熱化学水素製造法ISプロセスのヨウ化水素分解反応環境に用いる装置用金属材料は,高温ハロゲンガス腐食と水素脆化という厳しい環境にさらされる.ヨウ化水素 (HI),ヨウ素 (I
2),水 (H
2O) および水素 (H
2) の混合ガス環境に適した装置用金属材料を選択することを目的とし,連続高温ガス腐食試験による腐食速度測定,機械的性質の測定(硬度,0.2%耐力,引張強度および伸び) を実施した.腐食環境は,モル比H
2:HI:I
2:H
2O=0.16:1:1:6,大気圧,450℃,試料の暴露時間は100時間および1000時間とした.腐食速度の観点からはニッケル基合金 (Hastelly C-276, MAT21, Inconel 625) が優れた耐食性を示し(<0.03 g m
-2h
-1),また,MAT21, Inconel 625の機械的特性に著しい低下は認められなかった.タンタルには水素脆化が認められ,ジルコニウムおよびニオブの耐食性は低かった.モリブデン,チタンの耐食性は良好であったが,モリブデンには強度低下 (硬度が低下) が,チタンには水素脆化が危惧されることを見い出した.以上の結果から,本環境に対する装置用金属材料には,耐食性の観点ではニッケル基合金が適しており,特にMAT21は耐食性と機械的特性の観点から有望であることを明らかにした.
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