393 Kおよび438 Kの濃厚LiBr水溶液中に短時間(約0.2 ks)浸漬したSS400炭素鋼の腐食挙動に及ぼすLiOH濃度およびLi
2MoO
4濃度の影響を,分極曲線を測定することにより調査した.その結果,次のことが明らかになった.65 mass% LiBr水溶液中にLiOHを添加すると自然電位近傍のカソード電流が減少し,自然電位が低下した.また,LiOHの添加によって,自然電位近傍における2段の活性溶解電流とその後の不働態電流が確認された.65 mass% LiBr + 0.2 mass% LiOH水溶液に0.03 mass%のLi
2MoO
4を添加すると,自然電位近傍のカソード電流がわずかに減少し,Li
2MoO
4濃度を0.06%に増加させると,カソード電流が増加した.一方,Li
2MoO
4の添加によって,自然電位近傍に認められた2段の活性溶解電流とその後の不働態電流に大きな変化は認められなかった.393 Kの試験溶液に短時間浸漬した試料の腐食速度はLiOH濃度にもLi
2MoO
4濃度にも大きな影響を受けなかった.一方,438 Kの試験溶液の場合の腐食速度はLiOH濃度の増加とともに減少したが,Li
2MoO
4濃度の増加とともにわずかに増加した.
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