日本臨床外科学会雑誌
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65 巻, 4 号
選択された号の論文の55件中51~55を表示しています
  • 横田 良一, 岡田 邦明, 近藤 征文, 石津 寛之, 益子 博幸, 秦 庸壮
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1102-1106
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は48歳,女性.検診の上部消化管造影検査で胃癌(胃体部小彎, 0-IIc)と診断され当院を受診.画像診断で膵頭体部に,約5cmの境界明瞭な充実性腫瘍を認めた.軽度の貧血以外は血液,生化学,内分泌学的検査および腫瘍マーカーに異常を認めなかった.胃癌および膵のsolid-pseudopapillary tumorと診断した.手術所見は, 6×3cmの腫瘍が総肝動脈周囲と高度な癒着をしていたが,膵頭体部とは軽度の癒着を認めるのみで,摘出術が可能であった.術中迅速病理で神経鞘腫と診断されたため,腫瘍摘出のみとした.胃癌には幽門側胃切除術を施行した.術前,膵腫瘍との鑑別が困難であったが,術中の肉眼所見および迅速病理にて,後腹膜に発生した神経鞘腫と診断された.膵腫瘍の診療にあたり,膵外より発生した後腹膜腫瘍の可能性も念頭に置くことが必要である.
  • 木村 良直, 伊勢 秀雄
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1107-1111
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    原発性腹壁ヘルニアの中でも極めて稀なSpigelヘルニアの両側例を経験したので報告する.症例は70歳の女性で子宮癌に対する子宮全摘と右腹壁ヘルニアに対する修復術の既往がある.腹痛を主訴に近医受診,腹部CTで臍の両側に腹壁内に突出する2つのヘルニアを認め,嵌頓疑いで当院紹介となった.腹部CT所見から両側のSpigelヘルニアと診断したが,著しい肥満のために視触診ではヘルニアの膨隆は不明瞭であった.また下腹部には嚢状に突出している腹壁瘢痕ヘルニアが併存していた.手術所見では左右のSpigelヘルニアはそれぞれ10×5cmと大きなヘルニア門を有し,右は再発性の偽ヘルニアであった. 3カ所のヘルニアに対し, polypropylene meshを用いた修復術を施行した.術後に皮膚瘻形成をきたしたが,術後3年経過し再発は認めていない.
  • 菅沼 利行, 長谷 和生, 識名 敦, 田中 正文, 宇都宮 勝之, 藤野 啓一
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1112-1116
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    ヘルニア内容に虫垂を認めた大腿ヘルニアを合併した閉鎖孔ヘルニアの極めて稀な1例を経験した.
    症例は77歳,女性.貧血の精査加療のため入院中,右大腿部に有痛性腫瘤とイレウス症状が出現したため,右大腿ヘルニア嵌頓によるイレウスと診断して,手術を施行した.ヘルニア内容は腫大した虫垂で,ヘルニア嚢と癒着していた.虫垂切除とヘルニア嚢切除, McVay法による後壁補強を行った.術後イレウス症状が改善しないため,第7病日にイレウス管を挿入し,第9病日にイレウス管造影を施行したところ右骨盤腔で小腸の閉塞を認めた.腹部CT検査で右外閉鎖筋と恥骨筋の間に境界明瞭な類円形腫瘤像を認められ,右閉鎖孔ヘルニアと診断した.同日開腹術を行い,回腸末端より約190cm口側の小腸が右閉鎖孔にRichter型に嵌頓していた.嵌頓小腸の一部に壊死が認められたため小腸部分切除と右閉鎖孔の縫合閉鎖を行った.術後35病日に軽快退院した.
  • 重松 千普, 高橋 知秀, 近藤 俊彦, 御田 さとみ
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1117-1120
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は77歳の女性.上腹部正中の腫瘤を主訴に来院.外傷,手術の既往はない.腹部超音波検査, CT検査では上腹部正中の白線腱膜から腹膜前脂肪組織と腹膜の脱出を認め,白線ヘルニアと診断した.手術ではComposix Kugel Patch®を用いた修復法を行った.白線ヘルニアは本邦では稀な疾患であり,同法による報告は他にみられなかった.今回このPatchの適切な置き方について手技上の工夫も含めて報告する.
  • 安藤 正樹, 猪狩 次雄, 安藤 精一, 佐戸川 弘之, 横山 斉
    2004 年 65 巻 4 号 p. 1121-1124
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    過去14年間に経験した急性上肢動脈閉塞7例を報告. 80歳以上が7例中5例を占め,右側が5例,左側が2例.上腕動脈が6例,尺骨動脈が1例.心房細動のない例は医原性の1例のみ.心房細動6例中,抗凝血剤使用は1例で,眼科手術のため休薬した3日目の発症で,発症時は全例服用していなかった.発症から手術までの時間は数時間以内であるが1例13日目.閉塞部位は,上腕動脈のみ閉塞が3例,撓骨動脈も閉塞が2例,按状に撓骨動脈,尺骨動脈の閉塞は1例,尺骨動脈のみ1例.心房細動を有する6例中5例で白色血栓を認めた.初期の3例には術後ワーファリンを用いなかったが2例に塞栓症起こり,その後はワーファリンを使用している.上肢の急性動脈閉塞は下肢に比し,側副血行路の存在から重症化することは少ないとされるが保存的に処置すべきでなく可及的に手術すべきで,殊に,症状があれば直ちに着手すべきである.
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