地理学評論 Ser. A
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65 巻, 7 号
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  • 新井 鎮久
    1992 年 65 巻 7 号 p. 515-528
    発行日: 1992/07/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,昭和初期における千住青果物市場の特牲と同市場に所属する投師集団の行動空間および業者的性格について考察し,その形成と発展を支えた諸条件を解明することである.
    青果物市場の地域分化と再編成が進行する中で,千住市場は新興市街地市場の性格を維持しつつ,旧市内の中核市場と東京西郊の零細市場群に対して中継市場的機能を果たしていた.中継市場的機能を反映して早暁開市,独特の業者集団の発生と商慣行の成立がみられた.投師の業者的性格は多分に投機的・差益商人的性格が強く,一般仲買人の手数料商人的性格とは明らかに異なっていた.なお,千住市場における投師集団の成立・発展要因は,地域分化した市場間を中継する業務が必要とされていたこと,沖積低地の特産物(葛西物)が伝統的・集中的に千住市場に出荷され投師の集中を促したこと,葛西物をめぐる有力業者の集積や投師集団の機能分化と専門化が千住市場の集荷能力を高め,結果的にこのことが投師集団の発展に貢献したことの3点に集約できる。
  • 池沢 裕和, 日野 正輝
    1992 年 65 巻 7 号 p. 529-547
    発行日: 1992/07/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿は,おもに次の2点を検証するために,福島県における企業の支店配置について分析したものである. (1) 類似規模にある上位都市が=複数存在する県においても,企業の支店=進出が特定の都市に集中することで,都市の階層分化が起こっているのか. (2) 支店が集中して配置される都市の基本的条件として,需要規模とともに県域にわたる移動の効率性が求められるのかどうか.分析の結果,県域をテリトリーとする支店の多くが郡山1ご集中し,郡山が,それによって卸売流通における県域の中心地としての性格を強めてきたことが明らかになった.また,県域をテリトリーとする支店が,県庁所在地である福島ではなく,郡山に集中する理由は,郡山が県の中央部に位置する交通の要地であり,県域にわたる移動の効率性において最も優れていることであった.
  • 三木 理史
    1992 年 65 巻 7 号 p. 548-568
    発行日: 1992/07/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    従来,国家的統制政策の所産と考えられてきた昭和初期から第二次世界大戦中の交通事業者の統合問題を,大手私鉄資本による地域交通体系の再編成という視点から再考して,その空間構造を検討した.事例は三重県における近鉄資本による事業者統合に求めた.
    その結果,大正期まで基本的に国鉄駅起点の路線形態をとり国鉄線中心の交通体系下にあった局地鉄道線は,大手私鉄資本下に統合されてゆくなかで,大手私鉄幹線中心の交通体系に再編成されてゆく過程を跡づけることができた.そうした地域交通体系の再編成構想の実施にあたっては,戦時交通統制という国家政策の利用が不可欠であった.
  • 1992 年 65 巻 7 号 p. 569-571,581
    発行日: 1992/07/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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