主は,郊外地域にまで居住しっっ農地や一部の山林をも所有するに至った.一方で,山林の中でもとくに稜線上は,一部「国有」林の払い下げのほかは,ほぼ特定氏族の墳墓を抱いた山林として顕著に残され,現在までも細長く農地や宅地を取り囲む景観を維持している.この稜線部に対する新規地主の土地獲得は,当時からの住民に対しより強い衝撃を与えており,特別な意識の存在が指摘された.
  • 2000 年 73 巻 12 号 p. 875-880,1
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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