深さ1m程天地返しをした埴壌土の種々の深さに白紋羽病菌菌糸及び白絹病菌菌核を埋め, その周辺広面積に常法と異なってクロールピクリン及び二硫化炭素は深さ5cm, 又石灰窒素は深さ10cmの浅部施用を行い, それらの殺菌効果を薬剤施用10日後に供試菌の培養試験によって検討し, 次の結果がえられた。
1. クロールピクリン (454g/9.9m
2) 注入は, 二硫化炭素 (954g/9.9m
2) 注入又は石灰窒素 (深さ10cmの範囲に3.3m
2当り750g) 混入よりも著しく殺菌効果があった。
2. クロールピクリン454g/9.9m
2注入では, 桑根 (直径2.5mm又は5mm) に培養した白紋羽病菌はもとより, ふすま培養の白紋羽病菌も殺菌されずに残っているものがある。908g/9.9m
2夏季注入では, ふすま培養区は深さ2, 3cmから80cmまですべて死滅した。しかし桑根培養区では25cm迄は死滅したが, 50cm以上では残存するものがある。一方白絹病菌の菌核は, 桑根に培養した白紋羽病菌と類似の抵抗力を示した。
3. 白紋羽病菌, 白絹病菌とも夏季高温のとき殺菌され易い。
4. 粘土においては, 殺菌効果の劣ることが推察され, 又埴壌土と砂土で比較すれば, ふすま培養白紋羽病菌は砂土における方が殺菌され易く, 桑根培養菌 (組織中) はむしろ砂土において殺菌され難いような傾向を示した。
5. クロールピクリン注入後, 土壌表面にビニール幕を被覆すれば殺菌効果が上る。しかしその程度に過大の期待をかけることは出来ない。
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