フラボン系天然染料の未媒染並びに金属イオン (主としてAl
3+) 先媒染絹に対する染着機構を, 吸着等温平衡実験から得た吸着量ならびに吸着の標準親和力 (-Δμ
0) などから検討した。その結果, 次のようなことが明らかとなった: 1) 用いた染料の未媒染絹に対する吸着は Langmuir 型 (L型) で, 平衡吸着量は温度が高い程小さい。2) Al
3+は絹に対してBET型の吸着等温線を示す。吸着初期から平衡に達する部分はL型で, 飽和吸着量はカルボキシル末端基量に相当する。3) Al
3+先媒染絹に対する吸着もL型で, 飽和吸着量は3.1×10
-4mol dye/g silk であり, この値は絹のカルボキシル末端基量とアミノ末端基量の和に匹敵する。4) 染料の吸着量はAl
3+先媒染の場合が最も多く, 次いでCu
2+先媒染, 未媒染の順であった。5) ルチンの場合の吸着量~pHの関係は酸性染料~絹の場合のそれに似ている。
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