日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
64 巻 , 12 号
選択された号の論文の59件中1~50を表示しています
  • 曽我 淳
    2003 年 64 巻 12 号 p. 2953-2966
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    この度の分析はカルチノイドおよび類縁内分泌癌などの内分泌腫瘍領域の研究者に新しい情報を提供するために行われた.現時点(2003年4月)においてNiigata Registryに登録されている11,842症例を分析した.これらはカルチノイド群(carcinoid group: n=10,804)と類縁内分泌癌群(variant group: n=1,038)に2分され,前者はさらに,本邦症例(n=4,549)と外国症例(n=6,255)に分けられた.部位別分布,年齢・性別,転移率などの各項目の症例群分析はNUS systemを用いた.症例数を部位別にみると,本邦症例では直腸,呼吸器,胃,十二指腸,虫垂,外国症例では呼吸器,空・回腸,虫垂,胃,直腸の頻度順であった.カルチノイドの悪性性格は10mm以下の粘膜下層に限局した腫瘤を有する1,045症例における10.0%の予想外に高い転移率で明白であった.本邦症例と外国症例間の比較で,全体として有意差(P<0.01)の認められた項目は,男女比,年齢,腫瘍径,転移率,カルチノイド症候群随伴率などであった.治癒切除後の5生率は,全体としては全く同じ生存曲線を示し,両者の間に有意差は認められなかった(平均82.0%)が,部位別では有意差が認められるものもあった.
  • 田中 完児, 山本 大悟, 田中 義人, 上山 泰男
    2003 年 64 巻 12 号 p. 2967-2969
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    マンモグラフィで認めた非触知微細石灰化病変に対して, 2000年3月より2002年12月まで95例にステレオガイド下マンモトーム生検を行った.年齢は28~77歳(平均46.9歳)であった.そのうち生検後,標本撮影を行い石灰化が採取されているのを確認できたのは95例(100%)であった.生検病理組織診断にてADH (atypical ductal hyperplasia)または乳癌と診断された病変は13病変であった.その内訳はDCISが7例(53.8%)とinvasive ductal carcinomaは2例(15.4%),そしてADHが4例(30.8%)であった. ADHと診断された1例は経過観察を行われたが, 12病変に手術施行され,切除標本の病理診断にて全例乳癌と診断された.そしてMMG上のカテゴリー分類ではカテゴリー3-1と3-2が計7病変(18%),カテゴリー4が5病変(56%),カテゴリー5が1病変(100%)であった.
    よってマンモトームはDCISやinvasive ductal carcinomaを診断するのに有用である.
  • 桂 長門, 伊藤 彰子, 重城 博一
    2003 年 64 巻 12 号 p. 2970-2974
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy: PEG)後の創部感染防止対策として,外筒付きキット(日本Sherwood社製Kangaroo kit Pull type 20Fr.)を使用する方法を採用し,従来法よりも創部感染を減少させることが出来た. 1999年1月から2003年3月までに当院で施行された128例の内94例を対象とし検討した.従来法(Bard社製PEG kit Pull type 20Fr.) 54例をGroup A,外筒付きキットを用いた40例をGroup Bとした. Group Aでは, 54例中21例(38.9%)に創周囲の炎症所見が認められ,抗生剤投与延長もしくは他剤への変更を必要と判断した症例を有感染症例とし, 13例(24.1%)であった. Group Bでは, 40例中創周囲の炎症所見を3例(7.5%)に認めたものの,抗生剤投与延長もしくは他剤への変更が必要と判断した症例はなく,明らかな有感染症例は認めなかった.本法はPEG後の創部感染防止に有効であることが示唆された.
  • 漆原 貴, 住元 一夫, 下門 清志, 倉西 文仁, 黒田 義則
    2003 年 64 巻 12 号 p. 2975-2979
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下手術を安全に行う上で視野と操作空間の確保が重要である.気腹法は視野確保が十分であるが高圧気腹になると循環系への負担が欠点であり,吊り上げ法は視野不良が欠点である.双方の欠点を補うべく低圧気腹に吊り上げ併用法を考案し気腹法,吊り上げ法および併用法における腹腔内操作空間を比較した.腹腔鏡下胆嚢摘出術20例を対象とし臍上のトロカールより気腹し気腹圧を2mmHgずつ上昇し累積二酸化炭素容量を測定した.同一症例において腹壁吊り上げ後,再度累積二酸化炭素容量を測定した.吊り上げ法単独では,容量は1.93±0.56Lであり,これは8mmHgの気腹で得られる容量とほぼ同量であった.気腹法単独の気腹圧4mmHgで0.57±0.38L,併用法で2.62±0.74L (p<0.01),気腹法単独8mmHgで1.98±0.59L,併用法で3.40±0.87L (p<0.01)であり,すべての気腹圧で気腹法単独に比較し併用法が優位に大きい操作空間が得られた.
  • 平原 典幸, 西 健, 仁尾 義則, 樋上 哲哉
    2003 年 64 巻 12 号 p. 2980-2984
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,男性.主訴は発声困難,呼吸困難. 14時頃バイクの運転中転倒し, 16時より嗄声が出現. 18時発声障害が出現し, 20時頸部腫脹,呼吸困難および発声困難な状態を発見され救急搬送される.来院時,努力様の浅呼吸であり発声障害を認めた.軽度貧血と炎症反応の上昇を認め,動脈血ガス分析はPaO2 79.6mmHg, PaCO2 36.2mmHgと低酸素状態であった.頸部側面X線にて喉頭,気管は前方に圧排され気道の狭窄を認め咽後間隙は開大していた.頸部CTにて下咽頭から食道の背部の咽後間隙に縦隔まで達する巨大血腫を認め,食道,気管は圧排されていた.来院後,気管挿管し気道を確保. 7病日のCTにて血腫の大きさに著変がないため気管切開施行. 18病日,気管チューブを交換した際,呼吸困難を認めず, 26病日気管チューブを抜去し退院となった.頭頸部外傷患者の診療にあたっては些細な機転でも本症を念頭においた診察が必要である.
  • 野田 剛広, 菰池 佳史, 元村 和由, 稲治 英生, 兒玉 憲, 小山 博記
    2003 年 64 巻 12 号 p. 2985-2990
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    頸部横切開のみで摘出可能であった,後縦隔の気管分岐部まで進展した縦隔内甲状腺腫の1例を経験したので報告し,当院における15例の手術方法を検討した.症例は51歳の女性,左前頸部腫瘤を主訴に来院した.約10年間経過観察をしていたが呼吸困難を訴え当院入院となった. CTにて後縦隔の気管分岐部まで進展していたが,浸潤傾向は認めず細胞診も陰性であった.手術を施行し頸部横切開のみで腫瘍を摘出した.術後経過は良好で合併症なく退院した.腺腫・腺腫様甲状腺腫12例中, 1984年以降の8例は全例頸部横切開のみで摘出可能であったが,甲状腺癌3例中2例は他臓器への浸潤を認め,胸骨正中切開を付加していた.胸骨正中切開を付加した症例は,有意に出血量が増加し手術時間が延長した.手術において胸骨正中切開を付加する選択基準は定まっていないが,悪性所見がなければ,まずは頸部横切開のみで摘出を試みるべきだと考えられた.
  • 宮脇 美千代, 藤吉 健児
    2003 年 64 巻 12 号 p. 2991-2993
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    女性の乳輪下膿瘍は比較的認められるが男性発症症例は少ない.
    症例は67歳の男性.左乳輪部の無痛性腫瘤を主訴に近医より紹介された.超音波検査で左乳輪直下に約2cmの境界明瞭な腫瘤を認めた.穿刺吸引細胞診で多数の好中球と扁平上皮を認めた.腫瘍摘出術を施行し,病理組織検査で膿瘍と診断された.増悪因子として喫煙が言われているが,本例は無治療の糖尿病が関与していると思われた.
  • 伊藤 勅子, 藤田 知之, 清水 明, 熊木 俊成, 青木 孝學, 春日 好雄, 上原 剛, 土屋 眞一
    2003 年 64 巻 12 号 p. 2994-2998
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    急速に増大し乳房全体を占めるような若年性乳腺線維腺腫を2例経験したので報告する.症例はいずれも12歳,女児であった.腫瘍は比較的境界明瞭,表面は平滑,可動性良好の腫瘤であった.穿刺吸引細胞診でclass II,線維腺腫が疑われたため全身麻酔下にて腫瘍摘出術が施行された.摘出標本の最大径は6.6cmと11cmで,病理組織学的所見では,境界は明瞭,管周囲型の増生および乳管上皮の過形成を認めた.間質細胞の異型は乏しく,筋上皮を認め,若年性線維腺腫と診断された. ER, PgRは1例は陰性で,もう1例は陽性であった.本邦報告例ではER, PgR陽性例は高率であり原因に関してはエストロゲンに対する異常な局所的感受性が考えられている.大きな線維腺腫は若年者に多いため,正常な乳腺をできるだけ損傷しないアプローチを考慮する事が必要と思われた.
  • 田辺 美樹子, 河野 敏郎, 小林 俊介, 笠岡 千孝, 嶋田 紘
    2003 年 64 巻 12 号 p. 2999-3003
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    比較的稀な乳腺顆粒細胞腫の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は68歳,女性.左乳房腫瘤を自覚したため受診した.左乳房C領域に, 1×0.8cmの表面平滑,弾性硬,境界不明瞭の腫瘤を触知した.マンモグラフィ,超音波検査およびMRIでは悪性を疑った.穿刺吸引細胞診ではClass IIであった.後日,一部大胸筋に浸潤していた部位も含めて腫瘤摘出術を施行した.術中迅速病理診断では,組織型の確定は困難であったが良性腫瘍と診断され,手術を終了した.固定後の病理組織学的所見は胞体に好酸性の顆粒を有する大型の細胞が胞巣を形成し,大胸筋,脂肪組織に浸潤し,免疫組織学的にはS-100蛋白が陽性であった.以上より顆粒細胞腫と診断された.本疾患は理学所見,画像所見が乳癌に類似し,穿刺吸引細胞診,術中迅速診断でも診断は必ずしも容易ではないため,治療方針を決定する際注意が必要である.
  • 佐藤 幸一, 塚本 秀人, 高野 容幸, 茂木 浩子, 今井 潔, 三重野 寛喜
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3004-3008
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は40歳,女性. 20年前より,左腋窩の皮膚変化に気づいていたが副乳腺だと思い放置. 1年前より腫瘤状となり, 1カ月前から増大し受診した.左腋窩に8×7.5cmの硬い腫瘤を認めた.マンモグラフィー,超音波検査,胸部CT検査で左腋窩部に大きな充実性腫瘍を認めた.穿刺細胞診はclass IIIbで,異所性乳癌を疑い腫瘍摘出術,腋窩リンパ節郭清施行.腫瘍は境界明瞭,黄白色,充実性,分葉状であった.病理組織学的検査ではstoriform pattern (花むしろ模様)を示す隆起性皮膚線維肉腫が主体で,細胞密度が増し,紡錘形細胞が束状増殖(herringbone pattern)する線維肉腫領域も伴っていた.免疫組織化学検査でCD34が隆起性皮膚線維肉腫領域で陽性,線維肉腫領域でも部分的に陽性であった. 3年半無再発であるが,本症は再発率が高いとされており,厳重な経過観察が必要である.
  • 若月 幸平, 金泉 年郁, 八倉 一晃, 江本 宏史
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3009-3013
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,乳腺分泌癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は75歳,女性.右乳房B領域の腫瘤を主訴に当院受診.腫瘤は直径2cmで弾性硬であり可動性を認めた.皮膚浸潤,乳頭分泌は認めなかった.穿刺吸引細胞診ではPC-IIであったが,触診,乳房エコー, CT所見から乳癌を疑い摘出生検を施行.摘出標本で,細胞内にPASおよびAlcian blue染色陽性の分泌物を含むsecretory carcinomaと診断し,乳房扇状切除術,腋窩リンパ節郭清を追加した.組織学的に腋窩リンパ節転移陽性であり,ホルモンレセプターは陰性であった.分泌癌の治療は,腋窩リンパ節転移率が他の浸潤性乳管癌とほとんど差がないため腋窩郭清を伴う標準的な手術が必要であり,またホルモンレセプターの陽性率が低いため,補助療法としては化学療法が主体となると考えられた.
  • 野見 武男, 中辻 直之, 杉原 誠一, 堀川 雅人, 森川 和要, 丸山 博司
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3014-3018
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    乳癌手術後28年目に脳転移をきたした1例を経験した.症例は74歳,女性.主訴はめまい,頭痛. 46歳時,右乳癌(浸潤性乳頭腺管癌)で乳房切除術を受けた.今回入院時,右小脳症状を認め,頭部CT, MRI検査で右小脳半球に5×3cmの腫瘍と,右尾状核頭部に7mmの腫瘍を認め,転移性脳腫瘍と診断した.原発巣を検索するために全身諸検査を施行したが異常を認めず,既往乳癌の脳転移を最も疑い小脳腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的に浸潤性乳頭腺管癌で,既往乳癌の脳転移の像として矛盾しなかった.術後20カ月の現在,生存中である.
  • 粉川 庸三, 吉増 達也, 平井 一成, 尾浦 正二, 岡村 吉隆, 黒川 正人
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3019-3021
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は28歳,未婚女性.漏斗胸の治療を希望し当院を受診した.従来の漏斗胸手術を拒否されたため,十分なインフォームド・コンセントを得た上で, Nuss法を行うこととした.第3-5肋骨を不完全骨折させた後に, 2本のpectus barを用い,胸部の陥凹を矯正した.術後疼痛以外には術中,術後には大きな合併症を認めなかった.術後6カ月目の胸部CTでも胸郭矯正効果は良好であった. Nuss法は今後,成人の漏斗胸の治療法として1つの有効な選択肢になると思われる.
  • 松山 隆生, 城戸 泰洋
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3022-3025
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.右前胸部痛を主訴に前医を受診した.胸部CTで右前胸部に7×5cm大の腫瘤を認めた.経皮肺生検を施行したところ低分化腺癌と診断され,肺癌胸壁浸潤として当院に紹介された.術前外照射を施行後,右肺上葉切除,胸壁合併切除術を施行した.病理組織検査では分類困難な胸壁肉腫と診断された.術後背部と胸腔内に再発を認めたため再発腫瘍切除術を施行,さらに右前胸部と右大腿部に再々発を認め,再発腫瘍切除術を施行した.この際の病理組織検査で悪性線維性組織球腫(malignant fibrous histiocytoma: MFH)と診断された. MFHは再発率が高く,その予後は不良である.予後改善のためには,正確な術前診断と初回切除時の確実な根治切除が重要であると思われた.
  • 鈴木 亮, 古谷 彰, 田中 俊樹, 吉村 耕一, 竹中 博昭, 濱野 公一
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3026-3030
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    広範囲胸部大動脈瘤に対して二期的にステントグラフト内挿術を行い,手術侵襲の軽減により合併症の回避が可能であった症例を経験したので報告する.症例は71歳,女性.広範囲胸部大動脈瘤で経過観察中に瘤径の増大を認め,手術目的で入院した.既往歴に腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術がある.手術はまず上行弓部置換術を先行した.この際,二期的ステントグラフト内挿術のlanding zoneを確保するために,末梢側吻合部に10cm長のelephant trunkを作製した.初回手術後56日目に残存する胸部下行大動脈瘤に対し,ステントグラフト内挿術を行った. Motor evoked potential (MEP)モニター下に肋間動脈閉塞試験を行った後に, elephant trunkと同じ素材・サイズの人工血管で作製したステントグラフトを用いて内挿術を施行した.術直後よりendoleakやstent graft migrationを認めず,経過良好にて術後21日目に退院した.術後1年8カ月のCTで瘤は消失し,経過良好である. High-risk胸部広範囲動脈瘤患者に対する本術式は有用であると考えられた.
  • 藤永 一弥, 臼井 正信, 松田 信介, 鈴木 英明
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3031-3035
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    動脈瘤-腸管瘻は非常に稀な疾患であるが,ひとたび発症した場合は致命的になることが多い.今回下血にて発症した総腸骨動脈瘤-小腸瘻に対して経カテーテル的ステントグラフトを用いて止血しえた1例を経験したので報告する.症例は97歳,男性.腹部大動脈瘤にて外来通院中,嘔吐,意識消失に続き下血をきたし入院. CTおよび血管造影にて右総腸骨動脈瘤-小腸瘻と診断されたため,緊急止血目的に右総腸骨動脈に経カテーテル的に胆管用covered metallic stentを留置した.術後下血は消失し経口摂取可能となった.ステントグラフトを用いた止血術は,緊急止血としては有用であり,特に本症例のようなpoor risk症例に対してはその選択を考慮すべきである.
  • 魚本 昌志, 上平 裕樹, 桜井 茂, 山崎 泰源, 渡辺 良平, 大森 克介
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3036-3039
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    10例の難治性気胸,気管支瘻症例に対し,シリコン製の気管支充填材であるendobronchial Watanabe spigot (EWS)を用いた気管支充填術を試みた.難治性気胸6例,膿胸2例,胆汁性気管支瘻,胃管気管支瘻がそれぞれ1例であった.結果は,著効6例,効果はあったものの手術を要したもの2例,充填不能2例であった.充填不能例は,責任気管支の同定ができなかった症例であった. EWS挿入による合併症は認めなかった. EWSを用いた気管支充填術は,挿入手技が容易で,かつ,効果が十分に期待できるため,難治性気胸,気管支瘻におけるfirst choice deviceとして考慮されるべきものと考える.
  • 椎木 滋雄
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3040-3043
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は52歳,女性.乳房温存療法施行後タモキシフェンの投与を受けている.投与8カ月を経過した時点で,発熱,咳嗽を主訴に来院した.胸部X線写真, CTでは左肺上,中葉にconsolidationを認め, BOOPと診断した.プレドニゾロンの内服により症状は軽快し,胸部陰影は消失した.この時点では,薬剤が原因かどうか特定できなかったため,タモキシフェンを再開したところ,今度は右肺上葉にすりガラス様陰影の出現を認めた.上記経過により,自験例はタモキシフェンによる薬剤性肺炎と診断された.
  • 西澤 聡, 大杉 治司, 竹村 雅至, 李 栄柱, 岸田 哲, 田中 芳憲
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3044-3047
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    食道癌術後乳糜胸の治療方針決定にリンパ管シンチグラフィが有用であった症例を経験した.症例は71歳,男性.平成12年12月4日, Lt食道癌に対し, 3領域リンパ節郭清を含む食道癌根治術を施行した(pT 3, pN 4, pM 0, pStage IVa).術後,胸腔ドレーンよりの排液は100ml/日程度であったが,経口摂取を開始した術7日後に白濁した500mlの胸水がみられ,ズダン染色陽性で乳糜胸と診断した.保存的療法を行ったが約500ml/日の乳糜排出が持続した.術50日後にTechnetium (99mTc) Human Serum Albumin Diethylenetriamine Pentaacetic Acid Injection (以下99mTc-HSAD)によるリンパ管シンチグラフィを行ったところ,胸管本管は描出されたが気管分岐部レベルで胸管側口よりの漏出を認め,胸管の不全断裂または合流枝よりの漏出と診断した.そこで50%ブドウ糖液の胸腔内注入による胸膜癒着療法を2回行ったところ,乳糜漏出は消失した.術93日後の同シンチで胸管の開存と漏出のないことを確認した.
  • 伊東 功, 向井 正哉, 向山 小百合, 田島 隆行, 中崎 久雄, 幕内 博康
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3048-3051
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.通勤途中に突然臍周囲の激痛にて近医を受診し,急性腹症,消化管穿孔疑にて当院に搬送された.来院時血圧は60mmHgとショック状態で,軽度の貧血と著明な腹膜刺激症状を認めた.腹部CT検査上,腹腔内出血と胃体部後壁に壁外に突出する腫瘤を認めた.上腸間膜動脈閉塞症や絞扼性イレウスも否定できず緊急手術を施行した.開腹時,腹腔内に約800gの血腫を認めたが,出血源は確認できなかった.胃後壁に腫瘤を触知したため,網嚢腔を開放した. GISTを疑わせる直径約6cm大の粘膜下腫瘍様の腫瘤が腹腔内に穿破したような所見を認めたため,腫瘍部を含めた胃壁全層の胃部分楔状切除術を施行した.切除標本では腫瘤と粘膜面に明らかな交通を認めなかった.病理組織学的には,腫瘤壁は硬化・肥厚した線維性瘢痕組織で,その内部には血腫が充満しており,本症例は陳旧性の胃壁内動脈瘤の穿破による胃特発性abdominal apoplexyと考えられた.
  • 横山 貴司, 松本 寛, 坂本 尚美, 高 済峯, 山田 行重, 中島 祥介
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3052-3057
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    われわれは虫垂炎手術を契機にAFP産生胃癌を発見し,その後Cronkhite-Canada症候群(CCS)と診断した1例を経験した.
    症例は68歳,男性.右下腹部痛を主訴に当科紹介受診となった.急性虫垂炎による汎発性腹膜炎の診断のもと,回盲部切除術を施行したが,触診にて胃に腫瘤を認め胃癌が疑われた.精査にて1型の胃癌と全大腸に数mm大の多数のポリープを認めた.爪甲萎縮・脱毛・色素沈着・蛋白漏出性腸炎を認めたためCCSと診断した.胃癌に対して幽門側胃切除術を施行した.径7cm大の1型の腫瘍が胃体部大彎に存在し,病理所見は低分化型腺癌であり一部にhepatoid様増生を認め, AFP染色にて陽性であった.胃,大腸の背景粘膜は腺窩上皮の過形成と嚢胞状拡張を認め, CCSに典型的な所見であった. CCSは癌合併率が高いが,検索しえた限りではAFP産生胃癌合併例は認められず,極めて稀な症例と考えられ報告する.
  • 伊藤 嘉智, 川島 吉之, 田中 洋一
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3058-3061
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は37歳,女性で,上腹部痛のため精査を行い,上部消化管造影および内視鏡で胃体部に15mmの粘膜下腫瘍を認めた.平滑筋腫と診断し経過観察となった. 34カ月後,大きさは50mmと増大した.内視鏡下穿刺吸引組織診(EUS-FNAB)を施行し,組織学的にGISTと診断され胃局所切除術を施行した.腫瘍は紡錘形細胞型の腫瘍で,核異型は軽度,細胞密度は高く,核分裂像は400倍視野あたり1-2個でborderline GISTと診断された.また免疫組織化学的染色でc-kit(+), CD34(+), SMA(-), S-100(-)であり狭義のGISTであった. EUS-FNABは粘膜下腫瘍の確定診断を得る有用な一手段で,本症例は術前にGISTと診断しえた.
  • 遠藤 真一郎, 仁尾 義則, 矢野 誠司, 橋本 幸直, 岩田 智則, 樋上 哲哉
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3062-3068
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,比較的稀な石灰化胃癌の2例を経験した.症例1は71歳,女性.体重減少のため精査,内視鏡で胃癌と判明し,造影CTで胃体上中部小彎側に不整な壁肥厚と,壁内点状石灰化を認めた.胃全摘術を施行したが, 4カ月後に癌性腹膜炎で死亡された.切除標本では胃体上中部の5型胃癌で, mucinous carcinomaであった.症例2は80歳,男性. 30年前に胃癌に対し幽門側胃切除術を受けていた.今回イレウスのため緊急手術施行した.術前CTで残胃に吻合部を中心に点状石灰化を認め,術前の内視鏡検査で残胃癌と判明,残胃全摘術を施行したが7カ月後に癌性腹膜炎で死亡された.切除標本では残胃全体の4型胃癌で, signet-ring cell carcinomaであった.石灰化胃癌の予後は極めて不良で,画像上胃壁内に石灰化を認めた場合,石灰化胃癌を念頭において可及的早期の治療が必要である.
  • 横松 秀明, 仲田 文造, 坂手 洋二, 西野 裕二, 平川 弘聖
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3069-3073
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    進行したα-fetoprotein (AFP)産生胃癌に対して胃全摘,膵脾合併切除により根治術を行い, 5-FU+mitomycin C+epirubicinによる予防的肝動注を13カ月施行して, 8年6カ月後の現在も無再発生存している症例を経験したので報告する. 65歳,男性で術前のAFP値は1,070ng/mlであった.病理学的および手術所見はtub2, se, n1, P0, H0でstage IIIaであった.転移リンパ節は15個あった.術後55日目には,血清AFP値は2.3ng/mlまで低下し,その後現在まで再上昇を認めていない. AFP産生胃癌は極めて高率に肝転移再発することが知られており,本症例はAFP産生胃癌に対する予防的肝動注が有用であった可能性が示唆されたので報告する.
  • 野口 純也, 北原 光太郎, 伊達 和俊, 小野 一之
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3074-3077
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,女性. 2001年4月,胃癌に対して幽門側胃切除術を施行.病理結果はtub2, T2 (SS), ly3, v0, N1, CY1で, Stage IV, CurCであった.軽快退院後, UFT (400mg/day)の経口投与を行っていたが, 2001年7月頃より腫瘍マーカーが上昇し, 9月よりTS-1 (100mg/day)の内服を開始した.一時腫瘍マーカーの低下を認めたものの,その後再上昇をきたし副作用も出現したため3クールにて中止した.その後,閉塞性黄疸,大動脈周囲リンパ節腫大,両側水腎症,腹水貯留などが出現し, 2003年1月よりpaclitaxel 70mg/m2のweekly投与を開始した. 1クール終了後には閉塞性黄疸のため挿入されていたPTCDtubeが抜去可能となり, 3クール終了後にはリンパ節腫大の縮小,両側水腎症の改善,腹水の消失を認め,患者のQOLを著明に改善できた.再発胃癌に対する化学療法としてpaclitaxelのweekly投与が期待できる選択肢になり得ると思われた.
  • 加藤 洋介, 足立 厳, 村上 望, 森田 克哉, 加藤 秀明, 山田 哲司
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3078-3081
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は50歳の女性.上腹部痛にて精査の結果,スキルス胃癌と診断された.診断的腹腔鏡にて高度な腹膜播種陽性と判明したため, 1期的な切除を控え, S-1・CDDPおよびpaclitaxelの腹腔内投与によるcombination chemotherapyを施行した. S-1は80mg/bodyを3週間内服し, CDDPはS-1内服から8日目に60mg/m2を静注とした.またpaclitaxelは腹腔内リザーバーを留置のうえ, 120mg/bodyの腹腔内投与weekly投与を3投1休とした.これを1クールとして2クール終了後2期的に開腹を行ったところ,腹膜播種は大網の小指頭大の結節と左横隔膜下の瘢痕のみとなり,同部の切除を含めた胃全摘術・膵脾合併切除術により根治術を施行しえた.組織学的に腹膜播種巣はわずかな腫瘍細胞の残存を認めるのみで,主病巣もgrade Ibの抗腫瘍効果が認められた.外来でのpaclitaxel腹腔内投与とS-1の内服にて術後約10カ月の現在も再発の兆候なく通院中である.
  • 中川 泰生, 大平 雅一, 竹内 一浩, 寺岡 均, 竹村 哲, 平川 弘聖
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3082-3086
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    空腸angiodysplasiaの1切除例を経験したので報告する.症例は66歳,女性.貧血精査にて当院入院となる.入院後,タール便を繰り返すため,上部消化管内視鏡,注腸透視を行ったが,明らかな出血源を認めなかった.小腸疾患を疑い,腹部血管造影を行ったところ空腸動脈枝末梢に血管性病変を認め,流入動脈末梢にマイクロコイルを留置し,手術を施行した.術中透視にて,マイクロコイルを確認したのち,病変を含め小腸部分切除を行った.切除標本では6×6mm大の暗赤色で表面平滑なIsp型腫瘤を認めた.病理組織検査では,小動静脈および毛細血管の増生と血管壁の平滑筋線維の増生を認め, angiodysplasiaと診断された.
  • 山本 秀和, 江嵜 秀和, 孝橋 慶一, 恒川 昭二, 滝 吉郎
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3087-3091
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は57歳の男性.腹部腫瘤の診断で近医で開腹術を受けたが,摘出不能と判断されそのまま経過観察されていたところ, 10カ月後に突然激しい腹痛をきたしたため当院に救急搬送された. CTで下腹部に直径15cmの被膜を有した境界明瞭な腫瘤が認められ,内部は液体と空気が混在して膿瘍を形成していた.敗血症におちいっていたため緊急手術を行い,膿を1,600mlドレナージした.一時多臓器不全におちいったが,抗生剤および血液浄化で軽快した.その後CT, MRIで回腸原発粘膜下腫瘍の瘻孔形成による膿瘍と診断し,摘出術を行った.免疫学的検査で回腸腫瘍はc-kit, CD34, smooth muscle actin陽性, S100, desmin陰性であり,回腸GISTのsmooth muscle typeであった.回腸GISTが膿瘍を形成し,敗血症におちいった例は極めて稀であるため報告した.
  • 菅原 元, 山口 晃弘, 磯谷 正敏, 金岡 祐次, 鈴木 正彦
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3092-3096
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    腹腔内出血で発症した回腸のGISTを経験したので報告する.症例は37歳の男性で下腹部痛を主訴に当院消化器科を受診した.来院時,下腹部に圧痛,筋性防御を認めた.白血球数は11,400/μLと高値を示したが,他に異常値を認めず,腹部単純X線検査でも異常を認めなかった.腹部CT検査で小腸に辺縁平滑で均一に濃染される4cm大の腫瘤を認め,下腹部には腹水が存在し, CT値から血性腹水と考えられた.以上の所見から小腸腫瘍による腹腔内出血と診断し,同日緊急手術を施行した.腹部正中切開で開腹すると,腹腔内には約800mlの血性腹水を認め,回腸末端部から約130cm口側の回腸に腸管外に発育する4cm大の腫瘍を認めた.腫瘍には凝血塊が付着しており出血源と診断した.腫瘍を含めて,回腸を約5cm切除した.腫瘍は,組織学的にはsmooth muscle typeのGISTと診断した.術後1年6カ月後の現在,無再発生存中である.
  • 渡邊 真哉, 小林 陽一郎, 宮田 完志, 米山 文彦, 太田 英正, 竹内 英司
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3097-3100
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    入院経過中に肛門より脱出したS状結腸原発脂肪腫の1例を経験したので報告する.症例は63歳,女性.便秘,腹痛,下血を主訴に来院した.大腸内視鏡検査で肛門縁より18cmの部位に大腸内腔を占める粘膜下腫瘍を認め, CTでは骨盤内に約7cmのlow densityな腫瘍を認めた. MRIのT1強調像では同部位はhigh intensityであった.以上よりS状結腸原発脂肪腫と診断した.なお入院経過中に腫瘍が肛門より脱出したため用手的に還納した.小開腹にてS状結腸部分切除術を施行した.切除標本にてS状結腸に直径7cm大の亜有茎性の腫瘍で,粘膜下腫瘍の様相を呈していた.病理組織学的検査で,分化した異型のない脂肪細胞が分葉状に増殖する漿膜下脂肪腫と診断された.
  • 大矢 洋, 小林 孝, 松尾 仁之, 畠山 勝義
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3101-3104
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    消化管ストーマの合併症で傍ストーマヘルニアは比較的多いが嵌頓することは稀である.今回われわれは,傍ストーマヘルニア嵌頓に陥り緊急手術を要した症例を経験したので報告する.症例は72歳,女性.平成6年直腸癌で腹会陰式直腸切断術が施行されS状結腸瘻が造設された.平成11年5月13日左側腹部痛,嘔吐を主訴に来院した.腹部CTでストーマ近傍皮下に拡張した腸管を認め,傍ストーマヘルニア嵌頓による絞扼性イレウスと診断し緊急手術施行した.術中所見で,ストーマの位置は腹直筋外縁でその頭側にヘルニア門があり嵌頓した小腸を認めたため,絞扼解除・ヘルニア修復術を施行した.本症例のヘルニア発生原因としては, 1)患者が肥満体であった, 2)ストーマ作製位置が腹直筋外縁であった,と考えられた.傍ストーマヘルニアを予防するためには,腹直筋中央を貫くストーマを確実な手技で造設することが肝要と思われた.
  • 二村 直樹, 松友 将純, 安村 幹央, 立山 健一郎, 多羅尾 信, 阪本 研一
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3105-3108
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    Gastrointestinal stromal tumor (GIST)において結腸の発生は稀である.われわれは結腸GISTの1例を経験したので報告する.症例は70歳の男性.腹部膨満感,下痢を主訴に当院を受診した.大腸内視鏡検査で下行結腸に粘膜下腫瘍様の隆起を認めた. CT検査で下行結腸に約9cm大の腫瘤,胸水,腹水,左腎腫瘍を認めた.入院後,右下腹部痛が出現し,腹膜刺激症状を認めるようになったために緊急手術を行った.手術所見では,混濁した腹水,結腸脾彎曲部に脾臓と癒着した径約10cm大の腫瘤,盲腸の穿孔を認めた.回腸の一部から下行結腸の一部までを切除し,回腸で人工肛門を造設した.摘出標本では,大腸粘膜面に潰瘍を形成し,壁外性に発育した腫瘤を認め,盲腸穿孔を合併していた.病理組織検査では紡錘形細胞が増殖しており,免疫染色ではsmooth muscle actin, desmin, S-100蛋白, NSE, CD34, c-kitが陰性で, vimentinが陽性であった.
  • 奥村 権太, 小森山 広幸, 矢吹 由香里, 戸部 直孝, 田中 圭一, 萩原 優
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3109-3112
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,女性.平成6年9月21日,右乳癌にて胸筋温存乳房切除術施行されている.乳頭腺管癌および硬癌, T2aN0M0, Stage IIであった.平成9年4月,骨転移を認め,化学療法(CMF)を平成13年5月まで,計6クール施行,長期PRを維持していたが,肝転移を認めたため,平成13年5月~平成14年12月までDocetaxelを少量分割投与にて計18クール施行し, CRを得ていた.平成14年10月から肛門痛と頑固な便秘が病苦となり,注腸造影を施行したところ,下部直腸に全周性の狭窄を認めた.下部消化管内視鏡では,歯状線から2 cm口側より4型の全周性の狭窄と粘膜のびらんを認めた.生検による病理組織検査において低分化型腺癌を認めた.平成14年12月14日,腹会陰式直腸切断術施行した.病理組織学的に特殊染色GCDFP (15) (+), HMFG2 (+),ラクトフェリン(+), ALA (+), ER (3+), PgR (+)であり,乳癌の直腸転移と診断した.またHER-2 (2+)であったため,平成15年1月よりPaclitaxel, Trastuzumabによる化学療法を施行中である.進行乳癌の消化管転移の報告は少なく,特に下部直腸の転移腸管の切除例は非常に稀である.若干の文献的考察とともに報告する.
  • 小竹 克博, 黒川 剛, 大輪 芳裕, 稲垣 均, 鍔本 真里, 野浪 敏明
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3113-3115
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は59歳の女性.下痢と腹満感,嘔気を主訴に近医を受診.腹部CT検査にて肝右葉後区域に65mm×45mm大の腫瘍を認めた. MRI検査で腫瘍の下大静脈への浸潤が疑われた.血管造影検査では上腸間膜動脈造影の門脈相において左門脈の欠損を認めた.治療目的で当院に紹介入院.肝後区域の肝内胆管癌と肝内血流分布異常の診断のもとに手術施行.術中門脈造影にて門脈左右分岐部の欠如する肝内血流分布異常と診断.肝前区域の門脈を損傷しないよう注意して拡大肝後区域切除・下大静脈合併切除再建・横隔膜合併切除術を施行した.病理診断は肝内胆管癌であった.門脈左右分岐部の欠如した肝内血流分布異常は稀だが,門脈本幹を右門脈と誤認し結紮すると全肝の門脈血流が途絶されるという危険を孕んでいる.肝切除を行う場合,この異常の存在に注意する必要がある.
  • 永井 盛太, 村林 紘二, 赤坂 義和, 楠田 司, 宮原 成樹, 高橋 幸二
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3116-3120
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性.右季肋部痛にて近医を受診し,胆嚢結石を指摘され当科を紹介となった.理学的には右上腹部に軽度の圧痛を認め,血液検査成績では肝胆道系酵素が上昇しており,腹部US, CTでは胆嚢内に結石を伴っていた. MRCPでは総胆管の軽度拡張と下部胆管に結石によると思われる陰影欠損を認め,胆嚢・総胆管結石症の診断にて腹腔鏡下胆嚢摘出術,総胆管切開・切石, C-tubeドレナージ術を施行した.術中,胆嚢管を総胆管まで剥離する際に肝門側に向かう胆管が合流しており副肝管と考えられたが,この異型胆管は右肝管に再度合流していた.胆道系にはさまざまな胆管走行異常が認められるが,胆嚢管から右肝管に向かう,稀な胆管走行異常を伴った胆嚢・総胆管結石症の1例を経験したので報告する.
  • 榎本 正統, 加藤 孝一郎, 河野 守男, 青木 達哉, 小柳 〓久, 一宮 博勝
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3121-3124
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は67歳の女性で,心窩部痛を主訴に受診となった.諸検査にて胆石症と診断し,胆嚢摘出術を施行した.摘出標本の一部において病理組織学的に異所性膵組織を認め,腺房,導管が存在した為, Heinrich II型と診断した.
    異所性膵組織は内視鏡検査時や手術時などに腸管内に偶然に見つかる場合が多く,稀な疾患とはいえない.しかし,胆嚢内に異所性膵組織を認める症例は少なく,検索しえる限り本邦では自験例を含め18例を数えるに過ぎない.
    今回われわれは胆石症の診断にて胆嚢摘出術を施行し,胆嚢内異所性膵組織を認めた症例を経験したので,この症例に若干の文献的考察を加え報告する.
  • 鈴木 裕之, 諏訪 敏一, 山下 純男, 安田 典夫, 尾本 秀之, 石川 文彦
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3125-3128
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性で,繰り返す上腹部痛および下血にて他院より紹介され入院.超音波および腹部CT検査にて,胆嚢癌の肝浸潤を疑い,上部消化管内視鏡にて胆道出血が確認された.輸血にて状態改善せず,血管造影を施行し,胆嚢癌の肝直接浸潤による右肝動脈仮性動脈瘤の診断で,止血目的で血管塞栓術を施行した.状態安定後,肝拡大右葉切除,胆管切除,胆道再建術を施行した.切除標本では胆嚢内に結石と凝血塊を認め腫瘍は胆嚢全体の結節浸潤型で,肝直接浸潤を認め右肝動脈にも浸潤があり,この部で潰瘍を形成し胆嚢に露出していた.組織学的には高分化管状腺癌であった.胆嚢癌が原因の胆道出血は稀であり,特に胆嚢癌の肝浸潤により右肝動脈仮性動脈瘤を形成したものは非常に稀で,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 高島 郁博, 大田垣 純, 西本 直樹, 山下 芳典
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3129-3134
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    胆嚢癌の中では稀である胆嚢未分化癌の2例を経験したので報告する.症例1は78歳,男性.急性胆嚢炎にて発症,腹部超音波検査および腹部CT検査で胆嚢頸部の腫瘍性病変が疑われ, ERCPでは胆嚢管の途絶を認め,胆嚢腫瘍の診断にて腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.病理検査では未分化癌の診断で切除断端が陽性であったため,胆管切除,リンパ節郭清を追加した.病変の大きさは長径2.4cm, stage IIであり,術後8カ月の現在再発を認めない.症例2は85歳,女性.急性胆嚢炎にて発症,腹部超音波検査および腹部CTにて胆嚢総胆管結石症,肝膿瘍が疑われ, PTGBDを施行後,手術を施行した.肝膿瘍部は壊死に陥った腫瘍の可能性も考えられたが,患者の年齢,全身状態を考慮にいれ胆嚢摘出,総胆管切開, Tチューブドレナージ術にとどめた.病理検査にて未分化癌の診断であった.術後は肝臓に残存した腫瘍およびリンパ節が急速に増大し,術後75日目に永眠した.
  • 萩原 資久, 遠藤 渉, 横田 憲一, 板倉 裕子, 木島 穣二, 和田 直文
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3135-3139
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性. 1998年11月,胆嚢ポリープを指摘され,経過観察中に貧血を認め,精査目的に当院紹介となった.腹部CT検査で胆嚢底部に径約3.5cmの腫瘤陰影および肝十二指腸間膜に約2 cm大のリンパ節転移を疑わせる腫瘤陰影を認めた.腹部血管造影にて胆嚢動脈末梢に腫瘍濃染像を認め,胆嚢癌の診断にて, 2001年1月25日,拡大胆嚢摘出・肝外胆管切除・D2リンパ節郭清術を施行した.摘出標本の切断面では,腫瘤は4.0×4.3cmで割面は黄白色の充実性であった.病理組織学的には大型で比較的細胞質の広い,核異型の目立つ腫瘍細胞が無構造に配列しているのが認められ,免疫染色では胆嚢由来の未分化癌と診断された.胆嚢原発の未分化癌は比較的稀とされており,文献的考察を加え報告する.
  • 亀田 久仁郎, 久保 章, 野村 直人, 野尻 和典
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3140-3143
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    膵仮性嚢胞内出血から嚢胞の破裂により腹腔内出血をきたし,開腹止血術により救命しえた1例を経験した.症例は32歳,女性.他院入院中突然の上腹部痛と意識混濁を認めショック状態となり,原因不明の腹腔内出血の診断で当院へ転送された.緊急開腹術を施行したところ,膵尾部の一部から拍動性の出血が確認された.その周囲には嚢胞壁と思われる組織の残骸が認められた.出血部分を中心として4針程膵実質を縫合すると止血されたため,膵切除は施行せず閉腹した.出血量は4,800mlであった.術後経過は良好で第15病日に退院した.現在までに再出血は認めていない.膵仮性嚢胞の合併症のなかでも腹腔内出血は非常に稀であり,本邦報告例は検索し得る限りでは16例のみである.若干の文献的考察を加えてこれを報告する.
  • 中鉢 誠司, 内田 孝, 奥山 吉也
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3144-3147
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    閉塞性黄疸で発症し,門脈浸潤を伴う膵頭部充実性腫瘍が疑われた漿液性嚢胞腺腫の1例を経験した.症例は71歳,男性,胆管ドレナージからの造影で下部胆管に高度の狭窄を認めた.造影CTにて均一な増強効果を示す腫瘍が膵頭部に認められ,末梢膵管は拡張していた.血管造影検査では腫瘍濃染像を呈し,門脈に狭窄像と側副血行路を認めた.胆管,膵管および門脈に浸潤する悪性の膵頭部充実性腫瘍を疑い膵頭十二指腸切除術を行った.腫瘍の割面には嚢胞構造は認めなかったが,組織学的検索ではグリコーゲンを含んだ立方状細胞が嚢胞構造をなして増殖しておりsolid typeの膵漿液性嚢胞腺腫と診断された.膵,胆管および門脈の狭窄を認めるsolid type膵漿液性嚢胞腺腫の報告は稀であり,文献的考察を加え報告する.
  • 木山 輝郎, 田尻 孝, 吉行 俊郎, 谷合 信彦, 内田 英二, 徳永 昭
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3148-3151
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    脾膿瘍は稀であるが,穿孔性胃潰瘍術後に孤立性脾膿瘍を合併した症例を経験したので報告する.症例は54歳,男性.腹痛を自覚してから2週間後に来院.穿孔性胃潰瘍による腹膜炎に対し広範囲胃切除およびドレナージを行った.腹膜炎は炎症が高度で術前CT検査にて大網による腫瘤形成をみとめた.腹水中からは連鎖球菌が検出された.術後1日目には解熱し,抗菌剤を5日間投与した.術後経過は良好であったが,術後14日目に弛張熱と上腹部痛が再燃した.抗菌剤の投与を行うとともに, CT検査にて孤立性脾膿瘍と診断した.抗菌剤を3週間投与後には血液検査で炎症反応が消退, CT検査でも膿瘍は縮小した.術後37日目に軽快退院した.脾膿瘍は先行する感染症が消退してからでも発症することから,患者が一旦回復した後の発熱や腹痛に際しては脾膿瘍を念頭においた画像診断を行うことが必要である.
  • 岡 保夫, 岩本 末治, 浦上 淳, 山下 和城, 木元 正利, 角田 司
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3152-3157
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は65歳の男性. 20年前胃潰瘍の診断を受け内服治療中であったが,緩解,増悪を繰り返していた.平成3年,近医で施行したUSで膵体部に腫瘤を指摘され当科に入院となった.入院時検査所見では,血清ガストリン値は814.7pg/ml, BAOは25.5mEq/1と上昇していた. CTでは膵体部に造影効果のある腫瘤を認め,血管造影では腫瘤に一致して濃染像を認めた. Zollinger-Ellison症候群(gastrinoma)と診断し,膵体尾部脾合併切除, 1群リンパ節郭清を施行した.病理組織学的にはmalignant islet cell tumorであった.平成6, 8, 12年,いずれも血清ガストリン値の上昇を認め, CT,血管造影で肝S6に腫瘤を認めた. Gastrinomaの肝転移と診断し肝部分切除を施行した.病理組織学的にはmetastatic islet cell tumorであった.平成15年2月現在,再発は認めず経過観察中である.
  • 大嶺 靖, 高江洲 享, 与那嶺 尚男, 宮城 淳, 知花 朝美, 屋良 勲
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3158-3162
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,女性.上腹部痛と微熱を訴え来院し,脾腫瘍が発見された.精査にて脾原発悪性リンパ腫が疑われ,用手補助腹腔鏡下脾臓摘出術が施行された.病理組織学的な診断は悪性リンパ腫であった.本症例は症状出現の3カ月前に乳癌術後のフォローのためCT検査が行われていた.その時には脾腫や脾腫瘍を認めなかった.わずか3カ月後の入院時には大きな脾腫瘍が出現していた.腫瘍は入院時に超音波検査で径5 cmの大きさであったが, 3週間後には径2.9cmに縮小していた.以上,稀な症例と思われたので報告する.
  • 近藤 昭宏, 大谷 剛, 森 誠治, 若林 久男, 岡田 節雄, 前田 肇
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3163-3166
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.高血圧緊急症で入院歴があった.数日前から急速に増大する臀部腫瘤を主訴に受診し,その際von Recklinghausen病と診断された.合併症として高血圧があり褐色細胞腫が疑われ精査された.腹部CTで腹部大動脈と左腎の間に腫瘤影を認めた.内分泌学的検査で血中,尿中のノルアドレナリンが異常高値となっていた.手術中所見,病理組織所見から異所性褐色細胞腫と診断された.術後,血圧は降圧薬を使用することなく正常範囲内で経過し,内分泌学的検査も正常化した. von Recklinghausen病に異所性褐色細胞腫を合併した症例は極めて稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 真田 雄市, 小林 直広, 高倉 範尚
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3167-3172
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    褐色細胞腫の再発率は6.1~7.1%と言われているが,悪性転化,リンパ節転移を伴った局所再発の切除報告は少ない.今回われわれは,良性褐色細胞腫に対し左副腎摘出術後8年の経過を経て,広汎なリンパ節転移を伴った悪性褐色細胞腫として再発をきたした1例を経験した.症例は50歳,男性.平成5年8月31日,左副腎原発の良性褐色細胞腫に対し左副腎摘出術施行.平成13年5月30日, CTにて左腎門部に腫瘤を指摘され, 7月5日, 131I-MIBGシンチグラフィーにて同部位に取り込みを認め,再発と診断され, 9月17日入院となった. CT上腫瘤は最大径3.5×2.8cm大のものを中心に後腹膜(大動脈周囲から腎門部にかけて)に多発性に認められリンパ節転移を伴った局所再発と判断し, 10月5日腫瘤摘出術を施行した.切除標本の病理所見も広汎なリンパ節転移,高度の脈管侵襲を伴う悪性褐色細胞腫であった.現在経過観察中であるが,現時点で再発の兆候を認めていない.
  • 神保 慎, 稲垣 朝子, 小林 尚美, 山本 晴大, 岩瀬 克己, 中井 定明
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3173-3178
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,男性. 1994年6月,腹痛を主訴にCT検査を受け,左副腎腫瘤を指摘された.高血圧症は認めないが,尿中カテコラミン(CA)は高値を示した. CT, MRIでは,左腎門部と大動脈に接し,腎動静脈の間に発育する境界明瞭で嚢胞性変化を伴う最大径約10cmの腫瘤を認めた. 131I-MIBGシンチで腫瘤部と骨盤部に集積を認め, CTで仙骨部に腫瘤を確認し,仙骨転移を伴う左副腎悪性褐色細胞腫(無症候性)と診断した. 10月,左腎合併左副腎摘出術を施行.腫瘍は径10×6×4.5cm,重量145gで腎実質への浸潤はなかった.組織学的には,分泌顆粒を持つ大小不同の好塩基性細胞の充実性増殖を認め,褐色細胞腫と診断された,術後,尿中CAおよび代謝物は高値を持続し, 4カ月後に仙骨部分切除術施行後には,全ての尿中CAは正常化した. 4カ月後歩行可能となり退院.術後8年経過した現在,再発を認めない.
    悪性褐色細胞腫の治療には手術,化学療法,動脈塞栓, 131I-MIBG内照射などが挙げられるが,いまだ確立されてはいない.われわれは仙骨部に単発性転移を伴った悪性副腎褐色細胞腫に対して,原発および転移病変の二期的切除を施行し良好な結果を得た.
  • 本城 総一郎, 安宅 正幸, 木村 修, 井藤 久雄
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3179-3183
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,男性.約1年前より血便を自覚した.その後,血便,便秘が増強し,大腸内視鏡検査にて,下部直腸の全周性狭窄と直腸前壁の潰瘍を伴う腫瘍を指摘され,直腸癌と診断された.生検診断は低分化腺癌であった. CT, MRIにて壁の肥厚した直腸と腫大した前立腺が一塊となって腫瘤を形成し,尿道を巻き込んでいた.転移は両鼠径部のリンパ節,両肺,肝に認めた.骨盤内臓器全摘出術が施行され,術後の摘出標本病理組織検査で前立腺癌と判明した.術後,骨に多発転移を認めた.精巣摘出術を施行し,血清PSAは一時著減したが,その後再上昇した.前立腺癌の直腸直接浸潤は稀であるが,下部直腸に全周性狭窄をきたす疾患として,前立腺癌を念頭に置く必要がある.
  • 田中 厚寿, 朽網 留美子, 富田 直史, 井関 充及, 田山 光介, 江里口 直文
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3184-3187
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,男性.腹痛,発熱,全身倦怠感出現したため,精査加療目的で当院放射線科紹介入院となった.造影CT検査にて左下腹部に内部に嚢胞性変化を伴う不均一に造影される最大径40mmの腫瘤性病変を認めた.諸検査の結果より腹腔内の炎症性腫瘤,軟部腫瘍,癌の腹腔内転移などが疑われた.また精査中腸閉塞および腹膜炎症状をきたしたため緊急手術を施行した.病理組織学的検索で膿瘍内に放線菌塊が確認され大網放線菌症と診断された.術後経過は良好で現在術後12カ月であるが再発の兆候は認めず経過観察中である.腹部放線菌症は比較的稀な疾患であり,術前診断は容易ではないが,腹部腫瘤の鑑別診断の一つとして念頭におく必要があると考えられた.
  • 村上 昌裕, 矢野 浩司, 東野 健, 大西 直, 中野 芳明, 門田 卓士
    2003 年 64 巻 12 号 p. 3188-3192
    発行日: 2003/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は26歳,女性.近医で心窩部痛のため精査した際,腹部超音波検査で左下腹部に径50mm大の腫瘤を指摘され当院へ紹介された. CTおよびMRIでは左腸骨筋にはまり込み,造影で壁とともに淡く濃染される部位を伴う多房性の嚢胞性腫瘤を認めた.後腹膜の充実性成分を伴う嚢胞性腫瘍と診断し,腹腔鏡下に完全摘出を施行した.摘出標本は境界明瞭で,内容は一部混濁した粘液成分であった.組織学的には悪性所見は認めず,後腹膜原発の粘液性嚢胞腺腫と診断された.術前に充実性成分が疑われた部位は無数の小嚢胞が蜂巣状に集合したもので,造影された壁が充実性成分として反映されたものと考えられた.後腹膜原発の嚢胞性腫瘍は稀であり,また術前に良悪性の鑑別は困難とされる.
feedback
Top